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うちの大家さん

 今年も残すところ、20日を切りました。12月は「師走しわす」という名の通り、忙しくて走り回るという言葉がぴったりです。何を隠そう(隠してないですがw)、バリュー・リノベーションズ・さの(VRS)も忙しく、なかなかやらなければならないことが手付かずの状況です💦
 さて、「師走」という言葉の由来ですが、諸説しょせつがあるようで、最も有力な説として、師匠である僧侶がお経をあげるために、東西を馳せる月という意味の「師馳しはす」という説です。この他の説として、年が終わるという意味を持つるという意味を持つ「年果としはつ」が変化した説や、四季の果てる月を意味する「四極しはつ」をもとにした説などがあるそうです。
  また、12月の呼び方は師走以外にもあるそうで、「春待月はるまちづき」や、「晩冬ばんとう」、「歳極月としはすづき」のほか、「親子月おやこづき」とか「弟月おとづき」といった呼び方もあるそうです。ただ・・・

全部受け売りですw

 前置きはこの程度にして、本題に入ろうと思います。今回のnoteは、ハンカチ無くして語れません( ノД`)シクシク… 前回のnoteで告知しましたように、VRSには無くてはならない存在の人を紹介させていただきます!

◆大家さんとの出会い

 VRSの事務所や、「SHARE BASE つむぎや」の不動産オーナーさんは、同じオーナーさんでして、この不動産オーナーさんとの出会いは、実はVRSが活動を始めるより、さらに2年前にさかのぼります。
 その当時、空き店舗だった物件を、泉佐野市の事業でチャレンジショップをしたいということで、半年間だけでしたがお貸しいただきました。

チャレンジショップをしていた頃の外観

 市のチャレンジショップの事業が別の場所に移してから、この物件は残念ながら空き店舗のままでした。
 VRSが活動する前に、活動拠点を探していましたが、
① 衰退したまちの再生に着手するための拠点となり得る場所であること
② とは言うものの、中心市街地のフラグシップとなり得る場所であること
③ 行政からの補助金で改装工事をするため、できる限り費用を抑えて使える場所であること
この3つの条件をクリアできる物件を探したところ、ちょうどこの物件が使われていなかったので、不動産オーナーさんに相談させていただきました。
 その時、不動産オーナーさんは、「いくらで借りてくれますか?」と聞かれ、チャレンジショップをしていた金額を提示したところ・・・

「うーん」

と難色を示され、「このくらいでいかがですかね」を不動産オーナーさんが逆提案してきたので、今度はこちらが・・・

「うーん」

とうなり声を出してしまいましたw
 結局のところ、お互いの提示額の中間地点で妥協しました。
 ここから、この不動産オーナーさんとのお付き合いが本格的に始まるのでした。

◆大家さんのまちへの想い

 つむぎややVRS事務所の不動産オーナーさん(以降「大家さん」と呼びますね)は、VRSの事務所がある商店街に中で喫茶店を営まれていて、最初は知りませんでしたが、何年か前には、喫茶店のある町の町会長もされていたそうです。
 VRSが事務所のリノベーション工事を開始した時は、あまり用事のある時以外にお話をすることがなかったのですが、近所で喫茶店を営まれているので、時折、ランチを食べに行かせていただいたりしていました。

大家さんでいただいたランチ

 今のつむぎやのある場所は、駅から徒歩1分圏内で駅から真正面にある物件のため、「借りたい」という出店を希望される方から、VRSに問い合わせが結構ありました。

リノベーション工事前のつむぎや付近の様子

 そのことを大家さんにお話したのですが、なかなか乗り気ではなく、ぼそっとひと言、こんなことをおっしゃっていました。

「飲み屋が増えるとまちの風紀が乱れるからね・・・」

 その当時は、インバウンドバブルで外国人観光客を中心にまちがにぎわい、ホテルやゲストハウスは満室になり、その影響でまちの飲食店はかなり盛況でした。 
 インバウンド客の多くは、ラストステイの宿泊客で、外国人客を中心に夜のまちがさかえていました。
 大家さんは、そんなまちの雰囲気を見て、町会長をされていたことも相まって、まちがにぎやかになるのはいいけれど、まちの風紀が乱れるのは良しとはできなかったのでしょう。
 その時は、飲食店に貸し出すのは嫌そうでした・・・

◆転機

 そうこうしているうちに、VRSの初年度の活動も半年が過ぎようとしたところ、なかなか実績がでず、その一方で、市から結果を出さなければ、事業を即廃止するという話が持ち上がりました。
 なかなか空き店舗は空いたままでテコ入れしなければならないため、VRSが借り受けてショップをしようとなり、そのことでVRSの活動を知っていただく名刺代わりとして、駅近くの空き物件を探しました。
 最初は、リノベーション工事の費用が抑えられる物件でと思い、大家さんとは別の物件のオーナーさんにお声掛けをしましたが、色よい返事がもらえず、何度かアプローチをしたのですが、最後までオーナーさんの共感につながる提案ができませんでした。
 なかなか妙案も出せず、このままあきらめるしかないのかと肩を落としながら、大家さんのお店にランチを食べに行きました。
 すると大家さんが席の前に座り、こちらの話を聞いてくれました。
 最初は、なかなか成果がでないという、愚痴ぐちにもとれる内容のお話を聞いていただき、そこからつむぎやの物件を貸してもらえないかと持ち掛けたところ、顔を下に向け、しばらく考え込んでました。

