国民民主党 第3回憲法調査会「憲法改正の作法とは」4

質疑応答、質問4~11です。

■質疑応答

・【質問4】

本日は貴重なお時間ありがとうございました。愛知7区から来ました。
井上先生にちょっと若干質問と、国会議員の方に提案というかお願いしたいんですけども、資料の方の、後から多分二枚目だと思うのですが、憲法の分量の少ない小さい憲法ということで、これ憲法の英単語数ってなってるんですけども、これって単語数ってことでよろしいでしょうか。
あとパリテって言葉があったと思うんですけども、すいませんどこかの政党でパリテナウというのを、多分そういうホームページの方で、フランス語と英語をくっつけてどうするのっていうことがあったんで、その辺のことをちょっと本当に。
あと、憲法論議をする際に本当に普通にノーマルの上の立憲主義と民主主義についてのところなんか、きちんともう、言葉の定義と同じような形できちんとしてほしいなということをちょっとお願いしたいなということで質問とさせていただきます。

(山尾)
ありがとうございました。お久しぶりです。
後者の話って・・・「パリテナウ」ね。

(質問者)
結局そういうことをする、それが例えばTwitterみたいに、カタカナひらがなで「なう」って形であればいいのかなと思ったんですけど、ちょっとそこら辺のところ本当に、言葉もそうですし、定義をきちんとしていただいた上で憲法論議を進めていただきたいなってことがお願いということで。

(山尾)
わかりました今の、何党かもわかりましたが今のご質問を受けて、はい。
小さいの単語数の話もありましたね。小さいって、単語数のこと。

(井上先生)
はい、そうですね、これは単語数を比較したインターネットのサイトっていうか、研究グループがありまして、そこで数えてる語数っていうのを参考にしてまして、これはその日本語と例えばフランス語と英語とかで分量の長さをどうやって測るかといったときに、それはもう英語に直してそれで測るっていうことしかないので、そういう比較になってるっていうことですね。
あとは「パリテ」について私はよくわかりませんけども、パリテっていうのはもう、それ自体、意味を持った言葉として流通しているのかなっていう、そういう印象をました

(山尾)
矢田さん、はい、ぜひお願いします。

(矢田)
ご意見いただきありがとうございます。
パリテナウのことについて少しだけ。今先生からもありました通り、2018年にですね、政治分野における男女、いわゆる平等法というのが制定されまして、それ故各党とともにですね、党の中での女性議員を増やしましょうという活動されてると思います。私もちょっと超党派でですね、それも与党の方も野党の方も全部含めてなんですが、法律の改正を目指してですね、やってる議連の事務局長を務めております。
その中でもパリテっていうのは結構出てくる言葉なんですね。
今日先生に書いていただいて改めてよくわかりましたけれども、それを目指してやりましょうというのを、この看板にかけてらっしゃる政党がいるのは私も存じ上げてます。
ただ国民民主党はもう、すでに16分の5が女性議員でして、自然体っていいますか、やりたいなというふうな気持ちでおりますので、数だけ目指すのではなくて、本質的な議論がきちんとできるように、多様な価値観がきちっと議論の中に反映できるようにですね、やっていきたいなと思っております。気をつけます私達も、パリテ、なうとならないように、ありがとうございます。

(山尾)
ありがとうございました、矢田さんからもコメントいただいて、はい。
私たちもそういう思いでやっていきたいと思います。
今のところですね、先ほどの憲法改正と国民投票の話、結構チャットでも議論がなされていまして、中にはですね、やっぱり

わざわざ選挙で選んでる中で、憲法改正ぐらいは国民にいちいち聞かないでくれ
私たちそんな憲法のこと知らないよ
興味持って見てる私ですら1条と9条ぐらいしか知らないよ

っていう、なるほどねっていうご意見もありますし、一方で、

一度憲法の国民投票に参加したい、有権者として希望します

と、こんなご意見も来ております。そうですね。あと、ちょっと一つ面白いっていうか、興味深い質問というか観点かなと思ったんですけど、

新型コロナウイルスの騒動以来、マスクを付ける付けないは、憲法で保障される個人の自由なのに、そういう憲法の議論がされていない違憲状態が今

っていうふうに今、この方は書いてらっしゃるんですけどね、憲法は生活に身近なものだなあというふうに思いましたっていう、私もこれは問題意識として少し共有している部分があって。
やっぱりね、外出制限とか、お店を開いちゃいけないとか、時間も制約されるとか、かなり保障度の高い権利を制約、いろんな形でしているのに、それが本当に憲法上必要最小限の制約と言えるんですかって、公共の福祉の制約として合憲の範囲に入ってるんですかっていう議論が、あんまりされてないんですけど、例えば先生あるいは憲法学の中でとかどんな議論がある、ない、もしちょっと何かコメントお聞かせいただければと思うんですけど、どんなもんでしょう。

