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スーパーカブ50で東京から門司まで行ったので記録(2022→2023)

昨年は東京から徳島まで、途中岡山の宇野から直島経由で高松にフェリーで渡るルートで行きました。東京(近郊)から乗れる長距離フェリーは離島を除くと、晴海~徳島、大洗~苫小牧、そして横須賀~新門司の3路線のみ。

今回は和歌山から徳島、愛媛の三崎から大分の佐賀関に渡るフェリーを2回使って四国を縦断する形で門司を目指しフェリーで戻るルート。北や日本海側に行くのは厳しい冬は必然的にこの辺りのルートに絞られることになるのですが。

結果5日間で1320kmを移動する旅となりました。

1日目 東京~三重県川越町

去年は寒波で凍結のリスクで、今回は箱根越えを昼間にしたので正解でした。東側から登りは旧道を使ったので後ろが詰まるスピードの不安は少なめで行けました。関所を越えた下りは現道を使ったのでスピードはめちゃくちゃ出るし周りの車はもっと速いしとへとへと。

箱根峠越え、写真の都合上静岡側から

静岡県は長かった。国道1号線を行くと原付(50~125㏄)が通行できないポイントが3区間あって、それは清水と静岡の静清バイパス、藤枝と島田あたり、そして浜松から豊橋方面にかけて。逆にそれ以外の区間は周りの車が下手したら100km/hで走ることもあるのに走れる。

由比のあたりの海に張り出した区間はほぼ高速でやっぱり怖い。清水からは自動車専用道になるので市街地を迂回して、安倍川越えたあたりから1号に戻る。その後菊川からはまた自動車専用道になるので島田まで旧道。

原付を側道に誘導する看板

大井川あたりから浜松までは1号に戻れるも、この区間はアップダウンも激しく道は狭いし場所によっては片側1車線で、50ccで行くのはかなり怖いというか、車からしたら邪魔でしかない。しかもさして景色も良くないし、交通量も尋常じゃないのに、信号すらなく休まる瞬間もない、ただ単に苦行です。

浜松をすぎても苦行は続く。自動車大国愛知なので50ccにはきつい、最短ルートの名四国道の23号は自動車専用道路だし、1号は狭いし、交通量も多く周りは飛ばすし、夜だからってのもあるけどつまらない。名古屋市内に入ってすぐに西へ進路を変え最短経路で三重を目指す。23号は弥富市くらいから原付も走れるようになる、要は木曾三川を越える橋が少ないからかと。夜で見えなくて三川渡ったかなと疑問に思ってたんだけど、23号が渡るところは三川ではなく、長良川と揖斐川が合流済みなので二川。そして三重県川越町泊。

8時過ぎに家を出ているので、おおよそ休憩入れて15時間くらい走り続けた計算。初日が本当にきつかった。

2日目 三重県川越町~和歌山県和歌山市

朝から富田と四日市の工場群を探検していました。富田と四日市は中京地区唯一最大の石油コンビナート群が立地する。向かいはコスモ石油の製油所、石油を燃料や化学品の原料に分けていく場所。

朝焼けの蒸留塔

去年は鈴鹿峠で滋賀に抜けたけど、今回は日本一危険な道と悪名高い名阪国道は当然自動車専用道路なので、それに沿って旧道に沿うルート。ちょうど関西本線と並走するルートで交通量も段違いに少なく、景色のいい山道で快適。

1時間に1本の関西本線に遭遇する

このルートは奈良に出るので、春日大社を参拝してきました。

鹿と戯れる
神の乗り物である鹿こそ交通安全に最適、300円とさすが由緒ある神社は太っ腹

その後は大和川沿いに飛鳥の時代から続く、奈良盆地と大阪湾を結ぶルートで大阪府へ。

大和川にかかる沈下橋

大阪府に入ると内陸を南下して和歌山を目指す。藤井寺や羽曳野では古墳活動(略して墳活)。このエリアは堺の仁徳天皇陵擁する百舌鳥古墳群と並ぶ巨大前方後円墳集積エリアで、百舌鳥・古市古墳群として世界遺産に登録されている。