しばらくすると

大家さんが顔をあげ、

VRSさんにだったら貸しますわ

と仰っていただいたのです。
 大家さんは、VRSの活動当初から、忙しい時間をいて講演会などに会場まで足を運んでくださり、ずっと活動を見守ってくれていたのでした。

VRS設立記念キックオフミーティングの模様

 地道な活動しかしていなかったVRSのことをずっと見守っていただき、元町会長をされていたことから、ずっとまちのためにつながることを真剣に考えていたことから、じっくり考えて、VRSならまちを変えてくれると感じていただいたのだと、勝手な解釈かもしれませんが、そう汲み取りました。

◆その後も

 その後、実際に借りるに当り、家賃の交渉もさせていただきましたが、かなり老朽化していた上に、3年前にこの界隈を襲った台風の影響で、損傷がかなりあったことから、改修費用はVRSで持つので、家賃を考慮してほしいとお願いしました。

改装前のつむぎや

 その時も条件の確認はされましたが、家賃については一切文句を言わずに、「はい、わかりました」とだけ仰ってくれました。
 つむぎやのリノベーション工事が思った以上に難工事だったので、当初の予算額より大幅にオーバーしたため、クラウドファンディングも行いましたが、その時も大家さんは、快くご支援していただきました。
 それだけではなく、最後の最後、終わりまであと2時間というところで、足らずの分を追加でまたご支援していただき、NEXTゴールの夢まで叶えてくれました。
 その時の大家さんの言葉が今なお心の中で響き渡ってます。

まちが衰退する様子は、このまちに住んでいる者が一番わかっているんです。でも何もできなかった。しかし、あなたたちはやろうと立ち上がってくれた。それが嬉しいんですよ!

VRSのnote「夢と希望が現実へと変わる!」より

 このことは、過去のnoteに書かせていただいていますので、またご覧ください。

 このほかにも、地元佐野工科高校の生徒たちに、つむぎやのDIYをしていただいている最中さなかに、高校生に差し入れを持ってきていただいたりしてくれました。

大家さんからの差し入れ

◆まちを動かす重要な人

 このほかにも完成したつむぎやのオープン日にあわせて花を贈ってくれたり、2階のシェアスペースをもっと広げた方がいいのではとアドバイスいただいたり、今でもちょくちょくお世話になっています。

つむぎやオープン時の模様

 大家さんのおかげもあり、VRSも少しずつではありますが、遊休不動産の解消からまちの再生へとつなげるお手伝いをさせていただいています。
 こういうエリアリノベーションについて理解のある方が、まちでいるのといないのとでは、大きな違いだとつくづく感じています。
 VRSのアドバイザーをしていただいています嶋田洋平さんが、リノベーションスクールで最初に取り組んだ北九州市のメルカート三番街や、中根利枝さんが活躍されている愛知県岡崎市でのwagamama houseも、エリアリノベーションを理解していただける不動産オーナーさんがおられました。
 民間が取り組むエリアリノベーション事業に理解を示していただき、初期投資を借り手が負担する代わりに、当初数年間の家賃の負担を不動産オーナーさんが軽減してくれるということをしていただいているので、事業として継続できるわけであり、その事業活動の延長線上が、まちの賑わいを生み出し、最終的にはその界隈の資産価値を上げるということにつながっていくのです。
 借り手の無い遊休不動産は、固定資産税だけを払い続けるだけでなく、老朽化が進んでまうと、その改修費用がかさんでくるわけです。
 そうなってしまうとお荷物と言わんばかりになってしまい、取り壊してしまい、その地域の歴史を失くしてしまうことになってしまいます。
 それだけでなく、建物の人間で言う「健康寿命」の余命が残っていても、治療することなく、この世から去っていく運命になってしまいます。
 残念ながら、このことをお話しても理解していただける不動産オーナーの人はまだまだ少ないです。
 確かに、地域との関係性がない知らない人に貸したくないとか、入ってからトラブルになるのは御免だという不動産オーナーの言い分もわかります。

ただ

使わなければただの空き家で、その周辺の環境や治安を悪くするだけです。
 VRSでは、借主や貸主が双方に納得できるような方法も考えていますので、もしこのnoteをご覧になられて、少しでも「貸してもいいかな」という気持ちになられた不動産オーナーさんがおられましたら、ご一報いただければと思います。
 まちを動かすのは、プレイヤーだけではありません。
 まちを動かす資産をお持ちの方も重要なプレイヤーのお一人です。

まちを元気にさせる、まちづくりプレイヤーに一緒になりませんか?

つむぎやDIYしたときの模様


サポートしていただけると、モチベーションをもってnoteに取り組めます!(笑)