「今日は皆さんの、夢について考えてみましょう」

先生が、子ども達に話かけた。

「チクッ」

何かが胸に刺さる…

子ども達が次々に、夢を語り始める。

「お花屋さんになりたい」

という女の子。

「会社の社長さんになって、お金持ちになりたい」

男の子の発言に

「オレもオレも！」

次々に、男の子達の声が上がる。

そして

「男子は夢がないよね～」

と、女子の声。

教室が笑いに包まれた。

「そうそう、ほとんどの男子が、社長って言ってたね…」

あれ？

私、なんか覚えてる！

じゃあ、私は何て言ったんだっけ？

それは、思い出せない…

「ボクは、サッカー選手になって、海外のチームに所属する」

その言葉に、我に返った。

と、同時に「おおっ」と、どよめきが起きた。

「お前なら行けるぜ！」

次々と彼に声が掛かる。

「あっ！」

彼は、最近ニュースになっていた、どこかの国のサッカーチームに日本人初の入団を果たした…

ええっと…名前は…思い出せない…

『彼は、夢を叶えたんだ…』