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日々是くらげ338日目「右耳に新しい人工内耳を入れたことに対しての覚書」という話

6月28日から7月1日まで人工内耳の手術のための入院をしていたら退院後もなかなか体調が戻らず最低限の仕事をするのが精一杯で日記を書くのをサボっていた。一度リズムが途切れないものはなかなか戻らない方なのでなかなか書き始めるタイミングを掴めていなかったのが、7月14日(金)に手術をした右耳に外部装置をつけて音入れをしたので、本日から人工内耳をつけため右耳の成長メモを兼ねて日記を再開する。

とりあえずこれまでのことをざっくり書く。

6月18日 最終検査&意思確認。麻酔医から「絶対にタバコをやめろ、電子タバコも駄目だ、入院直前に吸っていることがわかったら最悪手術中止もありえる」と脅される言われる。耳鼻科で簡単な診療と最終的な意思確認・手術内容の説明。「あなたは2回目だから言うまでもないだろうけど~」と手早く行ってもらえたので話が早い。15年ぶりの手術なのだが基本的なところは変わっていない模様。さまざまな書類にサイン。その後、ADHDの薬を飲んでいる関係で精神科に行き、何故か医学生が大量にいる中で現状説明。さすが大学病院である。「特に問題ないですね」と言われて終わり。なんだったんだ。最後に入院相談センターのようなところで入院に関する事務手続きをする。基本は差額ベッドであるが無料ベッドに空きがあればそちらを案内する、ということなので無料ベッドを申し込む。

6月19日 妻にタバコに関する諸々を全没収される。

6月27日 妻をつくば市にあるショートスティ施設に送り届ける。病院から連絡があり「差額ベッドしかない」と残酷な宣言。なんで4人部屋なのに差額ベッド代が取られるのかわからない。とはいえ、入院しないという選択肢がないので渋々承認。こういう事態になること自体は前回の入院手続きのときに説明しているから差額ベッドしかない場合に差額ベッド代を無しにするということはできないということ。さすが西新宿にビルのような病棟を構える大学病院である。どこで人工内耳の手術を受けるかでベッド代によって費用に差ができる可能性があることは学んだが、人工内耳の手術ができる病院は特に都内はどこもかなり高い気がする。

6月28日 14時に入院。入院手続きや簡単な検査を行う。暇なので持ち込んだiPadを使って病室で仕事をする。病室は18階で西新宿駅を見下ろせるところで「これが差額ベッドのちからか…」となるが、実利的には特に面白いことはなにもない。少々夜景がいいくらいか。主治医に「どうせ暇だし差額ベッド代がもったいないので問題ないようなら7月1日に退院させてくれないか」と相談したらあっさりOKをもらう。適当な時間に点滴を打たれて入院患者っぽくなるが大変元気なので違和感があった。夕食を食べたあと、再び仕事をして消灯時間。消灯時間になっても隣のビルでは普通に働いている人が見えるので「ご苦労さまです…」となる。夜景は誰かの残業で灯っているのである。眠らなけれればならないのでとりあえず睡眠薬で落とすが、微妙のエアコンの効きが悪いのか緊張ゆえか変な寝汗が酷くて1時間に1回は目が覚める。0時からは水分も禁止のため水分補給のための点滴があるとはいえ気分的には少々しんどい。

