書物は、自分が必要と判断したものを厳選して手元に置いている。先日、引っ越しをする過程で100冊単位の本を泣く泣く処分した。その中でも、「独学大全」だけは手元に残した。この本は自分にとっての特別だからだ。2021年末、大学に入って2回目の冬。緊急事態宣言やらまんえん防止措置などが出ていてひどく落ち着かない状況だったのを今でも覚えている。当時の自分は、ある程度サークルで友人も作り単位もそこそこ順調に取っていたが飢えるものがあった。知的好奇心だ。大学に入る前は本一冊も難なく読めたが、大学に入ってからSNSをはじめとする微弱な快楽に呑まれて集中力が低下してしまった。そんなときに、まずkindle unlimitedで読める独学大全の副読本に出会った。そこに書かれていたのは、ドリル式に国、英、社、理のような科目に対して具体的にどのような分野の本を参考にすべきかやその教科を学ぶことで何ができるようになるかであった。これを読んで、独学大全を購入し、まずは通読した。確か1ヶ月ちょっとかかったように思う。久しぶりにペンを取って学ぶことを決意するのには十分刺激を受けた。
 そこから、PD法や学習記録をつけながら多読に励んだ。2022年は176冊、2023年は196冊を読み通し、それらを達成することに喜びと自分への期待感が生まれた。その後、就活関連で中断したものの「読書」や「他者の意見から自分なりに頭を使って考える」という習慣は今もまだ続いている。
 自分にきっかけを与えてくれた独学大全を、捨てることはできず引っ越し先に持ち帰った。久しぶりに通読したが当時の自分の思考の形跡を表したメモがあちこちに残っている。偉大な書物らしく、今回読み通した際はまた違う面を見せてくれ別の使い方ができそうで今からまたワクワクしている。できることを積み重ねていくことは好きなので、これからまた孤独な時間を用意して、独学に打ち込もうと思う。

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