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超短話「ジグソーパズル」

ある日、K子は、見知らぬ男からキレイな箱をプレゼントされた。通常ならば断るのだが、男があまりにもかっこ良すぎた。最新の韓国ドラマの主人公役を演じる何とかボゴムみたいな美男子だったから。それに断る暇もなく何とかボゴム似の男は消え失せていた。

家に帰ってから箱を開けてみるとジグソーパズルだった。
「ジグソーパズルなんて古くさい。でも完成すると、どんな絵が現れるのかしら?」
K子は、興味本位でパズルを組み合わせ始めた。

初めはピースの模様が抽象画のように何が書いてあるのかわからなかったが、ピースのカタチだけで組み合わせていくと、完成した絵はK子自身の写真だった。驚いたK子は慌ててパスルを床に落としてしまった。

すると、次の瞬間、K子はジグソーパズルの中に瞬間移動して中に閉じ込められてしまった。激痛が全身を走る。「痛いっ!」
床に完成したパズルを落としたショックで体のピースがバラバラになって、身動きがとれなくなってしまった。
「誰か、助けて!ここから出してっ!」

また、右手の指が1本多いですね(困ったもんだ)

閉じ込められてから数分後にK子の弟Y夫(6歳)がK子の部屋に入ってきた。
「ネエちゃん、声が聞こえたけどどうしたの?」
「Y夫っ!ネエちゃんはここよ!助けて!」

いくら叫んでも弟には声が聞こえない。
「パズル?」Y夫は床からバラバラになったピースの一部をつまんだ。
「Y夫、パズルを組み立てて私を助けてっ!」
しかし、パズルもY夫には難しいようで
「なんだ、つまんない」Y夫はパズルを放り投げて部屋から出て行ってしまった。
パーツは床にばら撒かれ、さらにバラバラになってしまった。
そのパーツのひとまとまりがK子の恐怖に歪んだ表情になっていた。


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