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エッセー「伝説のカースタント 西部警察 第104話 " 栄光への爆走 "」

 西部警察 第104話「 栄光への爆破走 」の劇中、犯人の乗るS30型フェアレディZと大門刑事のマシンX(HGC211型後期2000ターボGT-E)が演じたカーチェイスは、日本のカースタント史上に残る伝説的名シーンである。

 超絶のドライビングテクニックを持った犯人との熱いカーチェイスは、最後の川越えジャンプをクライマックスを迎える。

 飛距離30メートルにも及ぶ大ジャンプに挑戦したのは、西部警察を初めとする数多くのアクションドラマでスタントを担当していた「マイクスタントチーム」のリーダー三石千尋。

 劇中では、ジャンプに成功した犯人は対岸の大門を尻目に悠々と逃走するが、実際にはジャンプには成功したが着地に失敗、ドライバーの三石千尋は大怪我を負った。

 短い助走距離での踏み切りは超高難度のテクニックだが、さすがはハリウッドにもその名を轟かせた神風スタントマン三石千尋、躊躇の無い踏み込みで一気に車速を乗せ、強めの仰角に設定されたジャンプ台を見事に踏み切った。

 しかし、助走距離の不足からランプを踏み切る際に設定スピードに乗りきれなかったZは、運河中央部の空中で直立に近い状態となりつつもギリギリで対岸まで到達した。

 着地の際、リヤ部分から激しく地面に叩きつけられ、その勢いで激しく縦方向に前転するという大アクシデントに見舞われた。

ドライバーの三石は奇跡的に一命はとりとめたものの、脊髄圧迫骨折という重傷を負った。

一時は再起不能とも言われた三石だが、なんと40日後には現場に復帰、再びハードなスタントに挑み続けた。

 しかし、2005年9月21日、肝不全のため鬼籍に入る。亨年64歳。

 壮絶なるカースタントに命をかけた熱き漢(もののふ)の冥福を祈って、合掌。

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