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AIイラストは序章に過ぎない『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』

大人になればなるほど時間の経過は早く感じられる。それは多くの人が感じていることだろう。チコちゃんでもやってたし。言い換えれば、我々の人生は加速度的に速くなっている。あくまで体感とはいえ、子どもの1年と、大人の1年は全くスピード感が違う。ジェットコースターの上りと下りのようなものだ。

そんな、ただでさえ加速しているジェットコースターに、「テクノロジー」というブースターが取り付けられたらどうなってしまうのか。想像するのは難しい。というか、本書によると、脳は未来の自分を「他人」と考えてしまうらしい。これには納得するしかない。あまりにも身に覚えがありすぎる。
おそらく、ほとんどの人間は今日を生きるのに精一杯。だから私はこの手の本の力を借りるのである。

この本が日本で発売されたのは2020年。既に2年が経過しているが、どうやらこの本の未来予測は間違ってなさそうだ。というのも、この本を読んでいる時、最近ネット上で話題になっているトピックが頭にこびりついていた。AIイラストである。

この本は、テクノロジーが生まれると、技術進歩によってサイズや価格が抑えられていくだけでなく、技術が「大衆化」されると書かれている。そう、AIイラストなら「Stable Diffusion」である。あれがネット上で誰でも使える形で公開されたことで、AIイラストは一気に「大衆化」された。これからエンターテイメントも劇的な変化を迎えるが、まさにその瞬間を我々は目撃したと言える。

AIイラストだけじゃない。この先10年の社会の変化は、これまでの100年分の変化に匹敵するという。空飛ぶ車、不老不死、宇宙への移住……ありとあらゆる事柄が、空想の物語(サイエンス・フィクション)から現実的なテクノロジー(サイエンス・ファクト)へと変わってしまう。もしかして、我々はとんでもない時代に産まれてしまったのかもしれない。不安を覚える人もいるだろう。けれど私はなんだかワクワクしている。タイムマシンを作らなくても、ドラえもんが住んでいる22世紀の世界は、思ったより早くやってきそうだからだ。

先述した通り、未来について考えるのは難しい。どうしても他人事のように感じてしまうし、突飛なことはなかなか信じられない。とはいえ、この本の未来予測を読めば、ある程度自身の人生設計に役立てることができるはずだ。例えば、ウーバーが「空飛ぶ車」を本気で実用化させようとしている話は有名だが、この先コストが下がっていくと、自家用車を持つよりも、空飛ぶ車を利用した方がコストを抑えられるようになると言われている。つまり、個人が車を持つ時代はもうすぐ終わりを告げる。すぐに必要でもない限り、車を買う必要はない……と考えることもできるわけだ。「車を自分で運転する」行為そのものが贅沢になる日は近い。

AIイラストは良くも悪くも大きなインパクトを与えている。でも、私は騒いでる人たちを見ていると「こんなのまだ序の口よ?」と言いたくなってしまう(言わないけど)。
ジェットコースターの加速は終わらない。幼い頃に夢想した物語は、いずれ現実になる日がやってくる。それを予め知っているかどうかが、ジェットコースターから振り落とされてしまう人と、そうでない人を分けるだろう。

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