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『薬屋のひとりごと』で再認識!身近な性病について

2023年秋から二期連続TVアニメ放送された話題作、日向夏さん原作の『薬屋のひとりごと』。主人公を産んだ母親は妓楼で働いていた妓女で、妓楼の客から梅毒に感染してしまいます。感染を放置した挙句に病状が進行し、最終的には精神的にも病んでしまいます。そんな梅毒について、少し調べてみました。

梅毒ってどんな病気?

この梅毒という病は、歴史的にも感染者数を増やしたり減らしたりしながらも、常に身近に潜んでいる細菌性感染症のひとつです。しかも、性行為や疑似性行為で容易に感染するため、誰しもが感染する可能性がある病気です。

感染経路は限定される。大部分は、菌を排出している感染者(後述の早期顕症梅毒(Ⅰ期、Ⅱ期)の患者)との粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものである。

国立感染症研究所

母子感染による先天梅毒といったケースもあるようですが、粘膜の接触ということは、傷口などの接触や、キスでも感染する可能性があり得るということ。
無症候の潜伏期間を経て、感染からの期間に応じて早期~後期(または晩期)梅毒というように、様々なステージに分類されます。後期になるほど重症化して、最終的には命に関わるような状態に。

The Great Imitator, 偉大なる模倣者

偉大なる模倣者、とも呼ばれるこの感染症は、その病期によって様々な症状が見られるようになり、後期では全身で進行します。何より気を付けなければならないのは、早期では無痛性の症状が多く、一時的に症状が自然消滅する、ということです。それでも自然治癒することはないので、しばらく経つと次のステージへと進行していきます。症状が自然消滅するということは、快癒したものと勘違いして、そのまま放置してしまいがち。医師の診断無しでは感染の事実も確認することが困難です。こういった背景からか、近年、爆発的に感染者数が増加しているのも特徴の一つです。

その他の代表的な性感染症である性器クラミジアや性器ヘルペスウイルス、淋菌などの感染者数はここ十年、ほぼ横ばいに推移しています。しかし、梅毒の感染者数は、2011年から2021年にかけておよそ十倍近くにまで膨れ上がっています。

厚生労働省 性感染症報告数より

治療法

有効な治療法があるので、できるだけ早く診察を受けることが肝心です。受け入れ難い現実には、つい目を背けてしまいがちです。それが若年層となれば尚更です。普段は健康への不安も少ないでしょうから、自然治癒に頼りがちです。しかし、梅毒は自然治癒しません
ペニシリン系の抗菌薬を投与して治療を行います。症状により治療期間などは異なります。しかも梅毒が治癒しても、新たな梅毒の罹患は予防できないので要注意。

感染予防は?

ある程度の予防環境も整っている現代では、それほど恐れる病気ではありません。パートナー以外との粘膜や皮膚接触を避けることや、性行為の際のコンドームの使用が防衛策となります。自分自身と大切なパートナーを感染症から守るために、十代のうちからきちんと認識してほしい情報です。

以前は、コンドーム=避妊具、という認識が強かったですが、むしろコンドームは感染症対策衛生用品です。感染経路である粘膜は性器以外にも目や鼻や口など、外部から異物が侵入するのを防ぐために機能しています。それだけ体のデリケートな部分でもあるので、病原菌の侵入を防ぐために予防は徹底的に。

診察について

私のパートナーが性感染症に罹患した際に、私も診察を受けたことがあります。梅毒ではありませんでしたが、診断を受けたことで感染の有無が明確になり、必要に応じた適切な治療を受けられるので大きな安心感が得られました。性感染症だからと恥ずかしがらずに、すぐに対処することが病状の深刻化や感染拡大防止につながります。

高校の保健体育の先生が面白い経験談を話してくれていたことを思い出しました。結婚を目前に全身くまなく健康診断をして、診断書をパートナーと交換したそうです。お互い健康という資産に対して何の憂いもないように、最新の情報を共有する、実行は難しくなさそうですが、つい見落としがちな点に着目した素敵な行動だと思いました。
今では妊活を視野に入れたブライダルチェックが認知されつつあり、同時に性感染症の検査も行われるようですが、それ以前に若年層の性教育やSTD(性感染症)診察がもっと身近で気軽に受けられるものになってほしいと思います。

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