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器用チーム、不器用チーム ~花屋の思い出。

ご存じの方はもう少ないかもしれないのですが、くらしアトリエは何年か前まで、「お花屋さん」に携わっていました。

…と言っても、うちの法人スタッフが米子市の「'tis clay」さんの一角で、「お花マルシェ」というお花屋さんを担当していた、ということなのですが、2007年から約7年にわたり、生花とブーケ、アレンジメントを中心に、「普段の暮らしに、もっとお花を」というコンセプトのもと、花と雑貨のご提案をしていました。

お店は通常1人で切り盛りしていたのですが、繁忙期にはくらしアトリエスタッフも駆り出されます。皆さん、お花屋さんが一番忙しいのっていつだと思いますか?

結婚式やお葬式などの冠婚葬祭をのぞくと、一番忙しいのはそう!母の日です。

5月の第2日曜日をめがけて、ギフトのセットを企画し、ウェブショップページを作り、オーダーを受けつつ、メッセージを印刷し、実際の製作や梱包まで…とにかく母の日当日までは慌ただしい日々。今となってはいい思い出です。

ただ、お花が好きだし手伝うことはやぶさかではないのですが、実は私、連休前からかなりブルーな気持ちで過ごしていました。

なぜなら、私は「不器用」だから。

くらしアトリエスタッフには「器用チーム」と「不器用チーム」があり、その間には目に見えない、そして決して超えられない高い高い壁があるのです…。「不器用チーム」のメンバーは2人だけなんですけどね。ちなみにその2人がくらしアトリエの中心メンバーなんです…。

2人の中でも私はかなり不器用で、どのくらい不器用かというと「蝶々結びができない」くらいです。

そして、器用チームと不器用チーム、どう違うかと言いますと、例えば「リネン紐を箱に十文字にかけて、蝶々結びで留めるラッピングを、合計10個作る」という作業をするとき、

◎器用チーム …あらかじめリネン紐を必要な長さに計って10本カットし、その後、箱にひとつひとつリボンがけする

◎不器用チーム …とりあえず1つめの紐をテキトーにカットして箱に対峙し、「あ、長かった!」と余った紐を切る。次は思い切り短くカットして「あ、短かった…使えないなこれは」…って感じで、てんでバラバラなラッピングが10個できる、そしてけっこうな量のゴミが残る

という感じです。

…書いていて思ったけど器用とか不器用の問題じゃないかも?性格の問題?やる気はあるんだけどなあ…。

母の日の作業では、器用チームのメンバーがアレンジの補助やブーケのラッピングなどをさらりとこなすのを尻目に、私はアレンジの外側に保護用のセロファンをかけることすら満足にできず、お花マルシェスタッフに「え、真剣にやってる?」「去年も同じことやったじゃん」「いや、これどう見てもおかしいでしょ」などと言われ、そのたびに申し訳ない…と思いつつ、うまくできない自分の手を恨んだものでした…。

最初はアレンジやブーケのグリーンをくるくる巻いたりする役目を仰せつかったものの(私にとっては花形の作業!)、夢中になってやっていたら言われた数の倍くらい作っちゃったりして呆れられ、そこから「アレンジのセロファンがけ」→「作業場の床のほうきがけ」と格下げとなり、最終的に「発送用の段ボールを組み立てる」というのが私の固定作業となりました。どんだけ不器用なの?って感じですが…。

当時は、「母の日なのになんでこんなに大変なんだ…私だって母なのに…」と思いながら作業をしていましたが、喜ばれるお客さまの顔を拝見したり、ネットショップでお買い上げいただいた方からメッセージを頂いたりすると、やっててよかったな~としみじみ思うことも多く、今となっては得難い経験でした。

何より、お花が好きだ!という「お花マルシェ」スタッフの、生花に向かう真剣な姿勢はとても刺激になり、自分も自分の役割の中で精いっぱい頑張らないと!と気を引き締めたものです。不器用チームに対する叱咤激励も、「お花を無事にお客さまにお届けする」という熱意と誠意から来るもので、しょんぼりはしたけれど、腹は立たなかったなあ。お店がなくなってもう何年も経ちますが、今でも何かとお花が入り用なときには「あ~、お花マルシェがあったらな」と思うことも。

相変わらず不器用チームは不器用ですが、不器用な人はその代わりに、器用な人にはできないことができる!…のではないか、とも思います…そう願いたい!

あらかじめ想定してその通りにする、ということが苦手な代わりに、突拍子もない妄想をしたり(それが時にいい企画として形になることもある)、ゼロから何かを生み出したり、というのが「くらしアトリエ不器用チーム」の得意なこと。

両方持ち合わせていれば無敵だと思うのですが、そういう意味では器用チームと不器用チーム、両方いるからくらしアトリエがうまくバランスをとれているのかもしれません。

「シマシマしまね」をオープンさせてからも、器用チームの皆さまに何度となく助けられて今に至ります。

自分が器用になる、ということはもはや叶わぬ夢なので、これからもうまくバランスをとって活動していきたい、と思う今日この頃です。


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