古墳巡り。
近鉄南大阪線が参道を横切る澤田八幡神社、仲津山古墳の際にある

大阪の河内地方の南部、和歌山との県境にある和泉山脈の際を行くルート。途中遠くからでも目立つ異物的恐怖を感じるPLタワーを見物しながら和歌山を目指す。

PLタワーこと大平和祈念塔。高さ180m。

和歌山までは基本的に大きい道路が続き、最後の泉佐野あたりからの国道26号は自動車専用道になるので、南海本線に沿った旧道で山を越えて和歌山市へ。

3日目 和歌山県和歌山市~愛媛県松山市

この日はまずフェリーに乗るところから。和歌山と徳島の間のフェリーは鉄道会社の南海が運行しているフェリーで、徒歩の場合はフェリー乗り場に電車で直結している。この区間は約56kmを2時間ほど。

和歌山港、南海電車の駅直結
徳島港

淡路島経由で徳島に行くには高速道路しかなくフェリーもないため、このフェリーは貴重なルートになっている。四国と本州を結ぶルートで唯一車以外の交通手段がない区間なので、しまなみ海道みたいに原付や自転車で通れるようになれば流行ると思うんだけども。その代わり徳島と大阪を結ぶ高速バスがものすごく便利。

徳島からは四国北部を網羅する国道11号ルート。最短は吉野川沿いだけど、去年走っているので。香川県ではうどんを食べて、愛媛のハイライトは伊予三島の大王製紙の工場群。現四国中央市は大王製紙グループの企業城下町の日本どころか世界最大の製紙の町、日本国内の紙生産量の8%がここで生産されている。国道11号は予讃線とは外れて今治を通らずに最短で新居浜や西条と松山を結んでいる。

大王製紙の三島新工場の煙突は207mの高さ、エリエールタワーと呼ばれているらしい。
伊予三島の市街地を見下ろす山道

道後温泉に入って、コインランドリーで洗濯して、買い出しして、31日なのでさすがに松山市内のホテルに泊まった。

道後温泉

4日目 愛媛県松山市~大分県別府市

朝ホテルを出て松山市内で少し見物。去年も1月1日は松山市にいたのでただならぬ縁を感じる。松山からは伊予灘沿いに佐田岬方面へ。この区間は予讃線の旧線で観光列車の伊予灘ものがたりが走り下灘駅は映え駅としてあまりにも有名なだけあり終始海沿いを走れる。若干天気が悪いのが残念だけど気持ちいい。

伊予鉄電車と路面電車が平面交差する。
18きっぷのポスターでも何度も使われた
下灘の隣の串駅
文字の一部が劣化で脱落して発音不能になっていた「ンョ゛ハー ゛」が保存されている。
長浜大橋は重要文化財に指定されている可動橋

八幡浜の手前から佐田岬方面へ進む、この佐田岬半島は日本一細長い半島。この半島の伊方町には四国電力唯一の原発もある。この半島を通る国道197号線は高知から大分を結ぶ国道で、この国道の名前を冠した国道九四フェリーが先端に近い三崎と大分の佐賀関を結んでいる。約30kmを70分程度、昼間は1時間に1便運航と結構本数が多くて便利。なんと三崎港にはこんな僻地にも関わらずローソンが進出していて、フェリーといえど幹線道路としての役割を担っている。

国道378号線
八幡浜からもフェリーが出ているけど本数が少なめ
三崎港
佐賀関港

佐賀関はその名を冠した豊予海峡の関サバ・関アジだけでなく、現在稼働している日本最大級の銅の精錬工場がある町。

JX金属とその関係会社の佐賀関事業所

津久見は日本有数の石灰石鉱山とセメント工場がある場所。途中の臼杵は意図せずフンドーキン醬油の工場に遭遇、九州在住歴があれば必ず見たことがあるである九州一の醤油と麦味噌のメーカー。