(井上先生)
このような問題は結構法的な問題、世界中の問題なってるんですね。
フランスではマスクっていうのを法的に規定、禁止されてますので、やっぱ裁判にもなってるですね、今、まさに先ほどおっしゃったように個人の自由の観点から、マスク義務付けができるのかってまさに裁判になってます。
ちょっと前ですと、6月ぐらいですかね、建物の前で、学校等で検温、サーモスタットですかね、あれを自動的にとるやつありますよね。あれは、個人の個人情報を取るので、プライバシー侵害だっていう判決も出てるんですね。
だからそういうのも、実際に法的な措置がとられたりしたときには、そういうふうにそこを捉えて、憲法違反とか人権違反だって言われるわけですけれども、日本の場合はお願いなので、自粛とか要請なので、その法的な議論にちょっとなかなか載らないという面がありますよね。
だからもうフランスなんか、何かきっちりもうルールで決めて守らせる、強制的な。でも日本の場合は何もなしで、その自粛要請してなんとなく空気で守らせるっていうふうなあり方の違いっていうのは結構大きいと思うんですね。ルールっていうのは普通個人の自由っていうのを制限するものだっていうふうに思うかもしれないんですけども、ルールがきっちり決まってると、やっていいこと・やっていけないないことがはっきり区分けされるので、かえって自由が確保されるっていう考え方もありうると思うんです、それは。やっぱ文化の違いなんかもあるのかなっていうふうに思いますけども、そこもちょっと検討対象にしてもらいたいなと思います。

(山尾)
ありがとうございます。
そうなんですよね、お願いベースが必ずしも全部駄目かどうかは別としても、お願いしてるだけなんでということで、法的責任も、経済的あるいは金銭的な責任も免れるというのは、問題もあるんじゃないかなということも思っていました。
今の関係でもいいですし、あの全く他のことでも構いませんので、すいませんまず手上げていた最初のあの一周目の方からというふうに思います。こちらから行きましょうかはい。

・【質問5】

今日は貴重なお時間ありがとうございました。名古屋から来てたんですけど、来てよかったなと。2点ほど感想と質問というところであるんですけども。
最初のところで、憲法は本来国民国家を統合する役割を果たすものっていうことがあるんですけども、大学の憲法の授業だと一番最初の方に憲法の英訳は constitution っていう訳が当てられていて、辞書を引くと枠組みとか骨組みとかそんな感じ。の訳が当てられてるんですけども、そこら辺から自分は、憲法というのは国のあり方そのものなんだろうなという、そのものを規定するものが憲法なんだろうっていうふうに理解をしてるんですけども、日本の今までの憲法の議論を見るとそういうのがあんまなくて、思いで改憲してみたいというのと一文字も変えたくないっていう、そういう対立で来ちゃったので、今こういう取り組みをされてるっていうのはすごい尊敬することだなと思います。
フランスの場合だとかなり頻繁に、アメリカとかもされてますけど、フランスの場合は、民主制をどういうふうに機能させるかっていうところに絞って、また立憲主義を機能させるっていうところに、だからかなりメインで、最近は改正の議論がされてるのかなと思うんですけども。その辺、例えばフランスではどういう、その憲法のあり方とかっていうのは合意があるのかどうかっていうところをちょっと知りたいなと思います。
あともう一点がですね、これも今までの憲法議論であんまなかった議論かなと思うんですけど、分量の少ない憲法っていう話があったと思うんですけど、他に憲法附属法と言われる法律っていうのも日本にもあると思うんですけども、例えば国会法とか、そういったものもあると思うんですけど、そういったところの運用でまずいところとかそういった改正を国会法とかのレベルでも、議論していくってことはすごい大切なのかなと思ったので、そういった議論とかが、例えば憲法の53条の問題とかっていうのもあると思うんで、今国会でどういうふうな議論がされてるのかっていうところあれば議員の先生でも教えていただきたいなと思います。以上です。

