見出し画像

読書記録:リチャード・ドーキンス『神のいない世界の歩き方』

宗教について学ぼうという流れから、ちょっと寄り道をして無神論についての本を読みたいなぁと思い手に取りました。リチャード・ドーキンス 著、大田直子 訳『神のいない世界の歩き方 「科学的思考」入門』(早川書房)。

本書はニ部構成になっており、第1部では主に旧約聖書と新約聖書について、神やキリストの教えは信仰するに値しないのではないか?ということを過激に論じていきます。第2部では進化論を丁寧に説明しつつ、宗教的ではなく科学的に思考することの大切さを説いています。

キリスト教の家庭で育ち、進化生物学者である著者は進化論についてのわかりやすい著作が人気のようですが、進化論とは「世界がどのように生まれたか」という宗教的説明を否定してしまうもの。あらゆる宗教にとっては不都合な真実について研究するには、無神論者になる必要があったようです。

著者のキリスト教への批判は、私の中にあったモヤモヤを言語化していて読みながら膝を打つばかり。そうか、だから私はキリスト教がしっくりこないんだなぁと納得してしまいました。美術や建築は素敵だと思うんですけどね。

進化論についての説明は平易すぎて少し読み飛ばしてしまいました。おそらく日本の学校で理科の授業を受けたら当たり前に教わるようなことばかりを、詳細に、悪く言えば長たらしく書いてあります。しかし例えばアメリカでは進化論を学校で教えることすら抵抗感を覚える人がいるとのこと。たしかに科学は科学として、宗教は宗教として両方を飲み込むことは難しいのかもしれません。

そもそも宗教は、それを信仰している両親のもとに生まれたほうが信仰しやすいのでしょう。生活のなかに当たり前にあり、まだ分別のない歳のうちに刷り込んで文化として「そういうものだ」と思わせるほうが、理不尽や非科学的なことに気づきにくいかもしれません。私にはそれが無かったから、宗教について学ぼうとしても納得できないことが多いのでしょう。

しかし著者の視点で足りないなぁと思ったのが、個人的には宗教の最大の機能だと思っている『死』への恐怖の克服の仕方についてです。無神論者や科学のみを信奉している人からすれば、死はすなわち無であり、天国や輪廻転生などは妄想に過ぎないのかもしれません。でも多くの人にとっては、死後の世界で評価されることが生きる意味になりえるし、許せない悪に対して地獄が用意されていると信じることで、私刑に走らずにいられるのかもしれません。

コロナ禍においては、個々人が科学を信じるかどうかが試された場面も多々ありました。宗教色が薄い日本においてさえ、マスクやワクチンへの考え方にはグラデーションがあり、必ずしも『宗教 対 科学』の二項対立が成り立たないようにも思います。

社会で生きている以上、自分ではコントロールできないことがあります。それに何とか意味を見出し前に進むためには、宗教が必要なひともいるのではないでしょうか。一方で、昨今注目されている宗教二世の問題もあります。虐待を伴うような刷り込みは言語道断だと思いますが、著者のように違和感をもったときに離れることも許されるべきでしょう。

無神論というアプローチは、私が宗教に求めるものや苦手な部分を引き出し、とても有意義な読書となりました。引き続き、宗教について深く掘り下げていけるような本を読んでいきたいと思います。



以下、雑記
*****

度重なる体調不良や投薬の必要により、この2ヶ月ほど不本意ながら禁酒しておりました。それが、ついに!今日から解禁となります!わーい!!やったー!!ひゃほう!!

年末年始はノンアルコールビールでやり過ごし、焼き肉では白飯をヤケクソになってかきこみ、お刺身を食べる度に日本酒を恋しく思った日々。クリスマスに作った過去最高のクオリティのビーフシチューを、なぜ私はワインといただくことができなかったのか!

しかし、そんな悔しい日々も今日で終わりなのです。ぬふふ。

今日はおうちでしっぽり日本酒をいただきます。冷蔵庫にずっと鎮座していたスペシャルな雨後の月。やっとあれを開けられるのだ。肴は炙ったイカでも何でもいいのですが、せっかくなのでデパ地下でお刺身を買って帰るつもりです。それと作り置きの鶏の照り焼きと、人参の和え物。最高か。

明日はラムとワイン!!愛しのラム!!

先日テレビ番組で、宮城野親方(元横綱白鵬関)が里帰りしたモンゴルで羊料理にしゃぶりついていたのを見てから、ずっと羊肉のクチなのです。今日からお酒が飲めることが確定したのが一昨日なので、行きつけのラムが食べられる店はすでに予約不可、グルメサイトを探検してラムとワインのどんぴしゃなお店を予約しました。

来週は友人と生ビールをたくさん飲む約束をしています。もってくれ、私の肝臓。急にたくさん働かせて申し訳ないけれど。

しかしお酒との再会もそれほど長くはなく、しばらくするとまた薬とのお付き合いが予定されております。(重病とか命に関わる状況ではありませんのでご心配なく。。。)

人生にこんな時期があってもいいよね。お酒への愛が深まるもんね。


今回も読んでいただきありがとうございました!!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?