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"Design of Light" Behind The Scenes

2023年7月29日〜30日で開催される、武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科 オープンキャンパスで、修士の授業である「デザインエンジニアリング」の成果物も展示することになったので、今回はその個人的な舞台裏を書きたいと思います。

市ヶ谷キャンパス初のオープンキャンパス

これまで武蔵野美術大学のオープンキャンパスは鷹の台キャンパスで実施されていましたが、今回クリエイティブイノベーション学科が市ヶ谷キャンパスで初のオープンキャンパスを実施します。
私の通っているのは「クリエイティブリーダーシップコース」となりクリエイティブイノベーション学科の修士コースの位置づけです。

今回のオープンキャンパスの日程が確定したのが5月末頃だったと思うのですが、その時には既に郡山での「研究開発会」が決まっていたのでフル参戦はできないのですが、オープンキャンパスでは教授陣の説明会、相談会を始め、学部生・修士生によるワークショップや制作物の展示があります。

私は、「造形構想基盤演習」という授業でやったワークショップ企画の一部と、「デザインエンジニアリング」という授業で制作した”Design of Light"の展示に携わりました。(運営には全く関われずでした・・・。)

このnoteでは主に”Design of Light"の制作についての過程や気づきを書いていこうと思います。

デザインエンジニアリング

デザインエンジニアリングの授業では、

「美しいと思う光」を発見し、それを改めてデザインしエンジニアリングして現実世界で表現する - Design of Light -

デザインエンジニアリングの概要

ということをやく2ヶ月かけて実施しました。エンジニアリングには、ハード、ソフト、ネットワーク、データ、などなど何でもOKで、その技術をどのように活用してデザインを現実世界で表現するか?というのがポイントになります。

といっても、さすがに「何でもOK!」だと授業にならないので、このデザインエンジニアリングでは「Arduino」というワンボードマイコンを使います。

Arduino以外にも、ムサビには制作スタジオがあり、3Dプリンタやレーザーカッター、真空成形機などを使って表現します。

「見過ごしているものに気づく」

授業のテーマは”Design of Light"ですので、まずは個人が美しいと思う光を見つけるところから始めます。
私自身はこのテーマ探し自体はそれほど迷うことは無く、こちらのnoteに書いた「蛍光灯の強い光のON/OFF」にしました。

少しわかりにくいのですが、この蛍光灯がONのときは気づかないと思うのですが、右側にシールが貼ってあって蛍光灯がOFFになって目が慣れてくると見えるようになる、そして一度その存在に気づくと再び蛍光灯がONになっても見えるようになる、と言う部分がすごく面白と思っています。

ちなみに、このテーマはTwitterの固定ツイにも設定していて、大学院に入るときの研究テーマはもちろん、「スタートアップ特論」という授業の企業テーマにもしています。

どのようにエンジニアリングするか?

デザインエンジニアリングの授業に話しを戻します。今回メインでつかうのはArduinoというマイコンです。これはPCでプログラミングをしてそれをマイコンに流し込むことでLEDを光らせたり、センサーで値を読み取ったり、モーターを動かしたりすることができます。今回買ったセットこちら。

プログラミングは、、、ハイ、ChatGPTさんにめっちゃ手伝っていただきました😅 Arduinoはすごく有名なマイコンのようで、Web上にサンプルもたくさんありますし、その結果ChatGPTさんも色々なサンプルを書いてくれました。
また、Arduinoむき出しでは今回表現したい「美しい光」にはならないので、3Dプリンタでケースを作成してそれに格納することにしました。

今回は上記のセット以外にもいくつかパーツを追加しました。

そして、今回私が表現したかった光はこんな感じです。

  • 強い光がゆっくりだが、ぐるぐると回っている

  • その動きはゆっくりで、今にも止まってしまいそうだ

  • 光っていないところに触れるとその光は弱くなる

  • するとその周りに弱い光がいくつかあることに気づく

NeoPixelのリングライトでぐるぐる回る光を表現して、タッチセンサーで光のON/OFFを制御して、弱い光は付属のLEDでイケんじゃね?!と思っていました、、、7月頭までは。。。

全然できない・・・

本当にぜんぜんできなくて愕然としました。。。思ったとおりにLEDは動かないし、タッチセンサーは感度が強すぎるし、その値を持ってくるとかまじで無理!ってなりました。

そこで、少し軌道修正しました。

  • 強く光がある

  • 箱に触れるとゆっくりその光が弱くなる

  • するとその周りに弱い光がいくつかあることに気づく

ちなみに付属のLEDでは光が拡散してしまい「弱い光」が表現できなかったので、こちらの光ファイバーを導入して、光を局所的に点在させることにしました。(ちょっとデザインエンジニアリングっぽい)

灯りを消せ

たまたま友達もTwitterで同じようなイメージのことを呟いていたのでコメントしたら「灯りを消せ」という河合隼雄さんエッセイを教えてもらいました。

何人かの人が漁船で海釣りに出かけ、夢中になっているうちに、みるみる夕闇が迫り暗くなってしまった。あわてて帰りかけたが潮の流れが変わったのか混乱してしまって、方角がわからなくなり、そのうち暗闇になってしまい、都合の悪いことに月も出ない。必死になって灯(たいまつだったか?)をかかげて方角を知ろうとするが見当がつかない。そのうち、一同のなかの知恵のある人が、灯を消せと言う、不思議に思いつつ気迫におされて消してしまうと、あたりは真の闇である。しかし、目がだんだんとなれてくると、まったくの闇と思っていたのに、遠くの方に浜の町の明りのために、そちら
の方が、ぼうーと明るく見えてきた。そこで帰るべき方角がわかり無事に帰ってきた、というのである。

河合隼雄「こころの処方箋」

展示をするということ

実は私用で授業は1回休んでしまったんですが、なんとかかんとか制作物は完成させることができ、いよいよ展示と言うところで、「どこに触れたら良いかわからない問題」と「会場が意外に明るい問題」に気づきました。
作っている自分では気づけなかったけど、展示をしているときに同期に教えてもらいました。
そこで急遽「触る場所をディレクションするためのパネル」と「暗さを確保するための囲いパネル」を作成しました。

「製品の完成」が完成ではなく、「展示して見てもらって(できれば感想をいただいて)」ようやく完成なんだと改めて強く思いました。

ぜひ「倉林工房」のロゴに触れてみてください。

研究につなげていく

このテーマは私のライフワーク的なテーマですので、引き続きこのテーマを深掘りしていきます!

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