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カーコラム 「軽量コンパクトな箱型セダンにトルクフルなG62型TURBOエンジン搭載したじゃじゃ馬マシン "三菱ランサーEX 1800 TURBO”の思い出」

 フルラリー仕様に改造した81年式いすゞPF60型ジェミニZZ Rを、北富士演習場の外周路での練習で全損させてしまったのは1983年のこと。

 長年苦楽を共にした戦友・ZZ Rを失った心の痛手(?)も癒えぬまま、次期戦闘マシンとして購入したのは、当時、全日本ラリー選手権でメキメキとその実力を発揮し始めていたライバル、後の世に"ランタボ" の愛称で呼ばれることとなる三菱ランサーEX TURBOであった。

 車両は2年落ちの初期型(ランサーEX 1800ターボは1981年11月発売)、グレードはGSR。販売当時のグレードラインナップは、豪華(?)装備のGSRと、装備を簡素化したスパルタンなGTの2グレードだった。人気モデルの高年式ということもあり、諸経費込み100万円という結構なお高い買い物となった。

 このクルマ、いわゆるターボⅠと言われるIC(インタークーラー)無しのモデルで、搭載される直列4気筒SOHC1800ccのG62型ターボエンジンは、最高出力135PS(グロス)、最大トルクは20.0kg-m(グロス)のパワーパフォーマンスを発揮した。

 余談だが、最高出力160PSのIC付きのターボⅡ(IC付き)は、1983年の11月にリリースされた。ターボⅡはエンジンのパワーアップのみならず、ボディ剛性の向上やサスペンションジオメトリーの変更、ステアリングギヤ比の見直しやブレーキ周りの強化といった細部に渡るチューニングが施された。さらに、空冷式インタークーラーの装着に伴い、フロント開口部面積を大幅に拡大したエアダム一体型のフロントバンパーが採用されるなど、エクステリアの変更も行われた。その結果、性能的にも外観も当時WRCで戦っていたランサーEX 2000 TURBOに限りなく近いモデルとなった。

 ターボⅠでもNAエンジンのリニアな出力特性に慣れた体には、ある回転域からドッカ~ンとパワーが漲るターボエンジン特有のフィーリングは超刺激的だった。

 ノーマルで乗り続けようという思いは購入直後から消失し、購入一カ月後にはアンダーガードにタンクガード、ラリーアートのスプリングにGAB RALLYのダンパーを組み合わせた脚を組み込んだ。

 ブレーキパッドも日立フェロードの2424FやフェロードのDS11、DPMなどなど、様々なタイプのものを試し、ジムカーナ、ラリー、ダートラへと参戦した。

 軽量コンパクトなボディに、クセのあるハイパワーターボエンジンを載せたじゃじゃ馬的なFR車、簡潔に表現するならばランタボⅠはそんなクルマだった。

 PF60型ジェミニZZ Rといい、三菱ランサーEX 1800 TURBOといい、本当に楽しいクルマが沢山あり、手が届く価格で買えた幸せな時代、それが1980年代だった。




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