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君の物語 12 贈り物とか戦利品とか

猫は飼い主に、捕まえたネズミなんかを持ってくることがあるというけれどー

ある昼下がり。
唐突に現れた子猫のルゥは、里芋が入った小鉢(ラップしてる)をくわえて意気揚々とやってきた。
なぜに里芋⁉︎  
なぜに小鉢⁉︎
確かにキッチンのテーブルに置いたままだったけど、あんな運びにくそうなものをチョイスするとは思いもよらず…

小ぶりとはいえ重いし、ツルツルした瀬戸物を上階まで咥えて運ぶのは、子猫には難儀すぎやしないか?
と、もう見た瞬間それで頭がいっぱい。
心配でたまらず煮物を受け取るやいなや、歯と顎が無事なのか確認することしかしなかった。

数日後、今度はムギのところへカップ麺を運んでいくのを見た。足取り軽く、尻尾をぴーんと立てて。
ムギは満面の笑みでルゥを労い、お礼を言っていた。
それで気づいた。
〈しまった!対応を間違えた。〉

褒められて嬉しかったのか、しばらくカップ麺を持ってくることが続いた。
軽いし、咥えると牙で容器に穴が開くので、運びやすかったんだろう。
お湯を入れられなくなってしまったけれど。


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