鎌倉へ 5(終)
由比ヶ浜である。
ここが、目的でした。
彼女の死から今日がちょうど一年。
早いようで、ついこの間のことのようです。これまでは自分の中で、時間の軸のズレというものを感じていました。
なぜここに来たか。
15年前、二人はここから始まったのでした。それも、思えばこの間のようですね。
北鎌倉から、今日ここまで歩いてきて、こんな長い道のり、よく歩いてきたなあ、と思いました。あの頃は彼女も元気だったんだなあと。
線香を焚こうと思いましたが、やんぬるかな、土曜日で人があまたなもので自重しました。
昨秋、大分と仙台、山寺の海と川に散骨しており(彼女の出会った頃からの希望でした。『私が死んだら、散骨してね。』と。)、海に行けばつながっている、とここに来たのでした。
線香を焚かず、般若心経をあげて手を合わせました。
また会おうね
あなたは、星に着きましたか
と、水平線に目を細めていました。
人々が寄せてくる波にはしゃぐ中、私の耳には、ただ波の砕ける音のみが届いていました。
かよちゃん ありがとう
またね
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