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エッセー「超音速攻撃ヘリ "Airwolf / エアーウルフ"」

 「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」は1980年代に一世を風靡したスカイアクション・テレビドラマの傑作である。

 ベトナム帰還兵の主人公ストリングフェロー・ホークが、CIAにより秘密裏に開発された攻撃用ヘリコプター・エアーウルフを武器に様々な事件を解決するという痛快活劇だが、その背後にはベトナム戦争のMIA(作戦行動中の行方不明者)問題という社会的要素も絡んでいる。

 エアーウルフのベースとなったのはベル社製の222ヘリコプターである。

 エアーウルフシリーズが製作される前年に劇場公開された「ブルーサンダー」ではフランスのエアロスパシアル社が開発したヘリコプター「ガゼル」が使用された。その影響によりエアロスパシアル社の受注件数は大幅な伸びとなり売上も増大、株価も上昇した。

 さらにこの時期、アメリカ国内ではボーイング社が攻撃用ヘリコプターAH64アパッチの量産化を始めており、ベル社は厳しい状況に置かれていた。

 そこで、番組プロデューサーのドナルド・P・ベリサリオは、ハイテクヘリが活躍するスカイアクションドラマの企画案をベル社に持ち込んだ。

 映画「ブルーサンダー」でのエアロスパシアル社の成功を知っていたベル社は、その宣伝効果を見込んで4機の222をエアーウルフの撮影用に提供した。

 「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」はテレビシリーズが始まるや否や世界中で大ヒットとなった。ベル社の思惑は見事に的中し、ヘリの受注は大幅に増え売上も増加。さらに株価も上昇したという。

 まさにプロダクト・プレイスメントの極致、絵に描いたような成功例である。

このドラマ、ヘリで音速を超えることは不可能だと頭では理解していても、何故か「もしかしたら」と思わせる不思議な説得力がある。

 操縦桿上部に設けられた「TURBO」ボタンを押し、アフターバーナーで超加速して行くシーンに何度痺れたことか。

 OPのテーマ曲を聴くと今でもわくわくする。


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