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「ウミガメのスープ」は未来を描くのか?

「2人の男がゴムボートで川下りをしていた。ゴムボートはズタズタに引き裂かれた。いったい何がおこったのか?」

「ウミガメのスープ」とは?
ディナーの席で出されるスープのこと、ではありませんね。
1991年の冬に放送された『世にも奇妙な物語』
の、とあるシナリオに いかりや長介さんの名前がありました。
そのタイトルは「海亀のスープ」でした。
どんな物語か、少し記しておきます。

雑誌編集者・渋沢(木内みどり)は、画家の芝山(天本英世)が自殺したことに驚き、その真相を突き止めようとします。
芝山は前日、レストランで海亀のスープを飲んだ直後、ひどく動揺していたそうです。
「違う、これは海亀のスープではない・・・」とつぶやいた後、シェフに「これは、本当に海亀のスープなのか?」と質問していました。
渋沢は、芝山の死を記事にすべく、レストランにいた加藤(いかりや長介)に話を聞くことにします。
加藤は、何十年かぶりに芝山をレストランで見かけたのだといいます。
そして、実は加藤と芝山は…

こうして奇妙な物語は展開されていきます。
探偵のように、固定概念に囚われることなく、想像を膨らませることで、この物語はとても奇妙な全貌を明らかにしていきます。
この推理の手法を【水平思考】と呼び、その通称名が「ウミガメのスープ」の正体です。

水平思考
今回は、水平思考の学術面をあまり重要と捉えていないため、Wikipediaから引用しておきます。

問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法である。エドワード・デボノが1967年頃に提唱した。
デボノは従来の論理的思考や分析的思考を垂直思考(Vertical thinking)として、論理を深めるには有効である一方で、斬新な発想は生まれにくいとしている。これに対して水平思考は多様な視点から物事を見ることで直感的な発想を生み出す方法である。垂直思考を既に掘られている穴を奥へ掘り進めるのに例えるのなら、水平思考は新しく穴を掘り始めるのに相当する。

アゴラフューチャーセッション

2021年10月23日に、未来づくりラボ主催で行った企画『HaNaSeBa』は、zoomでコミュニケーションゲームを"楽しみ"、そこから"学び"を得て、"共有"しようとする試みでした。

使用するカードゲームは、「ウミガメのスープ」と「ブラックストーリーズ」です。つまり、水平思考へのチャレンジです。
カードに記された奇妙な物語。そこにYESかNOで答えられる質問を繰り返すことで真相を突き止めるゲームです。
参加者の方々は、とても柔軟な発想で真相を見破っていきました。
困難な問題には「今回の答えではないけど、その発想は面白い!」と正解にしたいようなシナリオが披露されました。
とても素敵な時間を共有することができました。
また機会を作りたいなと思います。

「2人の男がゴムボートで川下りをしていた。ゴムボートはズタズタに引き裂かれた。なぜか?」
水平思考、イメージしにくいですかね。Facebook Liveでのチャレンジ動画がありますので、見て頂くとなんとなく分かると思います。
★水平思考ゲームにチャレンジ

ウミガメのスープから得られること

①着目すること
水平思考とは、多様な視点から物事を見ることで、固定概念に囚われず、柔軟に物事をみるための手法でした。
それをカードゲームとしたのが「ウミガメのスープ」や「ブラックストーリーズ」です。
質問することで理解を深めていくゲームであり、質問は、着眼点と言い換えることもできます。
"質問すること"は思っているほど簡単ではないのです。

②多角的な視点をもつ
今、社会はメチャクチャに複雑です。色んな要素が絡み合っていますね。無理に解決しようとすれば、他に歪みができてしまいます。
そこで、"色んな要素"を具体的に探し出す作業が必要となるのですが、この作業もまた困難を極めます。
事実を多角的に捉えその原因を探し出していく作業は、実は誰もが日常で無意識にやってると思います。
例えば、友達との会話の受け答えで、言葉が足りない部分を過去の経験や会話から補って考えているでしょ?
事実に無い情報を広く、多角的な視点から集める作業は、水平思考がうってつけなのです。

③ストーリーとして捉える
事実の全貌が明らかになれば、頭の中でストーリーが浮かび上がります。それがこのゲームでは答えとして完結します。
しかし、現実社会ではそれで終わるわけではないのです。
真の答えを未来に見出さなくてはならないからです。
物事を点で捉えてしまい、ストーリーとして捉える事ができなければ、物語の先は、未来への流れは見えてこないのです。

④新たな答えの発見
このカードゲームには、裏面に答えが記されています。ゲームですからね。成功か失敗の判定が必要なんです。
しかし、現実はそうではありません。あなたが導き出した答えは、ゲームでは失敗と判定されようと、現実では正解かもしれないのです。

実は、水平思考ゲームは人数が増えるほど、正解までの時間が短くなります。(本来ならワークショップ方式でその事を体感してもらいたかったのですが、それはまたの機会に)
一人で考えるより、多くの質問が近道になるのです。予想どおりでしょ(笑)

的外れでも、多様な意見が他の発想を暗黙的に加速させ、複数の答えを導く可能性がある事を意識しておく方がいいですね。

未来づくりラボの挑戦
今、私たちは答えのない毎日を必死に生きています。文字どおり生活がかかっている人もいます。
新たな道標を、水平思考から導き出す。そんなチャレンジが有ってもいいなと思うのです。

ボードゲームには、遊びを入り口としていますが、学びの要素が多分に含まれたものがいくつか存在感します。
そして、例えオンラインでも、同じ"場"を共有した仲間との出会いはかけがえのないものであり、未来を創る大切な財産であると考えています。

私は【遊び+学び+出会い=未来】と信じて、皆さんと共に未来づくりラボの活動を続けていきたいと思うのです。

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