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君の物語 4 なにしろ、初めて。

猫について全くもってど素人のくせに、思い立って子猫を引き取ってしまった。
最初は何をするにも恐る恐る、ドキドキしていた。

初めて家に迎えた日のこと。
そっとカーペットの上に下ろすと、小さな足でゆっくりと布団に登っていき、丸くなった。
〈そうか、布団が気持ち良いんだ。〉
こんな当たり前のことすら、目にするまで思いもよらなかった。

しばらくしてムギが慌てて知らせに来た。
「なんか変な音してるの。大丈夫?」
呼ばれて行った私もその音にびっくり。
まるでエンジンのような音が子猫から鳴り響いている。

2人でオロオロしている背後から、夫が笑って言う。
「良い気分なんだよ。満足してる時にこんな音をさせるんだ。ゴロゴロって。」

私もムギも、こんなことで焦ってしまうほど無知だったのだ。
とにかく
『満足して良い気分になるとゴロゴロいう』
基本中の基本をひとつ、覚えた。

こんな調子で、小さなことからひとつひとつ。
不安になるたび、疑問に思うたびに調べたり人に聞いたり、機会があれば獣医に質問したりして学ぶことを積み重ねていった。
しばらくの間、家族みんなの愛読書が『猫の飼い方』だったことは言うまでもなく。

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