フンドーキン醬油本社
太平洋セメントの事業所内に一般道路が通っている

そのあとは大分市方面へ移動し、別府で温泉に入りそのまま別府泊。

5日目 大分県別府市~福岡県北九州市

最終日は夜23:55にフェリーが発車するので出港1時間前の受付がリミット。

別府からは北上し、まずは新年ということもあり宇佐神宮へお参り。日本の八幡社の総本宮、本殿は国宝にも登録されている。朝9時くらいだったけど帰る頃には初詣参拝客で大行列だった。そのあとは北九州と鹿児島を結ぶ大幹線国道10号線を北上。

宇佐神宮本殿

中津では今まで何度か通ったことがあるけど中津の唐揚げを食べたことが無かったので、2日から空いている店を見つけて楽しんだり、一応城下町の方にも行ってみる。

中津唐揚げ。唐揚げは大抵うまい。
中津城。黒田官兵衛の城でもある。

その後は北九州空港へ渡る橋は交通量が少なく原付でも走れる一般道でとても気持ちがいい道。ちなみに北九州空港は北九州市と苅田町に挟まれているんだけど、この苅田町が化け物工業都市で、トヨタと日産が進出していて、津久見と並んで九州最大のセメント工場と出荷港もある、福岡県唯一の地方交付税不交付自治体。製造品出荷額は1.6兆円(2018年)で、人口が24倍の北九州市が2.2兆円と比較すると際立つ本当の工業都市。

北九州空港連絡橋

関門海峡も初めて徒歩で渡る。関門海峡は50㏄の原付の場合は、高速道路も国道2号のトンネル(51㏄以上の原付は通れる)も通れないし、船は徒歩と自転車のみ。50㏄の原付で唯一関門海峡を行き来できるルートは関門トンネル人道。国道2号のトンネルに沿って掘られたトンネルで徒歩は無料、原付は片道20円。

門司側
エレベーターで行き来する
地下トンネルの県境
下関側

下関は10年以上前の大学生の時に18きっぷ旅で初めて九州まで行ったときに観光して以来。壇ノ浦で入水した安徳天皇を祀る神社と、1895年の日清戦争の講和条約が結ばれた地が隣接している。あとは武蔵と小次郎が決闘した巌流島を見たり、夜には展望台で夜景を見たり。

巌流島
下関側の火の山公園
関門橋の門司側から

そして晩御飯と買い出しをして、新門司港のフェリー乗り場へ向かう。東京九州フェリーは2回目で、前回は徒歩だったのでカブでは初めて。22時半から乗り込めるから準備しろって言われたのに、自動車を先にするからバイクで乗れたの23時半くらいでだったら暖かい待合室いたのに。

新門司港。門司港駅とかとは別の場所。

船内は露天風呂付大浴場とサウナもあって、サウナ↔露天風呂で大海原を行き来できるのは贅沢。熱湯はあるけど、電子レンジが無いのが欠点。これは食堂があるからなんだけど。

横須賀から新門司行の船とすれ違う

翌日は20時45分に横須賀港到着。地味に都内まで車でも2時間は最低でもかかるから大変。

横須賀港


まとめ

5日間で1320kmを走る壮大な修行となりました。去年とにかく手と足先が寒いので対策をしていたのが功を奏した形となりました。

まず手ははハンドルカバーを用意したので段違いでした。去年は冬場の作業用ゴム手袋+内側は薄い手袋でも手の感覚が無くなってしもやけになったのが、ハンドルカバーは薄い手袋1枚でいいので着脱も簡単スマホ検索や写真も楽、少しなら手袋無しでもOK。足はヒートテック靴下の重ね履きで行けました。

それでもやっぱり寒いのは寒いので、やっぱりこの季節はツーリング向きではないと思いますね・・・。

あとは昔から旅行や自転車で使っていた防水鞄を無理やりサイドバッグにしたのも便利。パンク応急修理キットや、簡易工具、ロープとかを入れておけるので後ろの箱の容量の余裕ができた。

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