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古道をあるく 石の道【柳生街道 滝坂の道】 奈良

先日バスの時間を間違えて行き損なったところへ再度トライ!

近鉄奈良駅前のバス乗り場、20分ほど前に到着したがすでに並んでいる方10名近く。バス停前のコンビニやパン屋さんで食料と飲み物調達し、列に並びバス待ち。

どうやら皆さんの目的地は月ヶ瀬のようで、梅を観に行かれるよう。
しかも臨時便が出ていて続いて2台到着。1台目を見送り次のバスに乗ったが、席はほぼ埋まっていて、ここから乗る乗客はご年配が多かったので、順番では座れたが座らずに立って景色を見ながら行った。

今回は柳生街道を歩きですが、奈良から柳生に繋がる道ですが今回は円成寺から奈良の街へ出るコースを行くことにした。

30分ほどして忍辱山というバス停で下車。


バス停



バス停からすぐの門(東門)から入山。
池のほとりから受付へ。


東門



忍辱山(にんにくせん) 円成寺


創建 諸説あるようだが、『和州忍辱山円成寺縁起』(江戸時代)では
   天平勝宝8年(756)聖武上皇・孝謙天皇の勅願で、鑑真和上の弟子
   唐僧虚滝和尚の開山であるとされているが、
   同書のなかで中興の祖とされている命禅上人万寿3年(1026)
   この地に十一面観音像を安置したのが始まりのようです

宗派 真言宗御室派
山号 忍辱山

「忍辱」 菩薩の修行すべき六つの徳目をあらわす菩薩行六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・般若)のひとつで、いかなる身心の苦悩をも耐え忍ぶというということを意味する。

「北大和五山」忍辱山円成寺、菩提山正暦寺、鹿野園梵福寺、誓多林万福寺、
大慈山薬師寺)がかつてあり、現在は円成寺と正暦寺だけ残る。

以前の「北山辺の道」でこの五山の由来を知りとても興味深く、こちらのお寺を訪れたいと思ったので

境内はそれほど広くはないがキレイに整い、新しい多宝堂から
室町時代の美しい楼門などが建ち並ぶ。

こちらも、かつては子院が23もある大寺院であったとのこと。
例の如く廃仏毀釈などの時世の流により寺領を失い、境内と建物だけになった。


和州忍辱山円成寺伽藍封疆図
江戸時代



多宝堂


多宝堂の御本尊 大日如来坐像運慶の初期の作(25歳頃)
現在は受付後方の相應殿に安置されている

    

大日如来坐像 
 運慶作 
国宝





楼門
重文




本堂


御本尊 阿弥陀如来

円成寺HPより


本堂内の陣母屋四本柱に極彩色で描かれた観音様たちがとても美しかった!



本堂






鎮守拝殿


鎮守社 春日堂・白山堂 
国宝



 宇賀神本殿 
重要文化財





護摩堂


不動明王立像
ピンが・・・紐に・・・







そしてこちらは庭園が見事。



浄土式庭園





忍辱の山の静謐な空気の中に佇む古刹でした。




さて、ここから歩き始めます。




円成寺から道を渡ってすぐにハイキングコースに入る。



すぐに石仏たちのお出迎え&お見送り









まずは峠の茶屋とやらを目指す


まあまあ山道







杉の木立はいつ見ても
シュッとして美しい


龍さん通過




しばらくすると県道になり、車道のような道を歩く

誓多林
かつて万福寺があった聖地の一つ




杉林のなかで・・布団干し?


いえいえ、不法投棄!
この下を見ると布団やら色々どっさり捨てられている。
山を走る道沿いの車が止められるようなところで、谷にゴミが捨てられているのをよく見ます。テレビや冷蔵庫やタイヤや・・・
なんとも言えない憤りを感じるわけです。

せっかくの山歩き、文句言いながプンプンでここを通過!
「まったく〜どういう神経しとるんじゃい!!」と

聖地であろうが普通の山であろうが関係なく、非常識にもほどがある!




そうこうすると山道から里に出た。
棚田や畑が広がる明るい土地。



看板整備



龍さん通過



共生




郵便ポストの先に公衆トイレ(とてもキレイだった)がある。
そこで賑やかな3人組と挨拶。
陽気な男性と美女二人、楽しそうに歩いて行った。


両手に花




ここからまた山道に。



すぐ現れたのが峠の茶屋
お休み?