(山尾)
ありがとうございました。フランスではいわゆるその憲法なるもの、憲法の概念についての国民合意、共通意識っていうのはどうなんですかね。

(井上先生)
統合という観点からするとその憲法が作られる状況っていうのを考えるといいと思うんですね。憲法を作る状況っていうのは、いわゆる前の危機的な状況とか内乱とか戦争とか体制変換って非常な事態で作られる。そこで新しい体制のもとでみんなが一つになっていくっていう状況で作られるわけですよね。
ですからその憲法に対して賛成をして、新しい未来を作っていくって観点が非常に出るわけなんですけども、日本の場合そこからですね、ずっとこのやり方はずっと問われてきたわけですよね、押し付け憲法論という形で。ですのでそっからですね、少しちょっと議論が違うような感じがしてます。
なので我々はですね、今の日本国憲法70年続いてますけども、実は一度も意志表示したことないんですね、我々。この憲法いいって言ったこともないし悪いって言ったこともなくて、独立したときに、占領時に作られた憲法っていうのは暗黙の了解で引き継いできたっていうことだと思うんです。
なので、だから国民がこれはっきりと承認したっていう普通の国の憲法だとそういう契機があるんですけども、ない。だから山尾先生おっしゃったように、1回やっぱり国民投票をやって、やるとですね改憲でも反対でもその憲法に対する意思表示したってことになりますので、そこで理論的には押し付け憲法というのはなくなると思うので、やるのは一つの案だと思います。
フランスについては、この58年憲法っていうのはですね、その前の憲法戦後すぐ出来て憲法は12年しか続かなかった。なぜかというと危機的な状況ですね、アルジェリアの内乱というのがありまして、それにどうやって対処する、できるのかということで、そこにドゴールっていうカリスマ的な人がいて、このドゴールに統治をさせて、危機を解決しようっていうことでできたのが58年憲法なんですね。だから、別名ドゴール憲法というわけですけども。それはだから、ドゴールが存命のときはすごく統合力を発揮してドゴールの体に合わせたものって言われてましたので、影響力あったんですけども、それはやっぱその時代のもので、今はもうちょっと普通の憲法に戻そうっていう、第六共和政に、憲法を作るっていう動きは結構有力にありまして、アイディアとしては。なのでやっぱ憲法に対する見方っていうのもですね、時代とともに変わってきてるっていうふうに思います。
一方ドイツはですね、占領、日本と同じ敗戦の後できた憲法ですけども、これは非常にその統合力というか、求心力というか非常に高いですね。ドイツの国民は基本、憲法とか基本法とか言いますけど、非常に高いですね。それなぜかっていうと、憲法裁判所がですね、非常に重要な人権保障的な役割を果たしてきて、憲法とその憲法裁判所に対する信頼っていうのがものすごく強いんですよね。だから国のあり方によって憲法に対する見方っていうか、国とか時代によって違ってくるのかなっていう気はしてます。

(山尾)
ありがとうございます。ちょっともし後者の、国会での議論のご質問で、趣旨が違ったら言ってほしいんですけれども、例えばその憲法の分量の小ささ、問題点、課題みたいなものを国会でどういうふうに話し合われているのか話し合われてないのかというようなことで言うと、ようやく話し合われるようになってきたって感じです、私の印象では。
その原因は多分なんですけれども、これまではどうしても野党は憲法を変えないために、変えないっていう学者の先生から話を聞く。与党は憲法を変えるために、憲法は変えるっていう学者の先生から話を聞く。だからそこは交わることがなくて、こう言った、まず日本の憲法って、枠づけの枠がとっても隙間が広いよねっていう、要するに分量がちっちゃいので、ルールの枠づけの枠と枠の間がものすごく広いですよねと。その広い空間を解釈で埋めてきましたよねと。でも現状がいろいろ変わってきてるのでその解釈も何か変わったり、積み重なったりして、ほとんどそれを理解できる国民がいなくなっちゃったし、議員も怪しいもんですよねと。
そうなっていくと、ますます憲法の議論って、その枠の間を埋めてきた憲法学者の一部の人しか議論できないものになっちゃって、井上先生が言う、エリートのための憲法になってきちゃってここまで来ちゃいましたと、いうときに、もう1回私達で憲法についてきちっと議論できる環境を作りませんかっていう、ようやくそういうところまで来たというか、行かなきゃっていうそういう状況だと思うので、こういった調査会にこうやって一般の方が足を運んでくださったり、こうやってチャットで質問とか意見言ってくださって、このプロセス自体がようやくそのスタートラインかなっていうふうに私自身は思いました。本当にありがとうございます。
時間もあと15分になりましたので、一度ご意見やご質問ある方、一度目の方を中心に手を挙げていただけますか。はいちょっと2人か3人ずつぐらいお伺いしていきます。高井さんからこちらに行きますね。

