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本を買い漁る

春休みのうち2週間を日本で過ごし、そして再びドイツに戻ります。
ドイツから日本に持っていったものは必要最低限。家に帰れば多少欠けているものがあっても借りることができたり、ドイツほど制限なく買いに行くことができるので、1つ目のスーツケースの半分にはいつもの化粧品やスキンケア、少しの洋服(1-2着くらいしかない笑)を入れ、反対側に少しだけドイツからのお土産。
2つ目のスーツケースは全く荷物を入れず、すっからかんにしてドイツから日本に飛びました。
理由としては、日本から色々ドイツに持って帰って自分の生活に役立てたいから。
好きなお茶とかドイツでは手に入らない鰹節だったりお出汁の粉だったり。いわゆる日本食だったり、日本でしか手に入らない自分のお気に入りを持って帰りたいから。

そう思っていたのですが、私がひたすら出かけてどこかに行くたび買い漁っていたのは「本」。とにかく「本」でした。
スーツケースというか、日本で自分のために買ったものの合計の半分以上は「本」。活字中毒というか、本を読むことが私の精神安定剤であること、日本語の本はドイツで手に入れることはできないので、ふらりと寄る本屋さんで何も買えなくなったことから、とにかく本が欲しいと思いました。そして勉強がしたい、その一心でした。日本を離れていたのはそんなに長くない期間ですが、目に映るもの全てが新鮮だったり、いつもは何気なく見ていた風景がこんなにも懐かしく、尊い日常だったのだなあと思います。

これまでに自分が買い集めていた本、日本で読みかけになっていた本を実家の本棚から取り出し、最近の話題図書、音楽の学術書や専門書、日本の状況を知るための本、好きなアニメ映画のノベライズ本からエッセイ本まで、目について読みたいと思ったものを買い漁りました。今までこんな値段のお会計を本屋さんでしたことなかったな…とびっくりするくらい本に対して投資をしたのですが、私としては充実していました。

小さい頃から、両親の教育方針として「本は好きなものを好きなだけ。本に費やすお金は無駄なものではないから、満足するまで読みなさい」と言われていたこともあり、本には惜しみなく投資をしてもらいました。
漫画やおもちゃ、ゲームをねだると渋い顔をする両親ですが、本に対しては私が読みたいと選んだ本について何も言うことなく(それがたとえ、年齢にしては幼稚な内容だったり、そのまた逆の読めないのではないか?という難解な本であっても。唯一本で渋られたのは、母に何か1冊欲しい本ある?と聞かれて「中原中也全集」と答えたとき)、何も言わず、自由に与えてもらいました。そのおかげで本を読んで勉強する、学ぶ、活字を追うことが好きになり、家族団欒の時間には最近読んでいる本の話をするようになったり。家の至る所に家族それぞれの本がいつでも置いてあり、本を読むことが日常の一部でした。
母方の祖父、母の姉(つまり私にとっての伯母)からお誕生日には本がプレゼントで、毎年楽しみにしていました。
「ひとふさのぶどう」「12星座とギリシャ神話の絵本」「こすずめのぼうけん」…絵本から子供の学習本、図鑑、単行本から文庫まで幅広く、選んでもらえることが嬉しかったのと、だんだんと難しい内容や印刷の字が小さくなっていくことで少しずつ大人に近づいていることを実感できるのが「本を読む」ことへの自信にもなっていました。
4つ下の妹も同じように本がプレゼントだったのですが、妹は自分が読みたい本のリストを祖父に渡して、祖父が一生懸命本屋さんで店員さんに聞きながらどっさり本を抱えてくる、というのが毎年の恒例行事でした。
私はどちらかというと、本を「選んでもらう」ことが嬉しかったので自分からこの本を買って!と言うより、祖父の目線から贈られてくる本を楽しみにしていました。同じように本に触れている姉妹でも、読む方法や本の買い方はそれぞれです。

引っ越しをするときに「絶対に手放したくない本」のリストを作り、その中からさらに「新居においておくと安心する本」に選別して、厳しい基準を満たした本を持って家を出ました。
その本たちが新しい本棚に移っても、ちゃんと陳列されていることと手を伸ばせばすぐに届くことの嬉しさに浸っていたのですが、その本たちは「読む」ことを目的としていない本で「存在する」ことに意義がある本でした。
そのため、手にとってページをめくったとしても一字一句覚えているし、展開も内容も全て自分の中にあるので、本を「読んでいる」感覚が私にはありませんでした。日々忙しく、昔ほど本を読む時間をしっかりと取れなくなってしまっているのですが、なんとなく寂しい。そして、Instagramでゆるりと投稿している「音大生の本棚」の更新が滞っているなあ、フォローしているアカウントから発信されている新刊の情報や私が読んだことのない作家さんの本が流れてくると、「ああ、いいなあ。本屋さんで延々に本を眺めていたいなあ」と思うようになりました。
ドイツの本屋さんにも何かと理由をつけてふらりと行くのですが、ドイツ語の本・ペーパーブック、ドイツのベストセラーを手に取るのはハードルが高いので、結局小説ではなくて、ドイツ語の教材コーナーで泣く泣くドイツ語勉強のための本を見ていたり、小さい子に紛れてドイツ語の絵本コーナー(しかも3-5歳くらいの子に向けた絵本。勉強しているとはいえ、本を読もうとなるとハードルが高くて、結局わかりやすくてなんとか読めるドイツ語の本を探すと絵本になります。それでも、絵本を読むのは結構難解。文化や育っている環境背景が絵本は色濃く反映されるので、表現が難しいです…)

日本語の活字がとにかく追いたい、日本行きの飛行機に乗る直前までAmazonや色々なSNSで読みたい本を探し続けました。
また、いつものロングフライトの時には本を持っているのですが、今回は我慢。帰ってくる時のために少しでもスペースを空けようと少しの足掻き。笑
どんな本があるかな、何を読もうかなとワクワクしている時間が楽しいです。

結局スーツケースには入らず、結局因縁の(!)EMSでドイツに戻った後、母にゆっくり送ってもらうことに。
妹に宛てた本もあるので、それは楽器ケースに括り付けるようにして機内持ち込み。
自分の体重以上になりそうな荷物を抱えて、再びドイツへ。

すっかり慣れたロングフライト。
深夜の空港から飛びます。


おまけ:私が日本から持ってきた本のリスト
(把握しきれていないので随時更新です)
・芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?
・詳解 大学院への英語
・大学院入試の英文法
・心理院単
・院単
・心理系大学院入試&臨床心理士試験のための心理学標準テキスト
・君と跳ぶこの銀盤
・PSYCHO-PASS Providence
・私たちの世代は(母から私への選書)
・ヨーロッパ史 拡大と統合の力学
・だから自分を変えたのです ダイアナという生き方
・シャネル哲学 ココ・シャネルという生き方
・英語長文問題精講
・場面別 ディアロークで身につけるドイツ語単語4000
・グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない(母から私への選書)
・小説現代2月号
・父が息子に語る壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書
・脳の闇
・燃えよ剣

まだあったと思う…パッと今は思い出せない…

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