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「素敵な人がやってきた」vol.3 コウボパン小さじいちさん レポート

おはようございます。

昨日開催した「素敵な人がやってきた」シリーズ。3回目となった昨日のゲストは、大山・伯耆町の「コウボパン小さじいち」西村公明さん・あゆみさんご夫妻でした。

とてもあたたかな、素敵な会になりました。レポート、お伝えしますね。

小さじいちさんとはずっとイベントなどでご一緒してきたのですが、うちの施設がリニューアルして「シマシマしまね」となってから初めてお越しくださったので、「変わりましたねえ」とニコニコ。

ご主人は前日、大阪・うめだでのパン販売があったとのことでしたが、お疲れなのにてきぱきとお昼の豆乳フレンチトーストの準備をされていました。→その後、あちこちで写真を撮っておられました。

イベントなどでもお見掛けする、木彫りの西村公明くん像。今日ははるばる雲南まで来てくれました。

こちらから事前に「西村さんにうかがいたいこと」をリストアップしていたのですが、それに基づきご夫婦でいろいろ考えてくださっていたそうで、「おかげで振り返るいいきっかけになりました」とおっしゃってくださいました。

まず、大山でパンを焼くことになったきっかけについて。

以前にもうかがったことがあるのですが、新緑の時期、奥さまのご実家から大山を通って関西に帰る途中、ふと車を停めたその風景に魅了され、後ろを振り向くとそこに「売土地」の看板があった(それが今のお店の土地)、という何ともドラマティックなエピソードは、やっぱり鳥肌が立ちました。

帰りの車中で「あの土地よかったな」「私もそう思ってた!」とご夫婦でお話しされ、何気なくメモをとっていた不動産屋さんに電話をして…と、まるでそこでお店をするということがもう決まっていたことであったかのように事が進んで、今の小さじいちさんがある、ということに感動。

それとともに、他にもいろいろな土地を見て歩いておられたというお話を聞いて、「良かった大山に来てくれて!」と思ってしまいました。

冬間近の12月にオープンしてしまい、最初はずっとお客さまが少なかったこと。つてを頼って参加したイベントで、ダメ出しをいただいたこと。辛いこともあったけれど、お客さまがゼロ、という日は1日もないということ、そのことに励まされ続けてこられた、ということ。数年前に参加したイベントで、心に残ったパンとして自分たちのパンを挙げていただき、これでいいんだ、自分たちにしか焼けないパンを大山で作っていこう、と道が定まったこと。

いいこともそうでないことも、ひとつひとつをしっかり自分たちの糧にして一歩一歩、歩んでこられたんだなあ、というのが伝わってきました。

山の中でアクセスも悪いところにわざわざ来ていただく、ということに対して、とても真摯に向き合っておられて、「きちんとお店を定期営業すること」を何より大切にしておられるのだそうです。観光地で、せっかく行ったのにお休みだった、という残念な思いはさせたくない、とのこと。

うかがうといつも当たり前のようにお店が開いていて当たり前のようにパンがある。でもその向こう側には作り手の努力があるんだ、ということにあらためて気づかされました。

酵母づくりのお話もしてくださり、レーズンや山ぶどう、そしてすだちの酵母などを見せていただきました。皆さん、興味津々!

一番印象に残ったのは「変わり続けながら、変わらないでいる」ということ。分野は違えど同じような時期から、同じように山の中で活動を続けている私たちにとって、とてもぐっとくる言葉でした。

常にアンテナを張ってパン以外のことにも目を向け、「自分の奥行きを深める」ことを課しておられるとのこと。やっぱり、素敵だなと思う人はちゃんと勉強してるんだなあ、ということが分かって、なんだかとても腑に落ちました。

…どの言葉も本当に心をぎゅっとつかまれるようで、終わってみればメモで紙が真っ黒、というような状態でしたが、終了後にご主人が「いろいろ言ったけど、あれは自分たちがふだん、自らに言い聞かせていることでもあるんですよ」とおっしゃっていました。いつも思っている、念じていることだからこそ、自然にご自身の言葉として出てくるんですね。

お話は尽きませんでしたが、お昼の時間になったので西村さんご夫妻は準備へ。

キッチンで銅板に火を入れ、フレンチトーストを焼くおふたりを、向こう側から撮影する参加者の皆さんたち、の図がなんとも面白かったです。

今日のお昼は、豆乳フレンチトースト。シロップや生クリーム、いちじくのコンポート、そしてすだち酵母の酵母液で作られたというカッテージチーズなど、たくさんのトッピングを用意してくださっていました。

葉っぱに名前を書いて、板の上に乗せて…ディスプレイもとっても素敵。

次々と焼かれるフレンチトーストに、皆さんお好みで味付けをして召し上がっていただきました。

スープはかぼちゃと柿のポタージュ。こちらも鮮やかな黄色でとってもおいしそう。

テーブルの真ん中にトッピングを載せて。

ごはんを食べるには窮屈な空間でご迷惑をおかけしましたが、参加者の皆さんにもお心遣いいただいて、お話をしながらゆっくり召し上がっていただけました。

焼きたてのフレンチトースト。使っていらっしゃったのは、全粒粉入りの食事パンでした。

皆さんわいわいとトッピング。どんなふうに盛り付けたらいいのか、迷いながらも楽しそう。

素敵な盛り付け!小さじいちさん、仕上げの粉糖まで用意してくださっていました。

こちらも素敵!上に乗せる方、脇に並べる方。

生クリームは地元・鳥取の白バラ牛乳のもの、フレンチトーストに使われている卵は、奥出雲の平飼い卵だそうです。

お昼ごはんの後は、小さじいちさんのパンの販売。お忙しい中たくさんのパンを持ってきていただき、皆さん迷いながら選んでおられました。

「パンを通じて思いを伝えられることが幸せなんです」「パンを通じて周りの人たちと行き来しているし、これからもそうしていきたい」というお話をうかがった後だったので、余計にひとつひとつのパンに対してのいとおしさが増したように思いました。

私たちにとっては、いつもずっと前を走り続けているという印象の小さじいちさんですが、オープンする前もオープンしてからも、常に迷いながら不安にかられながら前に進んでいらっしゃるということが分かって、とても励まされました。参加された皆さんも、きっと同じ気持ちだったのではないでしょうか。

そして、だからこそ「変わらないために、変わり続ける」という言葉を胸に刻んで、自分たちもさらに頑張らないと!と刺激をたくさんいただきました。何よりおふたりのお人柄と人生を楽しむ姿勢、見習いたいなあとさらに強く思った1日でした。

遠くは岡山・広島からもご参加いただき、たくさん質問もしてくださって、とても活気のある会になりました。西村さんご夫妻も、「皆さん何かやってたり、やりたかったり、すごいですねえ」とおっしゃっていて、あらためてこの「シマシマしまね」という施設が、一歩を踏み出す人、踏み出した人にとっての契機の場になったらいいな、と強く感じました。

西村さんご夫妻、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。







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