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ご当地落語 芦ノ牧温泉滞在記 4日目

(前回までのあらすじ)
温泉地の魅力を引き出す新作落語を作る「ご当地落語プロジェクト」。
いよいよ今回は公演日!その結果は如何に!?

12月13日、7時ごろ起床。
目が覚めるとそこは……。

真っ白になってる!
まさしく銀世界。

昨日までと様子が一変した風景を眺めつつ、気合を高めます。
まあ、僕の仕事は「ビデオカメラの録画ボタンを押す」だけでしたが。

最後の朝食は志ら門さんと。

朝食後、演者は会場の各所で思い思いに集中力を高めつつ、スタッフは
物販の準備を進めていきます。そして、開場のお時間。

録画ボタンも押して、あとは開演を待つばかり。
二番太鼓が終わり、いよいよ開演。

一席目は柳家緑助さん「どぶろく改め」

《あらすじ》
慣れない土地で酒を求めてさまよう男が入った一軒の酒屋。
そこの大将は酒屋なのに○○だった。
その後、常連客が自作のどぶろくを持って来店。
男と常連で酒盛りが始まるが、そこにどぶろく改めが現れて……。

一席目、しかも午前中から酒の噺です。
会津の地酒・会津娘などの話題を入れつつ、インタビューで鮮烈だった
「どぶろく改め」にまつわるエピソードを軸にまとめ上げました。
緑助さんは前日のしぐさに関するアドバイスを取り入れつつ、より酒の
魅力に迫る熱演になったのではないでしょうか。

二席目は立川こしら師匠「お撞き初め」

《あらすじ》
村の鐘つき堂が修復されたという事で、落成式に多くの村民が集まり、
最初に鐘を撞く「お撞き初め」を誰がやるか話し合っている。
その後、鐘つき堂の盛況を受けて、更なる観光スポットを作ろうと
村民が知恵を絞ってアイデアを出し合うが……。

こちらは初日に訪れた鐘つき堂でのやりとり、そしてインタビューで
伺った観光客を呼び込む試みの数々、そして猟師さんのエピソードと
色々な要素が交じり合っています。
沢山の人物を演じ分け、それぞれが笑いを生み出す、こしら師匠らしさが
満載の脚色が施されました。

三席目は鈴々舎馬るこ師匠「贋金」

《あらすじ》
山で遭難した男は、近くに住む男の家に案内されて宿泊する。
その夜、ふすまの向こうの不穏な会話を耳にしてしまう。
自分を救った男は贋金造りに加担していたというのだ。
それを知った男が取った行動は……。

まさに「後世に残る古典落語」と言える作品ではないでしょうか。
インタビューで贋金造りの事を知った馬るこ師匠は独自に資料を当たり、
贋金に関する情報をまとめた上でこの作品を仕上げました。
ただの勧善懲悪ではない、作る側にも理由が存在するという話にする事で
時代小説のような深みが出たように思います。

中入りを挟み、四席目は立川志ら門さん「行雄と正太」

《あらすじ》
都会から引っ越してきた行雄に話しかけてきた地元の少年・正太。
二人は初対面だったが、遊びを通して中を深めていく。
しかし、正太は思いもよらぬことを口にした……。

大人と子どものやりとりは落語でも多く見られますが、子ども同士の
やりとりは珍しいため、志ら門さんも最初は苦戦した模様。
しかし、本番では見事に表現して下さいました。
足湯やかまくら、あゆまつりといった芦ノ牧の風景を織り込みつつ
子どもたちの無邪気な様子を思い浮かべて頂けると幸いです。

そして、トリは鈴々舎馬るこ師匠「バルブ職人」

《あらすじ》
栗ノ木温泉の温泉協会で働く事になった若者。
先輩と共に足湯の温度管理を行う事になるが、バルブの調節は素人には
とても難しい作業で……。
悩み、努力しながらバルブ調節の技術を磨く若者と、温泉街の人々の
交流をユーモラスに描く爆笑巨編。

これぞ馬るこ師匠の真骨頂と言える作品ではないでしょうか。
一度見たら忘れられないバルブ調節の技、そして少年マンガのような
若者の成長劇、サゲのカタルシス。ご当地落語という機会が無ければ
生まれなかったであろう、唯一無二の作品が生まれました。

以上の五席でご当地落語・芦ノ牧編は無事終了。
この高座も熱演となり、落語を始めてみるお客様でも楽しめる
エンターテイメント性の高い2時間となりました。
大変ハードなスケジュールの中で私の台本を自分のものにして
演じて頂いた演者の皆様、そして当日の深夜までかかり二席を完成させた
馬るこ師匠には感謝の念に堪えません。

最後に、僭越ながら作家賞には馬るこ師匠の「贋金」を選出。
大川荘の社長さんが選ぶ大川荘賞には緑助さんの「どぶろく改め」が
選出されました。

(12/17現在)今回の芦ノ牧温泉編だけではなく全ての回がツイキャスにて
販売中です。こちらの記事でご興味を持った方はぜひツイキャスにて全編を
ご覧下さい!

願わくばまたこういった台本が書ける機会が頂ける事を願って止みません。
「ご当地落語」の灯が未来永劫続きますように!

(このあとはおまけ編に続きます)


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