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【J2第34節 vs長崎 レビュー】円熟味を増してきた守備。攻守は表裏一体。

大宮 3-0(1-0/2-0) 長崎 得点者:奥抜、シモヴィッチ、渡部

快勝オブ快勝。ピンチらしいピンチが殆ど無かったんじゃないでしょうか。このままJ1昇格まで突っ走って行きたい!!

それと、私のツイートに多くのリアクションを頂きましてありがとうございますm(_ _)m

結局Jリーグジャッジリプレイで取り扱ってはもらえませんでしたので、真相は分からぬままです。河面のみにイエローカードが出たという事実だけが残りました。(しかもこれで出場停止にリーチがかかった)
まぁ今更覆らない判定に対してごちゃごちゃ言ってもしょうがないので切り替えるしかないですね。
note投稿ツイートにもこんくらいリアクション貰えるといいな・・・(ボソッ)

1.両チームのスカッド

〈大宮〉
・スタメンの変更は1点のみ。シモヴィッチ⇋フアンマ
・塩田、渡部、小野の3選手は久々のベンチ入り。
・69分フアンマ⇋シモヴィッチ、78分イッペイ⇋渡部、84分茨田⇋石川

〈長崎〉
・ここ5試合で4勝1分と波に乗っている
・CF呉屋はここまで20得点と、J2得点ランキングトップに立つ
・前節からの変更点はなし
・63分大竹⇋吉岡、71分亀川⇋翁長、76分玉田⇋畑

2.長崎の守備

2-1.プレッシング

プレッシングの形は下図の通りでした。

4人でボールを回す大宮の最後ラインに対して前線の2トップは強くは行かずに大宮の中盤(小島)へのパスコースを切っていました。
SHは少し中央に絞ったところにポジションをとっていました。①大宮のSB化したHVから中央へのパスコースを切る、②大宮WBに入ったボールをSBと連携して奪いきる、③上記のタスクを鑑みた上でのHVへのプレスといったタスクが与えられていました。
CHは1人は中盤(小島)のケア、もう1人はボールが欲しい時に降りてくる大宮OHのケアをしていました。
大宮の前線が5人(CF・OH・WB)いるのに対して最終ラインの選手が4人であった長崎でしたが、スライド&カバーで対応していました。

2-2.ブロック

4-4-2を使用するチームですので、やはり基本的には4-4のブロックを敷いて守っていました。

仮に左サイドでボールを酒井が持っている時には、全体的にスライドをしてSBをアプローチさせます(この時同サイドのSHも協力)。
この時、逆サイドのWB(この場合はイッペイ)のマークは一時的に捨ててスライドをします。マークを捨てると言っても完全に捨てる訳ではなく、逆サイドのSBとSH(この場合は香川と澤田)で常に警戒はしています。
バイタルエリアでボールを貰おうとするボールサイドのOHに対しては、それぞれ近くのCHが見ていました。
もう1人のCHは、大宮の攻撃(主に大宮CH)が進入するのを許さない立ち位置をとっていました。

3.長崎の攻撃

3-1.ビルドアップ

長崎はGKが積極的に絡んで、CBがペナルティエリア幅くらいまで広がってビルドアップを行っていました。
その時、2CHはビルドアップのヘルプに入り、両SBはなるべく高い位置を取ろうとしました。

3-2.特殊な3-3-4

ある程度攻め込む(または大宮の守備がリトリートしてブロックを築く)と、長崎はCHの1人(主に秋野)が最終ラインまで落ち、代わりに両SBを高い位置に上げて3バック化します。
その時SHは少し中央に絞りSBに前のスペースを開けて3-3-4のような形になります。(下図参照)
左サイドに右利きの澤田を置き、右サイドに左利きの大竹を置いているのには中央でのシュートを期待して、というのもあるのだと思います。

さて、攻め込んだ長崎ですが、各々のポジションには勿論それぞれのタスクがありました。
CFの呉屋は最前線で常に駆け引きをしながら裏を狙っていました。
もう1人のCF・玉田はバイタルエリアを自由に動き回りながら、大宮の守備ブロックの2列目(CHとOHで形成してるライン)に生まれるギャップに顔を出してボールを受けようとしていました。
SHは予め少しだけ中央に絞ってWBのマークから逃れるようなポジショニングをとり、SBと連携をとりながらサイド攻略を目指していきます。
SBは最終ラインからのパスの受け手となり、SHと連携して数的優位を作りサイド攻略を目指していきます。
CHは中央でのボールの受け手となり前線とのリンクマン的な役割を担っていました。また、ネガトラ時には最初にプレスをかけるという守備的なタスクもありました。

4.大宮の守備

4-1.プレッシング

大宮のプレッシングはいつものように5-2-3の形を作って行われました。

前線の3人でCHへのパスコースを切りながらプレス。
CHはバイタルエリアをケアしつつ、1人のみが状況を判断しながら相手CHへのプレッシャーに行きます。
最終ラインの5人は長崎の前線4人をマークする形をとっていました。

4-2.CHをトリガーとしたハイプレス

大宮の先制点を生み出した連動性の高いハイプレス。この時、1stプレスに行ったのはCHの三門でした。
一見すればかなり無茶なプレスですが、実はこれには再現性があり、CHが1stプレスに行ってボールを奪ったシーンは私が数えた限り3つありました。(もっとあったらごめんなさい)。
ここでは得点のシーンをピックアップして解説していきたいと思います。

