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カウント

とある男性が建築会社で働くことになったんですが、何故そこに働くことになったかと言うと借金まみれで、闇金にも借りてしまい、住むとこもなくなり、住み込みで働ける場所を探し、その会社になったらしいんです。

社長は優しく「お前みたいに困った奴らばっかりだけど、みんか頑張って借金返してるから、お前もここから頑張れ!」と声をかけてくれて、親からも見放された彼からしたら、相当嬉しかったみたいで、頑張ろうと思いました。

「この部屋使え」と言われ与えられた部屋は、お世辞でも綺麗とは言えないけど、4畳ぐらいで畳もボロボロだけど、一応トイレは一部屋毎についていてありがたかった。

でも彼は闇金に追われていたトラウマもあり、不眠症のようになっていて、精神を落ち着貸せるためには目に入ったものの数を数えることらしいんです…

恐らく子供の頃に羊の数を数えるのと同じ様な効果があるのだと思います。

「1.2.3.4.5.6.7…」ととにかく壁の傷、柱の傷、壁に刺さった画鋲…
何でもいいから数を数え、眠りにつきました


そういう日々を繰り返したある日、仕事を終えて布団に入りいつもの様に数を数え始めました

「1.ウィーン2.ウィーン3.4.5ウィーン6.7…」

何故か数を数えている間に時々妙な機械音が聞こえ、気になり眠れなく、電気をつけて見たのですが、特に変わった事はなく…
その日は寝るのを諦めて仕事に行きました。

その晩も数を数え「1.ウィーン2.ウィーン3.4.5.6ウィーン7…」
機械音がまた気になり、眠れない日々が続き、とうとう仕事でもミスを繰り返す様になり、あの優しかった社長にも激怒されるようになりました…

全部俺が悪いんだ…

全部俺が悪いんだ…

だんだん彼の自我も崩壊しかけ、
1ウィーン2、ウィーン、3.4.5ウィーン.6.ウィーン、7ウィーン8…

部屋にいても、誰かに見られている気がしてだんだん恐怖に感じる様になり、この数を数えている合間合間になっているウィーンという音の正体に気づきました

あっこの部屋、俺の事をカメラで監視している…

その後部屋中を探したのですが、カメラは見つかりません…

どこだ!?どこだ!?
彼は狂った様に部屋のものをひっくり返し、カメラを探すのですが、全然見つからないんです…
その日は諦め布団に横になり、

1…

2…

3…

4…

5…

6…

7…

8…

9…

10…

いつもの様に数を数えてるとバン!突然
扉が勢いよく開き

「おい!!!お前何してるんだ!!!」

社長が部屋に入ってきて凄い剣幕で彼を見るんです…

その後記憶はなく、気づけば病院のベッドの上でした…
ゆっくり寝た事もあり、ようやく冷静さを取り戻しました…

医者からも精神的な病とストレスとで少しおかしくなってるので治療しましょうと入院することになりました。

入院してしばらくして、彼は色々なことに気がつきました、部屋にカメラなんてものありませんし、機械の様な音が聞こえたり、誰かに見られてる感じが終始するのは、統合失調症の症状だったらしいのです…

そして倒れる最後の日に彼が数えていた数字って、壁の傷でも画鋲の数でもなく、繰り返し切った自分の手首の傷だったそうです…


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