6月29日 朝食も抜きなので特に何もすることもなく暇だが流石に手術を前にして仕事をする気にもならず、Netflixで適当なアニメ(幼女戦記)を見る。頭を使わず時間を潰したいならアニメは結構使えるということを学ぶ。14時頃から手術をするという連絡はあったが、麻酔の時間もあるので12時頃に手術着に着替える。いわゆるエコノミー症候群防止のストッキングもあるのが前回の手術との大きな違いか。(ノーパンで)歩いて手術室まで行き、そこで手術用のベッドに横たわって点滴から麻酔が流される。1分もかからず(おそらく3呼吸)で意識が途切れ、16時30分頃に「北朝鮮!」という強い思いと共に起きる。本当に何なんだ、北朝鮮。金正恩の拍手で成功の祝福などされたくない。起きて1時間くらいカテーテルが挿入されていることによる強い尿意と酸素吸入のために喉に突っ込んでいた管を抜いたことによる不快感や吐き気でかなり混乱していたが、一旦吐いてタンを出したりカテーテルに慣れることで少しマシになる。19時45分にカテーテルを抜いて飲食許可が出るということだが、流石に切開した痛みもあるし、中途半端に意識が覚醒しているのでやはりアニメを見て時間を潰す。血界戦線は内容はよくわからないがシーンはかっこいいので特に頭を使わず見るには良かった。時間になってカテーテルを抜かれたが、あまり経験したくないタイプの感覚があった。買って小型冷蔵庫に入れていてペットボトルの水(なぜか大学病院オリジナルラベル)を飲む。点滴を打たれているので喉が乾くということはないが気分的にはマシになる。夕食は普通に常食を食べる。妻にLINEを送ったら「手術当日にご飯大盛りを完食ってゴリラかお前は」と言われる。先日に引き続き睡眠薬があまり効かず寝汗と耳の痛みに悩まされるが、明け方になんと意識が途絶える。とはいえ、前回は明確に切られた痛み、という感じであったが、今回は「まぁ、痛いか…」くらいで「切られた!」まではなかったのでナースコールを押して痛み止めをもらうほどでもなかった。

6月30日 耳というか頭部全体が熱を持っている感じがあって流石にフラフラで気持ちが悪い。ベットが小さいので足を伸ばすと頭部がベッドのヘット部にこすれるため、包帯と耳あてがズレるので何度か巻き直してもらう。耳から変な汁がでる感覚があり気持ち悪いがそりゃガッツリ切開したのだから仕方ない。とはいえ、食欲は普通にあるので朝食も普通に食べる。10時から耳鼻科の処置室にて簡単なチェック。特に問題なし。翌日退院でOKという許可をもらう。7月14日に音入れ(外部装置をつけて調整すること)が決まる。その後は流石に仕事をする気になれずぼーっとして1日を過ごす。頭部以外ならシャワーを浴びれるがどうするかと聞かれたのでとりあえず体を洗ってひげを剃る。部屋に戻ったら点滴用の管を抜いてもらったが、シートを剥がすときに腕毛が一気に引っこ抜かれて本当に痛かった。その後、事務係から「明日、この金額を払って退院してください」という請求書の見積もりを渡される。事前に高額療養費の申請やら自立支援(更生医療)の手続きやらをしていたので実費負担は正直「日本国民の皆様すみません、いただいた税金その他で頑張って仕事をします…」とひれ伏したくなる額に収まる。ただ、その分、差額ベッド代がかなりのしかかる感じで1日も早く退院して正解だ、となる。この日も寝苦しくて微妙につらいまま朝を迎える。

7月1日 朝10時に再び処置室にて検査。やはり問題ないとのことで退院が決まる。部屋の片付けを行い、12時過ぎに病棟を出て会計を終わらせて電車で帰る。なんやかんやいって耳を切る&異物を埋め込む手術をしたので痛みやら平衡感覚の崩れやらめまいやらでフラフラになる。スーツケースも軽くないので、可能なら誰かに送り迎えしてもらうとかタクシーを使って家まで帰ったほうがいいと思う。最寄り駅についたら激しい雨。心折れたので最寄り駅から家まではタクシーを使う。帰宅したあとは一眠りして諸々の片付けを行う。コンビニで晩飯にして締切がやばい仕事をする。妻にLINEを送ったら「退院当日に仕事をするとかゴリラかお前は」と言われる。

7月2~3日 耳の痛みとめまいはあるがとりあえず仕事ができる範囲なので仕事をする。ただ、熱っぽいこともありあまりはかどらないので早々に切り上げる。前回は一週間ほど何もできなかったことを考えると随分と技術は進歩したと思う。タバコを吸いたくなるが我慢。