大宮から見て右サイドの方からバックパスがGKに渡ります。
そこへ三門が中央へのパスコースを切りながらプレスをかけに行きます。この時動画を見てもらえると分かるかと思いますが、三門は他の大宮の選手達にプレスに行くように促しています。
それに呼応して大宮の選手はバイタルエリアを開けてしまうというリスクをとって、前に詰めて行きます。
この時動画を見てもらえれば分かるかと思いますが、三門・奥抜両選手は右サイドと中央へのパスコースを切りながらボールホルダーへと寄せて行きます。(カバーシャドウ[※1]の動き)

奥抜がボールホルダーにプレスをかけている時には、各局面(青い丸のところ)で1vs1を作れていました。

先程からチョコチョコ言っていますが、このハイプレスは非常にリスクが大きいです。
バイタルエリアを大きく開ける上に、長い距離を走って相手選手にアプローチするので、90分通してなんか到底出来ません。
しかし、判断能力に優れスタミナもあるCH(主に三門)の1stプレスを合図にし、発動する条件を限る事によって成功率を大きく上げていました。

[※1]カバーシャドウについてはこちらから

4-3.ブロック

大宮の守備は前半の前半と後半の前半以外の殆どの時間帯で5-4-1のブロックを敷いていました。

前線で駆け引きを続ける呉屋に対しては3バックで受け渡しをしながらマークについていました。
バイタルエリアで動き回ってボールを引き出そうとする玉田に対しては、ボールが玉田に入った瞬間にHVが前に出て対応していました。
SHに対しては基本的にはWBが見ていました。
SBに対しては最前線に来ない限りはSH化したOHが見ていましたが、(クロスをあげられる程)最前線に来た時にはWBが対応して、その分浮いたSHへのマークはCHがカバーに入ってカバーしていました。

「CHがサイドに流れて対応した時に、そこにいたCHのスペースに入ってくる長崎の選手への対応はどうするの?」と思う方もいるでしょうが、そこに流れてくる長崎の選手はそもそもあまりいませんでした。流れてくるとしたら長崎CHですが、[3-2.特殊な3-3-4]の項目でも述べたことと重複してしまうのですが、あくまでも長崎CHはネガトラ要員というタスクがあるので、基本的にはそういった進入はありませんでした。

5.攻撃

5-1.ショートカウンター

長崎が自陣深くでビルドアップをしている時、大宮はハイプレスからのカウンターを狙いとしていました。

この試合で代表されるのは1点目のシーンです。
この時の攻撃はボールを奪取した酒井、そしてシュートを打った奥抜のみで完結しましたが、酒井は左サイドでボールを受けれる位置をとり、フアンマはPA内でボールを受けれる位置をとりました。

[4-2.CHをトリガーとしたハイプレス]の内容と併せて、「CHが大きく前にプレスをしたら連動してプレスをかけ、ボールを奪ったら即座に前を向きシュートで完結する」という約束事があったのではないかと推察されます。

5-2.ロングカウンター

先程[4-3.ブロック]で「CHがサイドに流れて対応した時に、そこにいたCHのスペースに入ってくる長崎の選手への対応はどうするの?」といった自己演出的な質問をしました。それに対して私は「長崎CHはネガトラ要員というタスクがあるので、基本的にはそういった進入はない。」と答えました。しかし例外もあります。
それは、長崎がパワープレーを仕掛けて来た時です。

72分のシモヴィッチの得点以降、長崎はAT含めた約25分で2点を追いつかねばいけなくなりました。ここでCHが積極的に前に出るようになります。
ネガトラ要員であった中央にいたCH(主にカイオ)はもう1列前に出て、3バックの1人と化していたCH(主に秋野)が代わりに中央に入るようになり、最終ラインは殆ど2CBのみで守るようになります。

動画は3点目のシーンです。
動画を見てもらえれば分かるかと思いますが、ボールを受けにかなり降りてきたシモヴィッチに対してアプローチをしているのはCBの徳永です。
この時長崎の2CHはどこにいるのかというと、2人とも徳永と殆ど同じ高さにいます。
この2人のCHは前に出てきた徳永がいたスペースのカバーをする訳でもなく、シモヴィッチのターンと茨田のロングパスに簡単に振り切られてしまいます。
あとは渡部が個人技を魅せ、最終ラインに人数が足りないためにカバーが遅れた角田にリフレクションしてゴールという訳です。

この試合は全体を通して相手のやりたいこと・したいことに合わせてロングカウンターとショートカウンターを使い分けることが出来ていたと思います。

6.最後に

今回は4000字を超えるレビューとなりました。いかがでしたでしょうか。
ここ2試合の大宮の最も良いところは相手に合わせて武器を使い分けることが出来ている事だと思います。最終節に向けて、昇格に向けて、いよいよ高木大宮サッカーが成熟してきたという事なのではないでしょうか。

さて、次節は6ポイントマッチであるアウェイ水戸戦です。水戸は整然と組織化されたディフェンスが特徴のかなり手堅いチームであり、大宮が如何に崩していくことが出来るかが試合の鍵となると思われます。
しかし、今まで構築してきた攻撃を信じて必ず勝てるように応援頑張りましょう!!

P.S.私はリアタイすら出来ません

7.宣伝

ちくき改めあるちゅーさんの新記事2本です。
私が本レビューでカバーしきれなかった事(ビルドアップの事とか)や書いた事も内容に含まれており、併せて読むと本レビューへの理解が深まるかと思いますので是非。

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