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1945年8月9日・のオハナシその1

その日は本当に突然きたました。
ある開拓団の家族のことをお話ししましょう。
この家のお母さんは満州に渡って6年が過ぎていました。青年義勇団として先に入耕していた青年のもとに大陸の花嫁という麗しい言葉にうきうきと嫁いできたのです。
慣れない野作業にくわえて真冬には零下20度にもなる厳しい寒さも、なれるまで大変でしたが、広い大陸は春には一面の花畑!夏の地平線に沈む真っ赤な太陽の美しさはすばらしいものでした。

そして、何よりも夫の優しさが大きな支えになり、二人の子供にも恵まれ、先輩入植者の人びとも優しく、堅苦しい日本の田舎よりずっと伸び伸びしてようやく満州での暮らしに慣れ親しみ、ここが自分の故郷という心持ちもふかまっていました。

ところが1945年6月突然夫に召集令状がきました。
開拓団の男たちには召集が免除され、食料提供が大事な任務と言われていたはずなのに、その召集に驚きましたが仕方がありませんでした。
これが、いわゆる 根こそぎ動員 といわれる召集で、18才から42才までの男性ほとんどが満州の地で現地召集されたのです

団に残されていたのは、女子供と老人がほとんどでした
しかも・・自分体を守ってくれる頼もしい!と信じていた兵隊さんたち関東軍は国民を捨てて先に逃げ出しもぬけの殻だったことなど誰もしりませんでした。
                             つづく

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