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ヤバいやつ…


 朝、川崎の銀柳街の店舗に納品に行くと、いつも停車する場所に、髪とヒゲは伸び放題、五十代くらいの汚れた身なりで、ブツブツ呟いている人がいた。時折、自動販売機の前に行っては、ニヤニヤして呟いている。


「うわッ!ヤバイやつがいますよ!」


 と相方が発したとき、心が曇った。


 ーーヤバイやつではないよ

   一生懸命生きている

   助けられないものか

   日本のセーフティーネットは

   こういう人に働かないのか


 と。



 命に格差はない、と、私は思う。


 だが、自分も、そう思っているだけで、何も動いてはいない。


 ずっと、その人のこれまでの事、これからの事が気になったのだった。


 目の前にいる人を助けなくてはならない、しかし、いざ目の前に人が現れたとき、なんにもできないのだ…


 なんとかしなくては…


 と


 思うだけ、であった。

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