追懐

NovelJam’ [dash] 2019 著者参加:ポートフォリオ

NovelJam’ [dash] 2019 著者参加となりました。嬉しいです。

今回は著者としてアピールすべく、ポートフォリオを作成しました。

◆noveldays

全部9月に書きました。

テーマ:【嘘】, リベンジ, 茨城県
狂った歯車(4,103文字)
https://novel.daysneo.com/works/616347e022889a583417baff972f9c6a.ht

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秋は追懐の季節〜NY編〜

#旅する日本語 をテーマに好き勝手に書いていたら、思わず規定文字数をオーバーしてしまったので、ここに番外編としてニューヨーク旅行の思い出を残しておくことにする。(400文字に収めるのは難しい、、、)

体にまとわりつく湿気が、いつの間にかさらさらと肌を撫でるようになり、乾いた空気が脇の下をすり抜けるのを感じる秋の始まり。
張り詰めていた糸が静かにプツリと切れるように、ふわりと旅に出たくなる。

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くっきりとした、夏

一人で、初の南半球へ旅に出た。

忘れたかった。

祖母は、この夏を越えれなかった。

一気に季節を越えたかった。

お正月、「あんたは誰や?」と聞かれた。

その8ヵ月前には、久し振りに会えたと大喜びして潤んでいた瞳が、警戒の光を宿していた。

祖母は、今年に入ってから急速に人格が崩壊していき、その変化の激しさに、何度も心がふるい落された。

老衰だった。

祖母の部屋を整理していると、今の叔母

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透明。

わぁぁ~!と歓声を上げる私を友人は微笑んでみていた

そうでしょう、という口にされなかった言葉が聞こえた気がする

初めて見る北陸の海はどこまでも透明で静かに波が

寄せて返していた

「井上靖の詩に『一枚の紺の大きい布を白いレースが縁どっている。』っていう海を例えた詩があってね...。」

はしゃぎながらいう私のおしゃべりを口数の静かな友人は黙って聞いてくれていた

私は海のそばで生まれ育ったけ

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あの頃の旅の記憶

ひとりで飛行機から降り立つ。

親と一緒に乗っていた飛行機もいつからひとりで乗れるようになったんだろう。

出口には、誰もいない。お迎えがいなくても、ひとりで目的地まで着くことができる。

空港からのリムジンバスに乗って中心地に出る。

自分で電車の時間を確認して、切符を買って、ホームへ向かう。

1時間に数本しかない電車。
ボタンを押してドアを開けて乗り込んだ。

電車に乗って、海を眺めていると

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夢は手に入ると思っていた頃、の話

祖父とふたり、旅に出たことがある。

行き先は、祖父の息子ーー叔父の単身赴任先である東京だった。今にして思えば、小学校一年生の孫を連れての上京。普段は信号もない田舎暮らし、なかなかの冒険である。

叔父と、この為に上京していた義叔母と、私たちは夢を売るネズミの王国へ向かった。記憶にないが、おそらく幼い私のわがままだったのだろう。それが私のディズニー初体験であり、祖父にとっては最初で最後のディズニー

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巡る、朝ごはん

人生で初めて、母と2人きりで旅行に行った。

小さな頃は喘息が酷く、あまり出かけられず、小学校に入る頃には妹が生まれた。
そのため、2人で泊まりがけで出かけるという機会がなかった。
23歳にして、初めて母との2人旅だった。

今回の目的地は、鳴子温泉。
澄み切った青空に、まだ夏の香りを残した緑の山々が目に映える。
おびただしい数のトンボが、元気に飛んでいた。
かつては、このような景色が日本各地で見

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お城とパンダと母

「あなた、あれすごく好きだったのよ。動物園に行くたび乗ってたわ」

母が目を細める。視線の先には、100円を入れるとゆっくり歩くパンダの乗り物。

「そうだっけ」

観光客で賑わうお城の、お土産物屋の隣にひっそり置かれたパンダ。たしかに、昔はよく見た気がする。

「そうよ。アイス食べながら乗ったら落としちゃって。泣いてたら店員さんが新しいアイスくれたのよ」

何歳のときの話なのか。覚えていないけど

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ありがとうございます。今日のラッキーアイテムは絆創膏
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弔い

彼の夏休みは、亡くなった祖母を弔う旅だった。
在りし日の祖母が「本当に綺麗だったのよ」と語った、北海道を回る旅。 わたしはそれについていくことになった。

彼の運転で、高速道路ではなく田舎道を走った。彼の祖母が見たであろう、目に飛び込んでくる北海道の大自然の豊かさを噛み締めるように、彼はハンドルを握って、時間を忘れて車を走らせた。

その旅はわたしの思い出の弔いでもあった。かつて住んでいた、もう会

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祖母の背中

「ようけ来てくれたんよ」

記憶の境界がぼやけてきている祖母は、何度も同じ話を繰り返す。内容は、会いに行くたびに変わる。今旬のお話は、祖父のお葬式にたくさんの弔問客が来てくれたこと。田舎町には珍しく、数百人の方々が最後のご挨拶に来て下さったそうだ。当時7歳だった私は全く覚えていないけれど。

昨年のお盆休みには、母への悔恨を繰り返していた。大学を受けなおしたいという母の希望を叶えてあげられなかった

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