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生きている化石 「ラブカ」

皆さんはラブカという深海生物を聞いたことがあるだろうか
滅多にお目にかかれない魚で東京湾などで釣れた時は「幻の魚」と言われている。深海に生息する鮫である。
他に似ている生物が思い浮かばない独特の形で、迫力的な顔からは不気味さなども読み取れる。

一時期、駿河湾で漁業網に偶然引っかかったラブカがいたが、その子は沼津港深海水族館で展示されたが、たった3日で命を落としてしまった。
私たちがもし人生の中で生きているラブカを見れたらまさにそれは幸運なことである。

ラブカ特有の不気味の悪さからシン・ゴジラの第2形態のモチーフとして使用され、蒲田の街をめちゃくちゃにしたり、ボカロで使われたり、最近では「ラブカは静かに弓を持つ」という本でも題材に使われたりと、割と深海生物の中ではメジャーな生物でもある。

ラブカは他の鮫と比べても特異的な特徴を持つ、まず見た目は鮫の中では珍しい細長いフォルムをしている。その細長いフォルムから別名「うなぎサメ」とも呼ばれることもある。
他にも鰓や歯にはラブカならではの特徴がある。
まず、鰓だが、ラブカの鰓孔は6対で、このおかげで深海でも効率良く酸素を吸収できるような仕組みになっている。
また歯は独特の剣山のような形をしていて、食料が少ない深海で一度捕獲した獲物は逃さないと言わんばかりの鋭い歯になっている。

ラブカの独特な特徴は外側だけに収まらない。例えば、血液をとっても他の鮫とは少し違うのではないかとされている。ラブカの血液は天然状態でも2量体しやすい特徴は持っている。
鮫の血液の抗体は昔から可変領域の独自性から独自の研究が進んでいる。(アルパカの抗体もナノボディとして進んでいる)最近ではオーストラリアの研究で新型コロナウイルスのワクチンの原料として使えるのではないかと研究が進んでいた。

最初の方にも触れたがラブカは「生きている化石」である。
鮫の中でも古代の鮫の特徴を有しており、進化学的にも重要な種である。
昔から姿を変えずに進化してきたラブカはきっとその形態が最も適した形であったのだろう。

ここまで、ラブカの様々な形態を外からも中からも触れてきた。深海には様々な独自の進化を遂げた、または安定した環境化から遂げなかった生物が現存している。
魅力的な深海を生物一つ一つに焦点をあて、楽しんでいきたいものである。


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