『ウエスト・サイド・ストーリー』感想

観ました。

映画好きなら誰もが知るところであろう、スティーブン・スピルバーグ監督の最新作。アーサー・ローレンツによって書かれたミュージカル『ウエスト・サイド物語』をもとにした作品で、なんでも監督は子どもの頃からこのミュージカルの音楽が大好きだったんだとか。

実は私はスピルバーグ監督作品をちゃんと鑑賞したことがないんですよね。金ローでジュラシック・パークちょっと見たかなって程度。バック・トゥ・ザ・フューチャーは製作総指揮だし。

原作となるウエスト・サイド物語の内容を知らないで見に行った私は、終盤の展開でかなり驚くことに。絶対にハッピーエンドで終わると全く疑ってなかったので、主人公が取り返しのつかないことをしてしまった時、頭を後ろから殴られたような衝撃を受けた。後から調べてなるほど納得、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』から着想を得ているとのこと。そりゃああなるわけだ。

このミュージカルの歴史は長く、初演はなんと1957年。今から半世紀以上も前なのである。しかし2022年に公開されたこの映画は、ある種の古臭さのようなものを感じさせない。いやまあ、1950年代のニューヨークというミュージカルが作られた当時の時代背景をふんだんに盛り込んだ内容は古いと言えば古いし、男女の悲恋ものに目新しさはないはずなのだけど。ここまで王道の物語を真正面から映像作品にしたことが、現代人の私には逆に個性的に映った、ということなのかもしれない。それにしたって、「ここまで救いようのない悲しい結末になるのか……」とちょっと呆然としてしまった感じは、だいぶ新鮮な体験だったけど。原作の魅力をそのままに、現代向けに上手くアレンジした巨匠・スピルバーグ監督の手腕もあるだろう。キャストの演技、音楽、ダンス、演出、どれをとってもレベルが高い優等生タイプの映画。

映画館のサイトではカップルや友達との鑑賞をおすすめしていたけれど、これ誰かと一緒に見たいかって言われると私はそうでもないかなあ。間違いなく名作だけど、一人でじっくり余韻を味わっていたい作品。悲恋ものだし日本では流行らないだろうな。『グレイテスト・ショーマン』のような観た後にいい気分になれるミュージカル映画も大好きだけど、たまにはこういうのもいいよね。


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