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日本最南端を往く〜指宿枕崎線〜【全国ローカル線探訪記#1】

備忘録のはじめは日本最南端を走る指宿枕崎線から始めようと思う。

2020年秋、コロナの影響でしばらく見合わせていた長距離鉄道旅を再開するにあたって選んだのは、九州だった。JR西日本が発売したどこでもドアきっぷが、JR四国・JR九州までカバーしていたこともあり、本格的にJR完乗を目指す第一歩として最南端を走る指宿枕崎線も含めて2泊3日の旅に出た。

川内まで新幹線、そこから鹿児島本線の飛び地区間を乗り継ぎ、鹿児島中央に着いたのは12時前であった。そこから指宿枕崎線に乗り換える。

生涯で三度目の指宿枕崎線だったが、今までは家族旅行で指宿温泉に行くために乗っていた。しかし、今回は大学の先輩との2人旅。目的地は最南端の終着駅・枕崎である。

乗り換えた列車は特急・指宿のたまて箱、これまで二度乗ったが、2回とも肥薩線を走る特急・はやとの風の外装を塗り替えた車両に乗っていたので、純粋ないぶたまは初めての乗車となる。

海向きの1人席に初めて座る

指宿のたまて箱は鹿児島中央を出ると錦江湾の西側沿いを走り、桜島を車窓に眺めながら南下していく。

錦江湾の奥に桜島を望む

指宿のたまて箱に揺られること1時間ほどで特急の終点・指宿に到着する。

日本のハワイとも呼ばれる指宿だが、駅前は温泉地の玄関という割に栄えていない。温泉街は駅から車で5分程度のところにあるので、特急に乗ってきた宿泊客を出迎える宿の車が何台か停まっていたが、それが出ると駅前は静かになった。乗り換え列車まで30分弱あったので、駅前の足湯に浸かる。そこに当時としては珍しく外国人の家族の姿もあった。日本に駐在する企業か大使館勤めなのだろうか。子どもたちが足湯にはしゃいでいる姿を見ると、自身の幼少期を思い返す。

乗り換えるのは鹿児島中央を10分ほど後に出発した普通列車・枕崎行である。本当は鹿児島中央から乗り通しても良かったのだが、指宿から先、線形が悪くかなり揺れると聞いていたので、往路のみ特急利用となったわけである。

JR最南端の終着駅を示すサボ(行先表示)

国鉄型のキハ47に乗り込むと、車内はボックスシート1つに1人か2人程度の乗車率で、あまり地元の人はいなかった記憶がある。指宿を発車した列車は、JR最南端の有人駅・山川を経て、指宿枕崎線の末端区間に入る。末端区間の二大目玉の1つであるJR最南端の駅・西大山に到着する前には、車内のワンマン放送でもその旨の放送がなされる。

日本最南端の標識の奥に見えるは開聞岳

西大山では5分ほど停車時間が設けられている。車内の乗客もホームに降り立って、写真撮影などに励んでいた。

以前家族旅行で西大山を訪れた際はレンタカーで訪れていたが、やはり今回も西大山にいる人の多くはツアーバスやレンタカーで訪れている人が多かった。1日7.5往復では、無理もないか…

西大山を出ると列車は進路を北西に変える。頴娃で地元住民らしき人が降りて行った後は、皆枕崎まで乗っていた。枕崎までは鹿児島中央から知覧などを経由したバスがあり、そちらの方が所要時間も短いので、地元住民はそちらを使うのだろう。

指宿を出てからおよそ1時間半、列車は日本最南端の終着駅・枕崎に滑り込む。

南の始発を示す看板 稚内にも同じものがある
この先に伸びる線路はない

折り返しの鹿児島中央行きの発車時刻まで小一時間あったので、枕崎の町を歩いてみた。土曜日の夕方に着いたからか港の周りに人はおらず、街にもあまり人が居なかった。

駅に戻ると駅舎の周りには技能実習生と見受けられる多くの外国人がスマホやゲーム機を手にたむろしていた。駅舎の無料Wi-Fiを求めてだろうか、日本人はほとんどが折り返しの列車に乗る人ばかりだった。

夕陽が差し込む車内

折り返しの列車に乗りこみ、鹿児島中央に戻る。途中の喜入を過ぎると地元住民も多く乗ってきた。路線全体で見れば大赤字のこの路線も鹿児島市の通勤圏では、それなりに人が乗っているようだ。鹿児島中央に着く頃には外は真っ暗で、駅ビルの観覧車が煌々と輝いていた。

駅ビルの上に立つ観覧車は数少ない

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