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君の物語 10 一緒に行こう

私は朝にとことん弱い。
もう、ボロクソに弱い。
しかし!
どんなに弱くても、みんなの朝食を作るために起きねばならない。

アラームを切って、泥沼から這い上がるように渾身の力を込めて起き上がる。
ふらふらしながら戸口へ向かうと、ルゥがそこで私を待っていることがある。
キッチンまで一緒に行くために。
もしかしたら早朝パトロールを中断して迎えに来てくれてるのかもしれない。

階段を数段降りるごとに振り返り、
私がついてきているか確認してくれる。
追いつくと足に頬を寄せてから、
また数段降りて待っている。
「大丈夫だよ」「もう少しだから」と励まされている気分になる。ルゥに導かれると、重苦しい道行きが次第に軽くなるのだ。

私をキッチンまで案内し終えると、パトロールに戻っていく。
ありがとう。
君のおかげで今朝もたどり着けたよ。

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