【ウマ娘】奇跡のウマ娘、ケイエスミラクルの話【ネタバレ注意】

春と秋以外にも短距離路線が欲しいと思う紅月シオンです
そろそろ新しいウマ娘も実装されましたし記事の書き方もなんとなく分かってきたので依然話したケイエスミラクルの続きをしたいと思います
前回はこちら↓

それでは続けていきますがネタバレ注意です、気にする方はここでブラウザバックを推奨します


目指すは短距離路線、トレーナーとの二人三脚

最初は絵本のような始まり方から始まります
青い尾と羽、黄色いくちばし、空を飛ぶのが得意な小鳥の話
その鳥はいつも思っていました、おれがこんなに飛べるのは
「きっとみんなにさいわいを届けるあおいとりだから」と

場面は変わりミラクルの周囲が語られていきます
ルームメイトであり自他ともに厳しい華麗なる至宝、ダイイチルビー
同期であり互いに気にかけているそよ風という名の暴風、ヤマニンゼファー
同学年、同クラスにて走りは一つ先輩、最先端の笑い馬、ダイタクヘリオス
風紀委員にして走りにおいては大先輩、競り合いの鬼、バンブーメモリー
そしてケイエスミラクルの事を知りながらその走りを傍でサポートし始めたトレーナー
優しいミラクルの人柄ゆえかいつも暖かい人たちが支えていました

デビュー戦が近づく中でミラクルのやる気や情熱を見たトレーナーは担当医と相談した結果ある事を思いつきます
アスリートにとっては食べることも才能の一つ、しかし食が細いミラクルでは普通のウマ娘と同じ量は食べられない
ならば1回1回の食事を小分けにしその都度食べる「捕食」というのがトレーナーと担当医の考えでした
「どうせ食べるのなら楽しみになっていてほしい」という思いもありミラクルのために手作りの捕食を作るも失敗、シェイクのような見た目に
ここらが他のトレーナーと違うところよね、色々新人っぽさがあって
ですが逆に食べやすかったのかミラクルからも感謝を伝えられることに
そのやり取りで微かな違和感を覚えつつもようやくデビュー戦を迎えます

そしてそれを見に来たのはヘリオス、バンブー、ゼファー、そしてルビーも
ミラクルが勝利するところを皆で観戦し、1着になったことを喜んでいました
その後、今後の目標をミラクルとトレーナーは決めました
大目標は短距離路線、G1であるスプリンターズステークス
それが二人の目指す目標でした
しかしやはりデビュー戦からの危うさを感じたのか、クラシック期までは体つくりとファン数の獲得を当面の目的としました。

紅と青

しかしミラクルが部屋に戻ってもルビーは厳しい面持ちのままです
一緒にお風呂に入ってもその顔からは何も抜けず、そしてそれはある時訪れるのでした
11月、ルビーの足の病気によって年内は休養に当てなければならず、おまけに期待されていた牝馬三冠路線でもいい所なしと周囲の反応は冷めたものが多くを占めていました
ですがミラクルもヘリオスも周囲の反応に惑わされずルビーを気遣っており、そんな中でルビーはミラクルを屋敷に招きました
理由はただ一つ、ずっと前から尋ねたかったことを聞くため
「何故迷いの欠片も無いまま走ることが出来るのか」
ずっと気になっていながらも踏み込まないでいたルビーにミラクルは笑みと共に返します
「元気な体も自由に走れる脚も、おれの全部はみんながくれた奇跡。だからそれを返すためにすべてを使う」のだと
最初からそう決めているのだと

その話の後、鮮やかな夕焼けと共にルビーとミラクルは岐路に着きました
そしてルビーもまた自らの過去を語ります
脚の形が悪く自由に走れなかったこと、周囲の支えがあってここに立っている事、期待に応えられなかった事
その全てが今のルビーを苦しめていた原因でもありました
しかしルビーはミラクルとの対話の中で自分が進むべき道を見定め、華麗なる一族の後継として、己の血と名を後世に輝かせんため使命に殉ずる道を選びました
その後は無事に年も明け、ルビーもまた新たに短距離路線に挑みます
そこで待つ新たなライバルたちと戦うために

激動の連戦、軋む歯車

ことりーーーあらため青い鳥は今日もはばたき空を行きます
一生懸命空を行きます
雨の中でも風の中でも、時に逆巻く嵐の中でも
「へいきさ、おれはまだまだ飛べる、大丈夫きっと届けるんだ」
「みんなに みんなに しあわせを」

検査が終わりミラクルの身体もしっかりと作られたことが確認され、これからのレースも問題なしと判断されたミラクルとトレーナー
その中で早くレースに出たいミラクルはまず葵ステークスを指定、それに向けて動くつもりでした
そんな中でミラクルの両親がミラクルが走りたがっていた過去を語ります
元々共働きで通院できない日があっても寂しいともいわず、外にも学校にも行けなくても文句は言わない子でしたが、その中で初めて自分から言い出したのはテレビを見ていたある日の事
「あんな風に走りたい」と
トゥインクルシリーズで活躍するウマ娘を見てそう呟いたのが原風景でした
だからこそ走れるようになったミラクルを見るのがとても嬉しいのだと両親は語り、出来ればその夢を支えてあげて欲しいと語るのでした

