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英語を「読むこと」と「聞くこと」それと「文法」に「音読」とは。

まずは次の英文を読んで、意味を考えてみてください。

I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors.

I stand here today humbled by the task before usの部分をしっかり意味が取れた人はOKです。ちょっとでもわからなかったらこの先を読んでください。

まずは、以下の動画を見てください。2分37秒から2分58秒までのところです。

どうですか、何か気がつきましたか?

I stand here today humbled by the task before usの部分を一息では言っていませんね。「休止」部分がありました。気づかなかった方はもう一度聞いてください。
どこに「休止」があったでしょうか?

I stand here today
で一度「休止」がありました。
そして、
humbled
と言ってから、少し「休止」があり
by the task before us
と続きました。

休止は意味の区切りとして捉えることができます。休止の直前のイントネーションカーブなども意味を表しますが、ここでは扱わずに進めていきます。

そうすると、休止を目印に意味を捉えていきます。

I stand here today

standは「状態」を表す動詞ですので、「今日、私はこの場に立っています」という意味だということは大丈夫でしょうか。
standが「立っている」という意味を持つ場合、その後ろには「どこに」という場所を表す語句が必要になります。他にもsitやlieなどがあります。
存在を表す動詞が出てくると、「どこ」→「いつ」という順序で情報が展開するパターンを押さえておきましょう。

この後にさらに情報が続くとしたら、どのような情報が必要でしょうか?
「どういった状態で」「どうして」「何のために」などの情報ですね。

humbledが出てきました。humbleという動詞は「〈人〉を謙虚にする; 〈人〉を卑しめる, 〈人〉に恥をかかせる」という意味ですが、humbledで一旦休止がありましたのでここでは目的語が続きませんでした。ということは、他動詞の過去形ではなく、過去分詞形だと判断します。

文中に突然「過去分詞」などの「分詞」が登場すると読みにくく感じるという人もいます。過去分詞などは形容詞の役割があることを頭に入れておきましょう。形容詞は「状態」を説明するということです。

ここで、standという状態動詞について振り返ります。動詞のstandは後ろに形容詞を取ることができます。たとえばstand stillで「じっと動かずに立っている」という意味です。

そうするとhumbledを形容詞として考えて「謙虚な気持ち」という意味で捉えることができると思います。

意味の区切りごとにもう一度ここまで考えてみます。

今日、私はここに立っています

謙虚な気持ちで

となりますね。続く部分はどうでしょうか。

by the task before us

とあります。by the taskは「責務によって」という意味で、続くbefore usは「私たちの目の前にある(私たちが直面している)」となり、さほど難しくはありませんでした。

意味の区切りでもう一度考えてみると
今日、私はここに立っています  
謙虚な気持ちです
責務によって 私たちの目の前にある

ここまでは、「今日、私は目の前にある取り組むべき課題に対して謙虚な気持ちをもって、ここに立っています」という意味だということがわかると思います。

続きをみていきましょう。同じように「休止」を意識してみましょう。
I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors.

grateful
for the trust you have bestowed

となっていましたね。

gratefulという形容詞が出てきました。stand+形容詞のパターンがここでも続いています。
形容詞で「感謝している」という意味で、何に対して感謝しているかが次に出て来るはずです。

for the trust you have bestowedのfor以下で「何に対する謝意」であるかを明らかにしています。
the trust「信頼」という名詞が出てきて、さらに何か説明を加えるのがyou have bestowedの部分です。bestowは見慣れない動詞かも知れませんが、The King bestowed a knighthood on the singer.(王はその歌手にナイトの爵位を授けた)のようにbestow O on 人で「人に〜を授ける・与える」という意味で使われます。
ということで、ここでは「(私に対して)信頼を寄せてくれたことにたいする感謝の気持ちで」という意味になります。現在完了形なので、その信頼は今でも寄せられているということも含んでいます。

残りをみていきましょう。
mindful
of the sacrifice borne by our ancestors

となっています。

gratefulと同じく形容詞のmindfulが出てきました。どのような気持ちでこの場に立っているのか、その説明がなされています。
mindful of〜で「〜を心に留めて、忘れないでおく」という意味です。

the sacrifice borne by our ancestorsのborneはやや難しい単語です。原形はbear(耐える、負う、持つ、生むなどの意味があります)です。
the sacrifice「犠牲」と言ってから「どのような犠牲であるか」を説明するために過去分詞形が用いられています。「私たちの祖先が負わされてきた犠牲」という意味で捉えておくことにします。
この犠牲を心にとどめておきながら、この場所に立っているということです。

もう一度動画の該当部分を確認してください。

正しく英語を「読むことができる」人は自分の頭の中で(無意識的に)「意味の区切り」を見つけて読んでいると思います。他にも語彙の知識、コロケーション、談話の流れなど様々な知識を総動員して読んでいるはずです。

そうすると「意味の区切り」を意識した読みの練習が必要となります。当然、文法の知識、語彙の知識、コロケーション、談話の流れを意識した学習も必要となりますが、そのときに「音声」も重要な役割を担います。音声教材を利用して、「休止」やイントネーションに気を付けていると「あ、ここで意味が切れているな」と発見することができます。この段階で文法や構文を捉えて読む練習をするとよいかもしれません。
そして、全体の意味がわかったところで、意味のかたまりを意識しながら「音読」をすることで、英語の文章構成法がわかってくるはずです。ただ、ひたすら「音読」ということで、お経のように何度も繰り返し読んでも意味がありません。「読んで理解する」ための学習として「音読」があり、「聞いて理解する」ための学習しても「音読」が有効です。

次の段階は英語を黙読しているときも頭の中で音読をしながら、意味を捉えていけるようになり、さらに頭で音声化しなくても黙読だけである程度意味が捉えられるという段階に入っていくはずです。






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