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【アーカイブ】日本初放送40周年!!&カーター・ワン(黃家達)生誕77年記念『ドラゴン太極拳』(78年)①

1984年3月18日、テレビ朝日系の「日曜洋画劇場」で劇場未公開にもかかわらず突如放送されたのが、『ドラゴン太極拳』(78年)です。

突如と申しましたが、元々はその年の元旦に日曜洋画劇場」で放送された劇場公開作『少林寺への道』(82年)が好評だったのを受けて初放送へ至ったワケです。
監督は、『少林寺への道』を手掛けた台湾の巨匠ジョセフ・クオ(郭南宏)監督ですが、同作と異なるのは武術指導に今や世界的な知名度を誇るユエン・ウーピン(袁和平)を招いていることです。この時のユエン・ウーピンは、監督デビュー作『スネ―キーモンキー蛇拳』(78年)を撮り終えた時期だったはずですが、既にこの前に自ら率いる武術指導チーム「ユエンズ・クラン/ユエン・ブラザーズ(袁家班)」とクオ監督で習作といえるカンフー・アクション『ザ・セブン・グランド・マスター』(77年)を撮り上げ、一定の評価を出していました。

『ザ・セブン・グランド・マスター』(77年)のオリジナル・ロビーカード。日本では2008年に開局したCS局「MATV ムービーアジア」にて字幕付でOAされた

『ザ・セブン・グランド・マスター』(77年)の成功を受け、クオ監督は満を持して気鋭の武術指導家ユエン・ウーピンと組み、これまでのキャリアから一歩踏み込んだ(当時の)現代的感覚を盛込んだ異色のカンフー・アクションを完成させました。後述の様々な事由から、海外のファンからの人気も高く、日本でもカンフー映画ファンの心を鷲掴みし、未だソフト化の声がSNSなどで叫ばれ続けています。
『ドラゴン太極拳』といえば、強烈な存在感を誇る銀魔王(黃家達=カーター・ワン)抜きには語れません。

銀魔王(黃家達=カーター・ワン)

40年もの修行の末に無敵の「八卦の術」を身に付けた銀魔王と、彼に師匠を殺された弟子たちとの激闘を描く『ドラゴン太極拳』ですが、実はこのコンマ王のキャラクターには、元ネタがあります。まずは『キル・ビル Vol.2』にも登場したパイ・メイこと白眉道人です。SB映画『少林虎鶴拳』(77年)ではロー・リエ(羅烈)が演じていました。

『少林虎鶴拳』(77年)で白眉道人に扮したロー・リエ(羅烈)

そして『ドラゴン太極拳』でロー・リエは銀魔王の相方、金魔王として出演しています。元ネタを演じた俳優が、派生改変キャラの相方として同じ画面に立つ。ということで『ドラゴン太極拳』のロー・リエ出演にはちゃんとした意味があるということになります。

金魔王(ロー・リエ)

ちなみに金魔王を倒しながら、銀魔王の秘術に倒れる一番弟子役の龍世家は、80年代に入りに汪強という芸名にて台湾のキョンシー映画で様々なタイプの道士を演じ、”台湾のラム・チェンイン(林正英)”と呼べるほどの活躍を見せます。その前には『ニンジャ・ハンター』(84年)という時代劇アクションで、銀魔王の元ネタである白眉道人を演じるのです。まぁ偶然でしょうけどね…。

一番弟子・岳明刀役の龍世家(汪強)
『ニンジャ・ハンター』(84年)の英語版輸入DVDの裏ジャケ。
上画像の左端を占めるのが龍世家(汪強)演じる白眉道人の雄姿

そして…銀魔王の元ネタ、もうひとつあります。以下次回!(この項つづく)

※本稿は、SNS「X(旧Twitter)」ホームへ2024年3月20日に寄稿した内容を加筆・修正し、まとめたものです。

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