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ワンマングルメNo.68「創業安政三年 旧東海道 立会川の老舗蕎麦懐石 "吉田屋 "で臼引き手打ち十割り蕎麦と車海老天ぷらに舌鼓」

 京浜急行「立会川」駅から旧東海道を品川方向にしばらく歩くと、軒先に大きな行灯を吊るした落ち着いた風情の家屋が左手に見えてくる。

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 創業安政三年の老舗 "吉田家 " である。

 創業から実に百有余年という歴史と伝統を誇る吉田家は、単なる蕎麦屋ではなく、蕎麦を主軸にした蕎麦懐石の名店である。

 久しぶりの来訪。いつものように大もり蕎麦と天ぷらの盛り合わせを注文する。

 待つことしばし、まずは天ぷら盛り合わせが到着。胴部と尾部で二つにカットされたやや小ぶりの活け車海老が二本、江戸前の手仕込みのキス、れんこん、いんげん、小ぶりのサツマイモといったネタが匠の熟練の技でカラッと揚げられている。

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 どれを食しても最高に美味い。特に活け車海老は、車海老ならではの濃い旨味と、活け海老特有のほんのりとした甘みが渾然一体となり凝縮感溢れる味わいを醸し出している。

 さらに、手仕込みのキスも白身魚とは思えないほどの旨味を感じる。これは経験により蓄積された適切な温度管理の賜物であろう。

 おくればせながら蕎麦が到着。光の加減ではややうっすらと翠にも見える蕎麦は、国内産蕎麦粉を贅沢に使った石臼引き手打ちの十割り蕎麦。こしの強い手打ち蕎麦は最高の喉越しと食感、そして芳醇な蕎麦の香りが特徴だ。

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 少なめに用意された蕎麦つゆは出汁の旨味とかえしの醤油のバランスが絶妙。ドブ漬けせず、軽くくぐらせて啜る江戸王道スタイルにはぴったりの蕎麦つゆである。

 蕎麦つゆに蕎麦をかるくくぐらせて啜れば、蕎麦の芳醇な香りが鼻をくすぐる。ほとんど咀嚼せずに喉越しを楽しむ。こしのある蕎麦はするりと喉を通り過ぎ胃の腑に収まる。

 蕎麦を食した後の楽しみは蕎麦湯。吉田家の蕎麦湯は白濁したトロみが強いタイプなので焼酎の蕎麦湯割りにも最適な逸品。ほんとり甘い蕎麦湯は、それだけでもグイグイ行けてしまう。

 最高の天ぷらと最高の蕎麦、これぞまさに極上の至福。

そば会席 立会川 吉田家
東京都品川区東大井2-15-13
03-3763-5903


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