・【質問6】

衆議院議員の高井です。井上先生お久しぶりです、ありがとうございます。
最後から2ページ目の日本国憲法の特徴というとこで三つ書いてて、権力に対する統制力が弱い憲法・制定後の社会の変化に対応しない憲法・国民の承認を得てない憲法と、どれも悪いことばっかりで、これちょっと先生に問うべき質問じゃないかもしれないんですけど、逆に今の憲法がいいと、この憲法がいいと言っている学者の方々がですね、例えばこの分量の少ない憲法の何がいいとおっしゃってるのか、あるいは改正経験のない憲法の何がいいとおっしゃってるんでしょうか。ちょっと私不勉強なもんですから、でも結構多くの憲法学者がそう言ってるんじゃないかと思うんで、逆に、日本国憲法の何がいいと言われてるのかちょっと教えてください。

(山尾)
井上先生に聞く質問なのかわからないけれども、あの憲法学者として今唯一ここにいる井上先生お願いします。

(井上先生)
ちょっとその観点の質問を受けたことはなくて、非常に面白い質問でただ考えないといけないですよね、それは。だからその、小さいっていう点についてはやっぱり柔軟性っていう形で、フレキシブルで状況対応できるっていう点をおっしゃるかと思います。改正経験のないっていうところも、別に悪いところないからいいじゃないかっていう、多分そういうふうに言われると思うんですけども、ただそれでだから、そういう議論で済ましていいかどうかってことですよね。その背景にはやっぱり変えなくてもいいと、変えたくないっていうところがもう根っこにあるので、例えばどんな合理的な提案をしてもですね、議論にならないというか。
例えば一例を挙げますけども、最高裁判所の国民審査って要ります?一回も機能したことないですし、今後も機能する見込みってないですよね。毎回多額の税金あれかかっているはずで、明日にでも廃止してもいいと思ってるんですけど、でもそういう議論もしないし、できる感じじゃないっていう点と思いますので、やっぱ最初のその憲法に対する見方っていうところが影響してるのかなっていう気がいたします。もうちょっと私も考えたいと思います。ありがとうございます。

・【質問7】

埼玉県川越市から来ました、よろしくお願いします。井上武史先生、それと山尾志桜里先生、今日はどうもありがとうございます。
先ほど現行憲法は基本的にマッカーサー憲法であるとか押し付け憲法であるとかっていう、そういう発言がありましたけども、今の憲法は、上位文にも、僭越ながら読ませていただきますけど、

朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

という文章もありますけども、憲法改正を求める、保守を標榜する政党の方にぜひ知っておいていただきたいんですけども、現行憲法は、大日本帝国憲法最後の詔勅であるということ、そういう考え方も一つ覚えておいていただきたいと思います。
1946年の11月3日に昭和天皇が国会演説で、「本日、日本国憲法を公布せしめた。朕は国民とともに全力を挙げてこの憲法を正しく運用し、節度と責任とを重んじ、自由と平和とを愛する文化国家を建設するように努めたいと思う。」このようにおっしゃいました。
だから、先ほどこちらの先生の方から、今の憲法を守る人は何がいいと思ってるんだっていう質問がありましたけども、今の憲法は、マッカーサーが押し付けたというそういうふうな意見もあることも知ってますし尊重もしますけども、そうじゃなくて、昭和天皇が最終的にご判断で、諮問機関と諮詢によって最終的に選ばれた憲法であるということ。そして75年間、この憲法に対して、誰も文句を言ってこなかった、追認してきた。誰も変えてくださいと、一部でいらっしゃることは知ってますけども、それは一部の国会議員であるとか、政治家の皆さんが言ってて、一般の国民の方から、普通の国民ですよね、あの、農民だとか、漁民だとか、あと中小企業のサラリーマンだとか、そういうところは、この憲法を変えないと、困るんですっていう声が一つも上がってないわけですね。
ですから、そういう意味で、今の憲法っていうのは、守るべき憲法だっていう考え方も少なくない意見があるんじゃないかなっていうことで、すいませんあの話もまとまりませんけど、はい、ありがとうございました。