なかなか趣きがあるではないか・・・








山に住む鹿
お辞儀はしない
ピーと吠えられた




また車道に合流
ここがちょいと案内がわかりにくく、少々右往左往。




地獄谷の石窟仏を見たく山道に入る。
倒木が多く、石窟仏まではかろうじて整備されていたが、その先は通行止めになっている。


こんな様子があちらこちらで


けっこうワイルドな道をえっちらおっちら登って現れたのが
厳重な柵とゲート。




石を切り出した後の祠に線刻された仏さまたち。


朱の色が残る


ざっくり地図に・・



もときた道を500mほど戻り、車道を渡って山道を行く。





池の周りに休憩スペースが
ちょこちょこあり


この辺りも標識はあるのだが、いまいちわかりにくい。
0.5キロとあったが、ぐるっと1キロ以上歩いてやっとたどり着いたのが

首切り地蔵


この前掛け・・・
どうにかなりませんかね・・・


石を・・・




そしてここから沢沿いの道、滝坂の道となる。
この看板から急に空気が変わった、ひんやりとした清々しい空気になった。
思わず深呼吸。
せせらぎの音を聞きながらとても気分のいい道!




まるちゃん



空気は最高に良いが、足元が石畳の下りになるので転ばないように気を遣う。
なので周りをキョロキョロしたいのだが、つい下を向きがちに・・・

下見ながらふと顔上げた時に目に入ったのが、崖に彫られた仏様たち。
わぁ〜と思わず声が出た。
なんだかとても神秘的な姿。

朝日観音

東に面して高円山から昇る朝日に照らされることから名付けられた磨崖仏。
実際は観音さまではなく弥勒仏と地蔵仏。鎌倉時代のものとのこと。




朝日に照らされる姿を見てみたい!






こんな石畳が続く





仏様は崖側を向いている


確かに横になっている・・・


仏様が寝たのか、岩が寝たのか・・・?




清流とプチ滝壺



歌い(今日のテーマソングは・・・ふふふっ)ながら歩いていると、民家らしき建物が見えてきた、道はここまで。

あれ?夕日観音様は・・・
しまった!通り過ぎていた・・・






原始の森





原始林が天然記念物と。
いい空気と水の流れる道だった。

またぜひここからスタートで登りを歩いてみようと思います。

途中で入手した「奈良笠置歴史自然歩道MAP」にさまざまなルートがあり
この滝坂の道から奈良東山トレイルというのも気になる。
北には弥勒の道という魅力的な響の道もあるではないですか!

そして、柳生街道も円成寺から先の柳生の町を目指す道も歩きたい。




振り返ると


さて、駅へ向かうか


そう、山から出ても駅まで約3キロまた歩く・・・
これがけっこうしんどいのね。

でも日も長くなり、かなり行動時間が長くなったのが嬉しい。

そういえば、朝買ったおにぎり食べなかった。
というより休憩らしい休憩取らなかったかも・・・笑





高畑の町を通り、ならまちを抜け、商店街を通り駅へ。

ならまちを歩いていたら、フワッと甘い香りが・・
道の植栽の沈丁花だった。


薫る




忍辱山の円成寺からスタートし歩いた柳生の道。
たくさんの石仏たちに見守られた石畳の山道、かつて柳生から奈良の町へ
また大阪方面へ出る主要の道で、修行の道と同時に人や物資が行き交った生活の道のひとつだった。
今ではその一部が天然記念物になってしまうとは。

守らなければなくなる自然環境。
自然に還らないゴミを捨てる場所ではない、と強く思った。
当たり前のことなんだけどなぁ。



そして、誰が彫ったか・・・石仏たちの姿を眺めるのが、路傍の石仏好きにはたまらない道中の楽しみだった。(たくさん見逃したが・・)



古きを歩き、新しきを学ぶ(今を考える)
そんな古道歩きだった。


次はどんな古い道に出逢えるか




今日のおみやげ

古道の木片
古木片?





今回も長い長い記事になりました、最後までお付き合いいただき
ありがとうございました!



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