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覚書「太陽王ルイ14世」

Twitterを見ていたら「ルイ14世」というトレンドワードがありました。安倍首相の東京高検検事長の定年延長に関する姿勢は、ルイ14世を彷彿とさせるというのです。

トレンドワードの源は、東京高検検事長の定年延長についての元検察官有志による意見書全文を、朝日新聞デジタルが転載したものでした。

本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣が「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」と述べたことを、『本来は国会の権限である法律改正の手続きを行わず内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であり、これはフランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家であるとの中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせるような姿勢である』と表現し、さらに“近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる”と批判したものです。

長期政権を維持して悪政(個人的意見です)を続ける安倍政権には、うんざりしている人も多いでしょう。

僕は勉強が嫌いだったので、ルイ14世のことなんか何も知りません。そこで、彼について調べてみました。

ヨーロッパでは中世の封建社会が崩壊すると、各国の国王たちは力を強め、16~18世紀には絶対主義の基板が作られます。

百年戦争(フランス王国の王位継承およびイングランド王家がフランスに有する広大な領土をめぐり、フランス王国を治めるヴァロワ朝と、イングランド王国を治めるプランタジネット朝およびランカスター朝というフランス人王朝同士の争いに、フランスの領主たちが二派に分かれて戦った内戦)後のフランスでは、旧教徒とカルヴァン派の新教徒(ユグノー)が対立して30年にわたるユグノー戦争が起こります。戦争を終結させたアンリ4世は“ナントの勅令”(ユグノーなどのプロテスタント信徒に対してカトリック信徒とほぼ同じ権利を与え、近世のヨーロッパでは初めて個人の信仰の自由を認めた)によって信教の自由を認めます。

アンリ4世の子のルイ13世は、三部会(フランスの中世末から絶対王権確立期までの身分制議会。聖職者・貴族・平民の三身分の代表者から構成される)を解散させます。宰相のリシュリューは、ドイツ系貴族のハプスブルク家に対抗して三十年戦争(ドイツで起きた宗教戦争)に介入するなど王権を強化します。

次のルイ14世が即位すると、王権を強める王に対抗して貴族たちがフロンドの乱を起こします。これを宰相のマザランが鎮圧したあと、ルイ14世はジャン・バティスト・コルベールを財務総監に任命し、重商主義をとります。重商主義というのは、絶対主義国家で常備軍や官僚を維持するために必要な費用をまかなうための政策のことです。

これによってベルサイユ宮殿を建て、絶対主義の絶頂期を作り出しました。しかし、領土拡大のために何度も侵略戦争を行ったために財政が悪化。またナントの勅令を廃止したことでユグノーの商工業者たちが国外へ流出。産業・経済は大きな打撃を受けることになりました。

ルイ14世の晩年には、いくつもの戦争に費やした莫大な戦費のためにフランスの財政は破綻しかかっており、重税のためにフランスの民衆は困窮しました。

1715年9月1日、77歳の誕生日の数日前にルイ14世は壊疽の悪化により死去します。彼は死の床に幼い王太子を呼び「私は多くの戦争をしたが、私の真似をしてはならない」と言ったと伝わります。彼の遺体はパリ近郊のサン=ドニ大聖堂に埋葬されましたが、彼の悪政によって困窮しきった民衆は、王の死を歓び、葬列に罵声を浴びせたといいます。

参考資料:各項目Wikipedia、「図解 世界史」(西東社)


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