(山尾)
今の憲法の源の、自分にとって重きをどこに置くのかっていうこととか、あるいはその戦後、今までの間で憲法について国民ってとっても広いので、私もあの、私が見えてる国民っていう範囲って狭いんだと思うんですよ。
だけど本当はやっぱ、自分に見えてない国民が多分いてすっごい広いので、何を国民の意思と考えたり、っていうのは国会議員にとってもすごく重要な話だし、私としてはいつも自分が見えてる国民っていうのは結構狭いんだっていう、そこらは気をつけるようにしています。はい、ありがとうございました。
もう1回手をあげていただいて、今日ぜひ質問したいですご意見ありますという方もあげていただいていいですか。まずこのお2人で、はい。お願いします。後ろの方から、そして前の方に行きます。

・【質問8】

ありがとうございます。先ほどあちらの方から、フランスの国民投票での改憲と、合同会議での改憲とっていう話、どっちがみたいな話があって、私先週質問させていただいたときに、世界各国の憲法法典を読んでるんで、憲法オタクだって話をさせていただいたんですけど、結局憲法典だけじゃなくて、フランスとかアメリカとか、ドイツとかの改憲の経緯を結構追っかけていて。
知ってる限りで申し上げると、この58年のドゴール憲法、第五共和国憲法って、ドゴール自身が作ったのに、最初の改正を、今日井上先生がおっしゃった二つの手続きじゃない方法で改正やっていて、それであの、フランス大統領に憲法上、任意で選んだ国政の課題について、国民投票にかける権限があるっていうのを使って、それまでその第五共和国憲法できた時点では、間接選挙で大統領選ぶっていう制度だったのを、国民による直接選挙で選ぶっていう改正をやったのが、その第三のというか、当時からそんな手続きは憲法に書かれてないんだから、違憲の改憲だっていう議論もあったんですけど、ドゴールがそれを強行して、二つの手続きではない三つ目の方法で改憲をやったっていうのがまずあったりとか。
その後ドゴールが退陣するに至ったときも、今度地方制度改革と両院改革をやるために、同じ方法で、議会を通さずに自分で考えた改憲案をいきなり国民投票にかけたところ、今度それが否決されたわけで、自分はもう信任を失ったっていうことで任期を残して辞任をして、その直後に亡くなっちゃったっていうことがあったりとかで。
結構そういうことがあったから、国民投票をかけることに対しての、何だろう、ちょっと拒否反応的なものが一部のエリートにあるのかなって、ここは最後ごめんなさい僕の意見ですけど。フランスでは、この改憲以外でも、一番衝撃的だったのが欧州連合条約を欧州憲法に変えるときに、当時フランスの国会に議席を有するほとんどの政党はあれに賛成だったと。日本でいえば自民党から共産党まで全ての政党が賛成ぐらいの感じで賛成だったけども、世論調査やると結構4割以上とかが反対だったから、政治家も怖がって、欧州連合条約を欧州憲法に変える、批准するにあたって、本来は議会だけでできたのにそれをせずに国民投票にかけたら、51対49ぐらいの僅差で否決されて、葬り去っちゃったっていうことがあったりで、結構改憲以外でも、かなり政治的に重要なテーマで国民投票をやってはいるっていうことがあったりします、ということをごめんなさい、ご紹介させていただきました。

(山尾)
はい、ありがとうございました。
今のだから、あれですよねやっぱり。改憲の俎上に、改憲手続きを乗せることへのためらいみたいな。そこは私もちょっと通じるところがあって、あのいろいろ重要なことをご指摘いただいて本当にありがとうございました。ご質問あれば、はい。

・【質問9】

今の方と全く逆の立場というか、全然、憲法なんてずっと読んだこともないっていう、あれで生きてきたおばちゃんなんですが。えっとですね私この国ですごく大事なのは、メディアの独立性とかっていうのが、考えてまして、ここにフランスの改憲プロセスの特徴というところにメディアの独立性多様性というのが書いてあるんですが、これは具体的に何かそういう条文があったりとかって、お聞かせいただけるとありがたいです。