ようやくレースに出れるようになったミラクルは短距離のレースを幾つも走ります
まずは葵ステークス、レース前にヘリオスやその友達のパーマーにアイネスフウジン、メジロライアンなどにスマホ越しに応援されミラクルは見事に勝利を納めました
その後の取材でも自分の音よりも周囲の事をほめてくれた記者との対談もあり、次の目標をサマースプリントに決めました

しかしトレーナーには懸念がありました、
ローテーションが短くなりがちな事、しかもその初戦が6月の函館スプリントSと疲れも取れない中で挑むことに不安もありますがミラクルの夢を叶えるためにそれに頷きました
思えばここからが全ての始まりだったのかもしれません

次は函館スプリントS前にミラクルを取材した記者から短距離特集の為に取材を受けていました
その中でも話としてバンブーメモリーを下したダイイチルビー、ダイタクヘリオスが少しずつ強さを受けていることを話され、ミラクルもまた短距離路線のみんなが強くなることを実感するのでした
そして迎えた函館スプリントSでもやはりその切れ味は衰えずその速さは周囲から関心を惹くのには十分でした

しかしここで懸念していたある事態が芽を見せます
レース後の地下パドックでミラクルは脚に何らかの痛みを覚え始めました
無理もありません、短期間でのレースを2回も行ったのですから
しかしミラクル自体は何処かそれを受け入れているような様子もありました。
ウイニングライブ後に取材陣に捕まっていたトレーナーもようやく控室に戻ると机の上で伏せて寝ているミラクルの姿がありました
それを見守りながらしばらく休んでいるうちにある事を思い出します
両親かルビーか、誰が言ったのかは知りませんがミラクルの秘密
「ケイエスミラクルは寝言が大きい」と
そう、寝ているのにミラクルの口からは寝息さえ聞こえてこないのでした
思わず声を掛けるとミラクルは起き出したことでその場を後にします

その事が残っていたのか最低でも2カ月の間を開け、少しでも体を休める方針に変えました
その後は8月のキーンランドCに向かい体を休めつつ合宿をするという方針で行きますがミラクルにはある種の諦観にも似た何かがありました
トレーナー室を出てその場を去る際に漏れたその言葉
奇跡はずっとは続かない

青い鳥は今日も飛び続けます、今日も明日も明後日も
幸せを届けるために、今日も 今日も 今日も 今日も
傷ついても、傷ついても

無私の原風景

迎えた夏合宿、あくまでミラクルに無理をさせないために合宿をしワザとテンション高めで挑むトレーナー
そして合宿中のルームメイトであるゼファーとともにキーンランドC前に3人で「ウェーイ」キメたり謎のグラサンをかけたりあくまでミラクルを楽しませるため、休ませるためにわざと浮かれた方法を使ったり祭りに出かたりと水面下で謎の攻防戦が繰り広げられていました

それでもやはりミラクルにはばれているようで、どうやって大丈夫を伝えるか考えているとそこにゼファーがやってきました
ゼファーもまたスプリンターズステークスに挑むことを伝え、それと同時に明確にミラクルの身の危機を伝えます
ですがやはりミラクルには届きません、自分の奇跡の使いどころをスプリンターズステークスに定め、欠片も止まるつもりはないミラクル
トレーナーにも同期にも止められないままミラクルは何処までも走っていきます

キーンランドCが迫る中、ヘリオス・バンブー・ルビーの3人がともに競い、ルビーもまたスプリンターズステークスを目指していることを知ります
また、念のためミラクルの担当医に来てもらい検査を受けたところ体の方に異常はないと判断されました
しかしその一方でウマ娘の身体には医者でも未解明な部分も多く、トレーナーの感覚や力がどうしても必要とも言いました
昔馴染みとしての警告としてはどことなく目が危うくなったことも
それはトレーナーが危惧していた「ミラクルが何処までも行ってしまいそのまま戻ってこれない」不安が日増しに膨らんでいくことになるのでした

そして迎えたキーンランドC、やはり作っていたゼリーをトレーナーはミラクルに渡しますが途中でスタッフに呼ばれたトレーナーが出るとミラクルはそれをこっそりと隠します
そしてレース中でも脚に痛みが走るもそれでも緩まずに先頭を譲らずに1着でゴール
その走りはファンから見ても少し怖いものに見えた人もいました
それでも止まらず次はセントウルステークスに挑もうとします
準備まで1カ月を切り、更に大目標としていたはずのスプリンターズステークスも同じ月に開催されるセントウルステークスへの参加は流石にトレーナーも止めますがミラクルはレースの経験の無さと同期の強さからくる焦燥から参加を頼みます
だがトレーナーもそれを受け入れるわけにもいかないのに当のミラクルはそれさえもすべて受け入れ、その上で参加を願うのでした