7月4日 妻を迎えにつくば市まで行く。左耳の人工内耳だけで運転するのははじめてで右耳の補聴器から少しとはいえ音を取っていたのでバランスが崩れる関係もあって運転がちょっとしんどかったが無事帰宅。

7月5~13日 平衡感覚が戻らず、また、右耳からの情報が全くとれないので聞こえが悪い上にめまいや軽い酔いのようなものがくるのでずっと疲労感がある。早く音入れができればいいのだが、左耳が慣れたのは音入れから3年くらいかかったので、脳が音に慣れているとはいえ右耳がどんな聞こえ方をするか、どれくらいリハビリが必要なのか未知数なので不安半分楽しみ半分のまま時間を過ごす。

7月14日 人工内耳のさまざまな付属品を渡されるので首都高を運転して西新宿まで行く。耳のバランスの悪さにも慣れてきたのかそれほど問題なく病院着。病院の駐車場は高級車ばかりなので75万円で買った軽バンで擦らないように慎重に駐車。受付して13時から調整開始。内部装置の電極の状態を調べると各所のコイルに問題はないということで新しい人工内耳を装着する。機種自体は左耳と同様のコクレアのN7のため使い慣れているものではあるが、補聴器より大きいのもあり右耳にかけると違和感はある。また、左耳は人工内耳とメガネのツルにあわせてくぼみができていて収まるのだが、右耳はとうぜんそんなことはないのですぐに耳から落ちる。ただ、あまり強い磁石を使って頭部に装着すると痛むので、とりあえず左耳と同じ4の磁力の磁石を使う。慣れたら少し肉が薄くなってちょうどよくなるのでは、とのこと。調整はまず、完全にフラットな状態から周波数ごとに「かすかに聞こえる」と「不快にならない程度に大きい音」を探っていく。慣れているので20分ほどで終了。あとはソフトウェアが自動的に調整を行って、それを言語聴覚士が微調整して人工内耳にマップデータを移植する。早速マイクを入れてみると、最初は何も聞こえなかったが1~2分ほどでわずかに鋭い痛みを伴う音というか軽い痛みで音を感じるくらいになる。前回はこの時点で脳内を金属たわしでかき回されるような苦痛があったので、非常に拍子抜け。ただ、「つけたらすぐにきこえるようになっていないか」という期待もあったが、そんなこともなく、まともに聞こえるようになるまで半年~1年はかかるな、という感触がある。右耳だけだと刺激は感じるが何を言っているかとかなんの音かは全然わからない状態。ただ、補聴器もそんなものなので、ここから慣れていけば補聴器よりかなり聞こえる範疇は広がるだろうという期待はある。音入れは普通は1~2時間はかかる作業なのだが、40分ほどで終了。今の人工内耳はスマホのアプリで調整できるのだけど、左右同時に調整アプリが使えるようにするには人工内耳の特殊な操作が必要とのことでこちらも調整を行う。この手順はAndroidだと少々めんどくさいらしいが、この前、iPhoneに変えたので順調に設定が終わる。その後、医務室にて医者の検査と抜糸・耳の奥に入ってるガーゼの抜き取りを行って本日は終了。帰宅後、いろいろ設定したりiPhoneで両耳で音を聞いてみたりしているが、音の左右のバランスは補聴器をつけたとき程度にはマシな感じで、あとは慣れ次第かな、というところ。現在では「水に沈んだ状態で調整の壊れた初音ミクを流しているくらい」の状態。問題は人工内耳がよく外れて落ちてしまうことと、まだどこに人工内耳のコイルを入れたらいいかわからずつけるときに迷うことか。次回は7月28日にリハビリだが、そのときに磁石やコイルについても相談する予定である

以上、ざっくり終了。(ざっくりとは?)

妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。