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在日と呼ばれたくない人で悪いですか 3

【いい在日と、SNS】
次に、2019年に映画「主戦場」を見て、日本会議と慰安婦問題のつながりを知り、こんなにもこの国で「嫌韓ムード」が長く続いているのは、日本政府が差別を政治に利用しているからだとやっと確信を持つに至った。
(遅い… でも、知らない日本人がまだまだたくさんいるので書いておくよ)

他の人の意見や反応も知りたくて、サカサクラゲというアカウントで出直した。
そこではもう隠さず在日コリアンと名乗ることにした。セクシャリティも書いた。やぶれかぶれというか、なんというか。

そうすると、ぽつりぽつりと、朝鮮半島にルーツを持つ人たちや、LGBTQの人たちともつながりが持てた。
もちろん当事者同士でなくても繋がることは可能だと思う。でも当時の私にとっては「自分と近しい立場」にいる人たちと意見を言い合い、情報の共有をしあう場所ができたことはとても大きな励みになった。

これまで自分以外の在日コリアンのことは、親戚や父母の知人つながりといった、狭いコミュニティ内のことしか知らなかったのだ。
実名顔出し、夫の関係者とも繋がるFacebookのようなオープンなSNSではできないことだった。
また、仕事でInstagramもやっていたが、そこでも書けないことがたくさんあった。

さらにそれらのSNSでは「身近な人がちょっぴりウヨっぽい記事にいいねをしている」事実であるとか、「ワイドショーの嫌韓番組について物知り顔でヘイトなコメントを書いているフォロワーさん」情報なんかが知りたくもないのにたまに流れてきた。
そういうのを見ると気持ちが下がり、数日も、場合によっては何ヶ月もログインができなくなった。
(私には発達障害傾向がある。ちょっとしたことで頭がパニックになるのだ)


私が混乱し、やりきれないと思ったのは、これらの人は決して日本第一党とかの街宣に集まって旭日旗を降っているような「ウヨ」い人たちなんかじゃなくて、会ってみると穏やかで理知的で、趣味の良い、常識的な生活を送っている人たちだという事実なのだ。
ただ、人権意識が少し低く、歴史認識にも乏しいと言って良い。
戦後頑張ってきた日本すごいで終わっていて8月には例のアニメで泣き、加害してきたアジア諸国や沖縄のことは1秒も思い出さない。
韓国ドラマは見るし、音楽も聴くけど、「反日」はこわーい。で、それ以上考えない。我々については、「いい在日の人もいる。それらの人については私は何も批判してませんよ」っていう認識。

「いい在日」「悪い在日」ってどんな基準だろうね。
あなたのコメントに傷ついている私は悪い在日なんだろうか。
一歩引いてみても、「韓国の政治にコメントしたんです」っていうことなんだろうな。
韓国の政治をどうこう述べるよりも前に、日本の国会中継にもっと張り付いててほしい。
と、そんなことを思っていた。(今はFacebookもやめ、Instagramも放置状態、会社のグループに入れられてそこに鬱陶しいコメントを書く輩がいるのでついでにLINEもやめた)

そんなわけで、SNSは疲れるという話が長くなってしまったけど、まとめると
知らない人に差別的なことを言われるよりも、身近な人の差別的なコメントをサラッと見せられる方が数百倍苦しいし気分が悪い。
ということと、
匿名性の薄いSNSはマイノリティにとっては苦痛であることの方が多い、ということだ。

私の意見だけど。

4に続く。



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