(井上先生)
これ2008年の憲法改正のときに、具体的な条文として入ったんですね。メディアの独立性多様性、これ入ったところは法律でちゃんと定めなさいっていうところで入ったので、明文にはなってます。意見の流通、すごく多様性確保するっていうのは、ずっと表現の自由の判例とかでも問題になってましたから、フランスでも。それで入った形になりますね。

(山尾)
どうもありがとうございました。ちょうどあの時間も迫ってまいりましたが、他の方、よろしいですか。はいどうぞ。

・【質問10】

今日はありがとうございました20歳の学生でございます。
埼玉県の川口から来ました。特に憲法に関して、ちょっと提案なんですけど、今後この憲法調査会の機会の、直接民主制、そのことについてちょっとテーマにしてほしいなと思いまして。今、やっぱりその直接、今議会民主制、で何でもその法案は全部議会とかで決められてますけど、実は直接民主制で直接国民が投票して決められるのはやっぱり憲法改正しかないと。その憲法改正しかない中で、実際国民主権の中で、国民がそんなに自分たちで法案とかそういうの決められないのかなっていうのはすごいちょっと疑問に思って、なのでちょっと提案なんですけど、今後そういったことも含めて、直接民主制についてちょっと議論をしてほしいなと思います。

(山尾)
大事なご提案ありがとうございます。
憲法改正以外でも、国民投票できるようにしてもいいんじゃないかっていうこともありますよね。その話っていうのは国会の中の憲法審査会でも、それは話し合わなきゃいけない大事な宿題だねっていうことになっていて、それが宿題のまま放置されてるので、あの大事なご提案なので、どういうことができるかちょっと考えさせてください。ありがとうございました。それでは、はい。

・【質問11】

ありがとうございます。フランスの方の憲法改正で議員だけで改正もできるということを知ったわけなんですけれども、その前提となる上で、ここにありますパリテ。これ先ほどから話題になってますけれども、日本では10%しかいないということで。
私がちょっとやっぱり思うのは、自然に増えていくのを待っていても、これ多分、何十年たっても、おそらく増えないんだと思うんですよね。やっぱりこれ法律を導入することによって、そしてその法律を導入するために憲法を改正することで、実際に議員がすごく増えたということを先生おっしゃってましたけども、これやっぱり実際今日本当に女性議員の方々が、いらっしゃいますけれども。
そういうやっぱり私は、多少強引かもしれませんけれども、そういうふうにしないと。結局、増えていけば、結果として、なんていうんでしょう。女性の方が増えていく。自然にそういうふうになっていくと、最初はやっぱり多少強制力という言い方もおかしいんですが、働かせないと、でそういうふうになっていかないと、結局議員に対する国民からの信頼っていうのが、今結局、すごいぶっちゃけた話するとおじさんしかいないので、価値観が基本的にはあんまり広くないって思ってるんです。
なので、ちょっとその辺に関して、せっかくお残りでいらっしゃいますんでご意見をいただけたらと思うんですけども。

(山尾)
じゃあもうぜひぜひ、矢田さんからいただきたいと思います。
その後先生の方でちょっと全体を受けてコメントをいただいて、そして今日開いていきたいなと思ってます。