ここまで強硬な態度に出たのはjケイエスミラクルの過去に理由があります
ただ走り、恩を返すこと、それが、それだけがミラクルの生きてる意味だと語ります
なんども親を泣かせてしまった事(自分が悪いわけでもないのに
期待に応えられず悲しませてしまった事(それすらも自分のせいにして
初めてテレビでレースを見たあの日の事(そうすれば喜んでもらえるから
どこまでもどこまでも我欲は無く、唯々ずっと誰かのために
ケイエスミラクルの半分は感謝のありがとうで出来ていて
もう半分は贖罪の「ごめんなさい」で出来ているから
だからこそケイエスミラクルは止まらない
その身に貰った奇跡を使い果たすまで止まるつもりは一切ない

そのままセントウルステークスへの出走を求めますがトレーナーは何とか止めようとしますが自分には何も資格なんてないのだと思い知らされます
なぜなら、その夢を後押ししてしまったのが他でもない自分なのだから
そのまま頷いてしまえばどうなるのか分かっているにもかかわらずトレーナーはそれを認めてしまうのでした

誰も悪くないまま生まれた地獄の中、ミラクルは最後の追い込みをかけていました
そこに降り出した雨の中、橋の下で偶々鉢合わせたルビーと久しぶりに会い、一目でミラクルが痩せたのだと気づいたルビーはそのまま何も言わずに雨の空を見上げるだけでした

青い鳥はそうしてそのまま、その続きは描かれる事の無いまま

奇跡の終焉

普段のトレーニングにすら痛みが走るほどになってもミラクルの鬼気迫る走りは何も変わらず、今が1番早い事に確信を持ち同時に奇跡の終焉はスプリンターズステークスなのだと何となく感じていました
そのままレース場にトレーナーが来るもどうやって辿り着いたのか分からないほど焦燥しきっており、何とかして止めたいのに止めることも出来ずレース場に向かうのを見るしかできない
ミラクルが勝利した周囲の熱狂とは裏腹にトレーナーの心は冷たくなっていました
やがて足の痛みに倒れたミラクルを支えるも背骨が浮き出る程に痩せた彼女の体を支え、その中で一つある決心をします
ミラクルのピークをここにさせないため
ミラクルの自分への失望を終わらせるため
どれほどミラクルに恨まれようとも、その夢を裏切る覚悟を決めたのです

スプリンターズステークス出走届の際にトレーナーはミラクルに出走を辞めようという事を告げます
貰った奇跡を返すために、たとえそれで自分が壊れても構わないという悲壮な決意と運命を知って尚ミラクルは出走をしようとしますがトレーナーもここは絶対に譲れません
そもそもミラクルの恩返しは根本的に違うものです
ミラクルは周囲によって与えられたものを恩と思いそれを返すために自分さえも躊躇いなく削りますがそれは果たしてミラクルに与えていた優しい人たちが求めていたものでしょうか?
トレーナーも「そんな恩返しなんて望んでない!」と声を大にして言いますが「望まれたからやっているんじゃない!!」と反論
分かっていてなお止められないのはもうこれしか返す方法を知らないから
自分が倒れれば悲しむ人がいる、自分がどれほど愛されていたかも知っている
だからこそ走ることで報いたい、それ以外ではどうやって報いればいいのか分からない
ただ生きてくれるだけでいいのだと言われてもそれに納得できない
貰うだけもらって何も返せないまま生きていくなんて認められない
みんなのように意味のある命になりたい、それこそがミラクルの欲

だからこそ自分で出来る最大の恩返しのために短距離のG!スプリンターズステークスに挑もうとしますがそれをすれば壊れることを知って尚出走しようとします
ですがトレーナーとしては絶対に認められません
ミラクルが自分で出走届を出そうとしても何とかしがみついて抑えつけますが、そこでもやっぱりトレーナーはミラクルの優しさを知ってしまうのです
本来であれば意味のない行為、ウマ娘が本気で抵抗すれば容易く破れる
なのにミラクルは言葉で願うだけで一度も力による抵抗をしませんでした
そのままスプリンターズステークスは出走回避されたのでした

思ってました、これで未来は変わる、悲しい運命からは逃れられると

ケイエスミラクルはテレビでトレーナーとスプリンターズステークスを観戦していましたがその最中、第4コーナーのあたりでミラクルの体はトレーナーの肩に重みを乗せた後

そのまま地面に倒れたのでした

ダイイチルビーが1着でゴールし熱狂に湧く中でトレーナー室では倒れたミラクルに何度も声をかけるも目を覚ますことは無かったのです

おお、なんと愚かな事か
幸せを運ぶ青い鳥などと、なんとなんと愚かな事か
よく聞くがいい、バカな鳥よ
お前の身体が青いのは、ただのガラスでできているだけ
もろく儚く砕け散るだけ
お前は何も運べはしない、みんなにだなんて
しあわせだなんて

青い鳥は、そうしてそのままーーー

悲しい結末のまま、今日はここまでです

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