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テナチュールと谷𠮷孝之さんの花器〜竹久夢二の世界の来臨

倉敷の花屋、アトリエ・トネリコの店内で、少しくすんだ渋い感じの、和装を思わせるような、ばらの花と出会いました。店主の岬 美由紀さんよれば、佐賀県のFINE ROSEさんによる「テナチュール」という品種とのことでした。テナチュールとは、フランス語でストレートティーを意味するとのことです。なるほど、ばらは、少し茶色味を帯びています。岬さんのお勧めもあって、一輪買い求めました。

テナチュールを生ける花器には、備前焼作家、谷𠮷孝之さん作品をチョイスしました。谷𠮷さんの作品は、中性的なやさしい感じが持ち味です。筆者の手元にある谷𠮷さんの一輪挿しは、なだらかで優美な曲線で仕上げられ、着物の襟元がデザインされています。やわらかみのある肌の色をしていて、花を慎ましく迎え入れます。

そんな谷𠮷さんの一輪挿しにバラを生けてみると、和のテイストを保ちつつも、自立した花の主張も感じる、とてもしゃれた雰囲気になりました。

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それは、竹久夢二・作「朝霧」で描かれた、和装の女性を彷彿とさせました。

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竹久夢二・作「朝霧」(ギャラリーメリーノによる)

倉敷本通り商店街の竹久夢二ショップ、ギャラリーメリーノの店主で、創作着物デザイナーである清水繁子さんによれば、その女性は、あえて着物の赤い腰紐を見せるようにして、個性的でしゃれた着こなしをしていて、竹久夢二の美的センスがよく現れているとのことでした。

花と花器の奇跡的なコラボによって、我が家のリビングにつかの間、竹久夢二の世界が来臨しました。


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