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【イベントレポート】女性×災害×フェムテック ~いざというときの為に備えておきたい事~

2023年1月29日 『女性×災害×フェムテック ~いざというときの為に備えておきたい事~』を開催しました。
 
今回のイベントは、2022年台風15号により発生した静岡市の洪水を受け、静岡県のフェミニティアーチの加盟店さん達から、同じように2019年に水害の被害にあった長野市の当時の被災者の様子やボランティアの活動を知りたいとの要望をいただき、私たちの活動の振り返りも含め開催しました。 

第1部 オンライントークイベントから

 
第1部トークイベントでは、2019年台風19号が長野県を襲った際、ボランティアとして、力を発揮してくださった皆さんのお話をお伺いしました。
まずは長野市災害ボランティア委員会、松代復興応援実行委員会の訪問活動やまちの保健室など様々な活動をされている倉石孝子さんより令和元年台風19号災害の概要を写真で振り返って説明いただき、今までの支援の中で被災者の方の声をお聞きしました。
それから、避難所でボランティアが何をしたかどのようなことを求められていたのか、そして避難されている皆さんが何を必要としていたか、特に女性はあの中で何を感じていたのか。といったことを、長野市男女共同参画審議会委員の石坂みどりさんも交え伺いました。

避難所生活で女性からの声でとくに多かったのはどんなことでしたか?との問いには、
女性だけでなく男性もそうだとは思いますが、避難所の女性からの声が多かったところはやはりトイレ。
台風19号の場合は川が決壊し泥の流入が多かった結果、泥だらけの靴でトイレに入らざるを得ないので清潔を保てないことや、夜になると明かりがつかないので怖い、そんな時の為に安心してできるよう簡易トイレを持っていたらと思うけれど、そもそも簡易トイレがないなど、困ったことが多かったそうです。
その結果、多くの方がトイレを我慢したとの事でした。
  
 3.11を経験した方のアンケート調査からの情報提供として、石坂さんからお話をお聞きしました。
トイレや授乳、下着を干す場所や更衣などの生活面での問題があるほか(これらについては台風19号の際もいろいろな試行錯誤をしました)、防犯の面でもトイレは注意すべきところで、過去の事例でも避難によってストレスがたまると性被害が発生しやすく、またこんな時だからこそおおごとにせず我慢したという報告もあるとのことでした。
 3.11の際、それまでの防災マニュアル作成に女性が関わっていなかったために、男性目線の避難所となっており、配慮が必要な人目線での避難所ではなかったようです。防災マニュアルはもちろん避難所運営に女性が関わることの大切さ、男女だけでなく現在はLGBTQへの配慮も必要ということもおっしゃっていました。


静岡市から参加してくださったフェミニティアーチ加盟店の皆様

話は物資の支援や体のケアだけでなく心のケアにも及び、体のケアをメインにボランティア活動をしていた身として、
「体のケアだけでなく心のケアも一緒にする必要があり、それには支援する側に傾聴の力が必要」
と感じていたので、物さえ届けば、体さえ元気になれば、それでいいというわけではないと、お話させてもらいました。
 
 
 台風19号の際も、災害があっても妊娠・出産・育児、仕事など変わらずやらなければならないことはあり、困難な状況の中で大変にもかかわらず、
「うちよりももっと大変な方がいるから、大変と言ってはいけない」
と、本当はつらいのに、自分のつらさを押し殺していた方たちが一定数いらっしゃったそうで、しっかり場所を設けて話を聞くとなるとなかなか言えなくなってしまうけれど、ちょっとした立ち話や何かのついでに「最近どう?」とさりげなく聞くと、みんな素直に思っていることを話してくれた。との体験談を聞いて、人と比較せず、大変な状況の中で自分が今感じていることを素直に伝えること、そしてそれを聞いてくれる人がいること、被災者、ボランティア、どちら側になってもそれができるような情報や知識が必要だと思いました。
 
  
イベントの中盤では、「いつ避難したらよいのか」という避難のタイミングの話になり、石坂さんから興味深いお話がありました。
 3.11の時のアンケートで、避難を決めたのは、女性は家族や近所の方の声かけ、男性はテレビやラジオなどの情報番組だったとのこと。性差により行動に移すきっかけが違うということは驚いたとともに、多くの女性は周りを気にしてしまうところがあると思い納得したことでもありました。
そして、
「とにかく、早いに越したことはない。『なにもなかったらよかったね』でいいですよね」
と話す石坂さんの言葉にとても共感しました。
 
 多くの女性の行動特性を踏まえ避難を早めにするには、平時から横のつながりができていないと、いざというときに動くことができません。お互いに避難を促し、安全が確保された時に、
「何もなくてよかったね」
と言い合える地域の雰囲気作りが大事だなと思いました。
 ここ数年の環境変化で、災害はいつでも自分の身に起こり得るものとし、普段から災害への備え、地域のつながりを大切にしていこうと、自分の考えをあらためる機会となりました。


第2部 災害ポーチワークショップ 

 
 第2部では防災ポーチを作りました。
ポーチ自体、そして中身もほとんど100均で揃えることができるものばかりで、防災グッズにはホイッスルや、簡易トイレ、軍手、女性向けに生理用品、おりものシート、アロマオイル、膣洗浄用品(こちらは100均では購入できません)などを用意しました。


膣洗浄用品については、どういうときに使うのかというと、災害時になかなか入浴できないときや、過度なストレスなどで陰部が痒くなったりカンジダになりやすくなることから、清潔を保ち病気を防ぎたいときなどに使用します。台風19号時にはとても喜ばれました。

自分の体のケアは、災害時には「こんな時には我慢するものだ」と思いがちですがそんなときこそ見て見ぬふりをせず、自分でできるようにしておくことも備えの一つとして大切なことだと台風19号からの教訓でもあります。
 
 家には防災グッズの用意を、車には防災ポーチを入れておくと安心。
ポーチは水に濡れない物がおすすめ。何もない今だからこそ準備しておきましょう。



長野市災害ボランティア委員会
https://www.saiboranagano.com/


※2024年1月10日追記
現在、長野市災害ボランティア委員会では、令和6年能登半島地震の募金活動を行っています。皆様のご協力をお願いします
https://www.saiboranagano.com/%E4%BB%A4%E5%92%8C6%E5%B9%B4%E8%83%BD%E7%99%BB%E5%8D%8A%E5%B3%B6%E5%9C%B0%E9%9C%87/


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