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大嫌いな雨の事を考えてたら雨に恋をしてしまった話

私は雨が嫌いだ。なぜなら あらゆる物を濡らすからだ。濡れると不快な気持ちになる。特に目立つのは、親のカタキか というぐらいは足を濡らしてくるところ。『絶対にズブ濡れにさせる』という鋼の意思を感じる程にだ。しかし、雨とて 降りたくて降ってる訳でもないし、濡らしたくて濡らしている訳ではない。雨にも雨の事情があるのだろう。

雨に対する理解を深めて、雨を好きになろうと思う。そのためにまずは良いところに、どんどん目を向けていこう。


雨の良いところ


そうだ、普段はあまり行かない屋内施設に行けるではないか。美術館なりプラネタリウムなり、まだあまり知らない世界を知るきっかけになる。うむ、これが雨の良いところだろう。


いや、待てよ。。よく行く場所であれば普段着で行けるが、初めての場所に行くのであれば、よそいきの服は必須。まるでパーティー会場に行くかのように、おめかしをして最高の自分をお披露目しなくてはならない。それが初施設に対するマナーというものだろう。

するとどうだ?湿気が多いのでヘアースタイルがなかなか決まらない事が予想される。なかなか決まらないがゆえに、整髪料をつけては整え、またつけては整えの繰り返し。ヘタをすれば それだけで1日が終わる可能性も充分にある。雨は時間と整髪料の無駄使いを斡旋する可能性も秘めていたのか。危ない。。巧妙な罠にひっかかってしまうところであった。

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ほかに雨の可能性はないだろうか。。
そうだ、【レイングッズ】という普段は使わないアイテムでおしゃれの幅が広げれる。いつもは無地で暗めの服が多くても、例えばカラフルな傘を差し色的に持てば周りの目は変わるに違いない。うむ、これが雨の良いところだろう。


いや、待てよ。。たまにしか使わないとなれば、多少はいいモノを買いたいものだ。例えばレインブーツ。機能性はもちろんの事、デザインにもこだわっていきたい。【長靴】ではなく【レインブーツ】と呼べるモノがいい。少々 値が張ろうが使用頻度が少ないので買ってもいいだろう。そうなれば大事に使っていきたい。大事なモノだから綺麗に使いたい。しかし雨は必ず汚しにくる。となると履きたくはない。〈雨だけどお気に入りのレインブーツは履きたくない〉という、とんでもない葛藤がうまれる。

するとどうだ?一度は履いてみるものの、やはり汚したくないから脱いでしまう。では普段の靴を履いていくのかとなると、やはり足下は濡らしたくないから、またレインブーツを履く。しかし汚れるからと脱ぐ。この履いては脱ぎ、また履いては脱ぎの繰り返し。無限の葛藤。ヘタをすれば それだけで1日が終わる可能性も充分にある。なるほど、高額であればある程、使いたくなくなる魔力。危ない。。また巧妙な罠にひっかかってしまうところであった。

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ほかに雨の可能性はないだろうか。
そうだ、普段はしない家の掃除をするチャンスではないか。外に出れないのなら、いつも以上に綺麗にして快適な生活をしていこう。うむ、そのきっかけをくれるのが雨の良いところだ。


いや、待てよ。。掃除をするとなるとホコリ対策として換気が必要だ。密閉空間でする掃除ほど怖いものはない。通常なら窓を開けて掃除を行うのだが、それだと雨の侵入を許してしまう。それは網戸にしたとて同じ事。加えて、いつも以上に綺麗にするのなら強力な洗剤が必要だ。そんなものは家に常備していないので買いに行く必要がある。

するとどうだ?〈外に出れないから掃除をする〉というプランなのに〈そのためには外に出て強力な洗剤を買わないといけない〉という絶対に解決しない矛盾がうまれる。よしんば、既に強力な洗剤があったとて、まだ問題は解決しない。雨の侵入だ。綺麗に拭いている横で汚される床を看過できない。しかし、だからと言って安易に窓を閉め切ることもできない。

【洗剤はほしいが外には出たくない】【窓を開けたいが床は汚したくない】この相反する2つの事象にどう折り合いをつけるのか。どうするのが最適解なのか、丁寧に紐解く時間が必要だ。ヘタをすれば それだけで1日が終わる可能性も充分にある。

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おかしい。。私は雨を好きになりたいだけなのに、全然 気が進まない。たどり着くのは矛盾という名の迷宮。気がつけばずっと雨のことを考えている。

ずっと雨のことを考えている?
これはもう好きという事なのでは?

なるほど。この気持ちを恋愛に当てはめてみると合点がいく。私は雨に恋をしているようだ。雨の日は恋人が会いに来たと考えれば一段と楽しくなりそうだ。

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