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週末パスでめぐる 未乗路線 アルピコ交通上高地線

上高地線はアルピコ交通株式会社の運行する、長野県松本市の松本駅と新島々駅の15.7kmの小規模な路線、名前の通り北アルプスの上高地へのアクセスとして、終点の新島々駅にはバスターミナルが併設されていて休日は上高地を代表高原エリア、温泉地や登山客の利用者が多い。実際、この日は夕方なので新島々駅には高速バスが何台も乗りつけて、軽装・重装の人達が行列していて2両編成の電車は満員で折り返していく状態。上高地はマイカー規制もされていながら、交通アクセスが良くて簡単なトレッキングなら東京から日帰りもできなくもないので、これから紅葉シーズンはもっと混雑すると思われる。

着席行列
上高地方面から続々と人が集まる。逆方向でもこれから温泉地などに行く人もそれなりにいる。

上高地線

上高地線は1922年に筑摩鉄道により松本中心部と市西部の新村地区や波田地区方面を結ぶ路線として、松本駅と島々駅の間で開通。1924年には松本市内と市北東部の浅間温泉との区間で路面電車線も開通させている。その後、松本電気鉄道に改称。1964年には路面電車の浅間線が廃線。1983年に豪雨災害でにより、終点の島々駅と1駅手前の新島々駅間が被災し、復旧しないままその区間は廃線となり現在の新島々駅が終点の路線となった。

松本駅。JRは大糸線と篠ノ井線が乗り入れる。新宿まであずさ、名古屋までしなのが乗り入れる。
新島々
1本逃して喧騒が去ったころ。

松本駅では西の端っこの7番線を間借りしていて、入り口はJR線と共同。隣は大糸線。全線単線で本数もラッシュ時だけ本数が若干増えるものの、30分~1時間に1本とローカル線としては多いかなというレベル。特急などはなく全列車が各駅停車であるものの、片道30分なので距離は短い。車社会なので通勤よりは通学がメイン需要だと思われ、朝ラッシュは沿線の松本大学など利用を想定した松本駅発の下りの方が本数が多い。

新村駅は最初に開通した区間。車両基地も併設されている。
初秋を迎えつつある松本盆地
上高地から流れる梓川の河岸段丘の際を走る。梓川は下流に向け犀川、千曲川、信濃川と流れていく。

現在の主力車両は20100系、元東武20000系を改造したもの。2022年導入とあって装備も最新に変えられているので、車内は田舎のローカル線っぽくない都会の電車。先頭車の雰囲気が違うので素人では元東武の車両とは全くわからなかった。それまでは京王井の頭線の3000系ベースの車両が使われていた。

20100系
LED照明に案内も最新版
J3の松本山雅のスポンサー
元京王3000系、地方ローカル私鉄各地でまだ活躍している。

アルピコグループについて

アルピコ交通株式会社となったのは2011年。元々は松本電気鉄道グループとして長野県内で多種多様な事業を運営していたところ、経営悪化による事業再編により2008年にはアルピコホールディングス株式会社として再出発。その後、鉄道とバス事業を統合しホールディングス傘下のアルピコ交通となった。私の記憶でも松本電鉄というイメージが残っている。

松本駅前のバスターミナル。ザ・地方都市って感じ。

アルピコホールディングスは現在は鉄道、バス、タクシーの交通事業、ホテルやレジャー施設などの観光・レジャー事業、流通や不動産などの生活関連事業の3つを柱としている。全体売上は約892億円(2023年3月期)で、うち鉄道・バス・タクシーの運輸事業の売上は約107億円、営業利益は約1億円の赤字。運輸事業の中でも鉄道よりも都心や名古屋、関西と長野県を結ぶ高速バス網のほうがやはり規模は大きいと思われる。

バスタ新宿かっこいい
https://www.alpico.co.jp/traffic/express/

ちなみに流通事業の売上は約711億円と大きく、グループの中核事業となっている。長野県No.1スーパーのデリシアはアルピコグループとは知らなかった。

元電鉄スーパーだけあって駅そばが多く鉄道旅でも利用しやすい。これは長野市内の店舗。
ちなみにアルピコとは上高地のある北アルプス連峰からとられたALPIne COrporationの造語。

新島々駅から島々駅の廃線区間

前述の通り。1983年に豪雨災害により終点の島々駅と1駅手前の新島々駅間が被災し廃線化している。その線路跡が若干残っているので少し散策してみた。民家の裏庭のようなところに公道通っていて通るのを躊躇していたと古都、近所の親切な人たちが線路跡まで案内してくれた。

線路はここでおしまい
イノシシ用の罠かな。線路の真上。
集落と裏山の境目を通っていたことがうかがえる。


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