見出し画像

エッセー「アナーキーなパワーが炸裂する怪作 "爆発!暴走族”」

 1975年(昭和50年)。1975年と言えば ' 暴走族 ' の全盛期真っ只中。

 先輩にもエンペラーとかルート20とか、ジョーカーとかのチーム員がウヨウヨいた。

 当時違法のセパハンドルと集合管付けたZⅡ乗って246バリバリ走ってた先輩の姿、カッチョよかった。

 そんな時代を反映して製作されたのがこの映画。

 タイトルからして凄い「爆発!暴走族」(激爆)。

 主演は一応「千葉真一」となっているが、大ウソ。

 実はこの作品、かの岩城滉一の初主演作品である。しかし、当然のごとくまったくの無名だったので、超メジャーな千葉真一を主役と謳ったのである。

 この作品、何でもなりの昭和の時代でなければ制作不可能な怪作である。

 さすがは「アナーキーな天才」と称され、かのクェンティ・タランティーノも崇拝する石井輝男監督。最初から最後まで意味プーだが、ともかくひたすらアナーキーパワーで押しまくる。

 しかし、こちらは千葉真一がバイクに乗って「クォ~!」っとカラテアクションを見せてくれるのかと思い込んで観に行っているのに、その出番はほんのわずか。もちろんカラテアクションなど全くない。

 一瞬、東映お得意の誇大広告に「引っかかった~!」と思ったが、余りにも意味プーな内容と、ノーヘル(当時はまだヘルメット着用が法制化されていなかった)で首都高4号線やら大井埠頭をぶっ飛ばす映像を見ているうちに完全に頭がウニになり「この知らない兄ちゃんもなかなかいいやんけ」とすっかり洗脳されてしまったことを懐かしく思い出す。

 娯楽映画の基本コンセプトである3S(スリル・スピード・セックス)のお手本のような偉大なる「おバカ映画」だが、それが当時の東映作品に共通した作風であり、エンタテインメントの神髄なのである。


宜しければサポートをお願い致します!