(矢田)
はい、ありがとうございますご意見いただいて。私もですね、2年前に参議院の内閣委員会の筆頭理事をしていたものでですね、この法律制定に関わった1人なんですが、本当に生みの苦しみで、今の2018年の政治分野における男女平等を作るときにでもですね、もう本当この抵抗が大きくてですね、みんな走り回って、特に与党です。与党側の、もうはっきり言います、自民党が呑まないんですよね。
やっぱ既得権で今まで自分たちがやってた地盤をなんで、女性に明け渡さなくちゃいけないんだ何が女だって感じの人がですね、定年制じゃありませんので、歳いった方がですね、やっぱり多くいらしてですね、そういう論調だったと思います。
従って今回、とにかく理念法でも、とにかく出さないとということで、日本では法律を生み出したわけなんですが、これを理念法からもう少し、もう少しでいいから、法的拘束力を高めたいということで、今、議連を組んで、一応95人もメンバーはいるんですけど、ほとんどとりあえず名前を連ねてる人もいてですね、なかなか審議が進んでいないという状況ですが、法律、3年目になったので、来年の通常国会での改正を目指して今やってます。
だから今日は本当に目からうろこでそうかと。憲法というのがあるんだと。法律そのものを変えるよりも、憲法の中に何か位置づけをした上で、これ手段としてですね、先生も仰った手段と目的で、手段として活用することができるんだなということは私も今すごく理解ができましたので、何らかの使用できないかと考えました。
ただ、山尾さんもおっしゃった通り私も国会議員になって4年なんですけど、もう全く一緒です。国会議員になる前なんで憲法なんて申し訳ないですけど、ほとんど学校で習ったきりですね。知らないですよ、ほとんど。
従って山尾先生がですね一生懸命やってらっしゃるので今、毎回参加させていただいてますが、高校生になる息子とも昨日も話してたんですけどね、ほとんどこの触れてない憲法を、やっぱり国民みんなのものにしてですね、話し合ってかないと、何があるのか、こういう何か抜けがあったりですね、諸外国と比べてどうなのかすらわからない中で、何て言うんですかね、このままでは改憲どころか、論憲どころか、論憲をしないと、改憲も護憲もなくってですね、みんな理解もできてないのに、変えていいものなのかどうかすらわからない状態なんじゃないかなというふうに思いました。
今日はもう帰られましたけど、高井先生がおっしゃってたので言うとね、私は野党で最初当選した頃はよく「反対!」という集会に、参加させられてたんですね。行ったらもう反対なんですよ、とにかく触ってはいけない聖域。そういう感じでですね、もういいも悪いも「触るなー!私たちのこれは宝だー!」っていう感じで、精神論から入ってる感じがしたので、本当に今日はこうしてですね、いろいろ聞けたし嬉しかったと思うんです。
また最後に、女性のですねやっぱりパリテに戻りますと、私もこうして山尾先生とかとですね一緒にやらせていただいて、先ほども申し上げた通り、いろんな価値感をですね、やっぱり国会の審議の中に入れていきたいというふうに思います。参議院の方はそれでも24%、女性がいて、やっぱり衆議院なんですね。衆議院は.10%しかいなくて、あの日本は163位ですよ。先生も表現してくださった通り。議会の中のいろんなことを決めていくプロセスの中に女性が入っていないことについて、この憲法も今日学習させていただいたので、そちらからのサイドでも、ぜひ変えていきたいなというふうに思います。ありがとうございます。

(山尾)
付け替えることがありません。ということで、今日は本当に議論になったと思います。なんか回を重ねるにつれてどんどんどんどん深まってきて嬉しいです。今日の議論も聞いていただいて、結構あの井上先生から見ても、こうやって一般の人もいてオンラインもやってて議員もいて、2時間きっちり話するってなかなか、しかも特に最近少なかったと思いますけれども、感想も含めて、ぜひお願いします。

・井上武史先生より

一番最後、先ほど学生の方が直接民主制をやって自分たちにも決めさせてくれというところは、非常に大事な点でして、これはやっぱり国会議員とか国会がですね、国民に応答してないってことなんですね、要望に。自分たちと違うところで決められてる物事がっていう点です。先ほど先生から言われた、いわゆる先生が言われたパリテっていうのは、これはだから社会で、代表がですね、きちんと社会の構成が国会に反映されてないっていうことですよね。世の中半分ぐらい女性がいらっしゃるのに、国会の中では10%とか24%でも多いって言われてるっていうのはおかしな話。これはだから、代表制の問題なんですよね。代表である、これはまさにフランスのマクロン大統領が今問題にしている点でして、より民主主義を代表制的なものにして、応答的なものにするっていう点が問題になってて、状況としては、日本もフランスでも同じだと思うんです。
あとはこういうふうにフランスみたいに提案をして、議論を続けていくかで、それを実現するかっていうところだと思うので、国会議員の先生がたはですね、まさにあの声がまさに国民の声だと私も思いますので、その声を吸い上げてですね、憲法議論していただきたいなというふうに思いました。
で、もう一点ですね付け加えますと、実はこういうふうに議論をしようといろいろ私も含めて先生方もおっしゃってますけども、こんなに憲法について議論しろとか関心を持てって言ってる国は多分ないんです他に。フランス人はこうやってますけども、フランス人憲法知ってるかって全然知らないと思います。どういう仕組みかっていうのは、でも日本はぜひ講義てみんな議論して知りましょうっていうふうに言ってるのが実は私もこういうところで話してるのは非常に奇妙なんですね。
ですので、そのためにエリートの人たちとか代表の人たちが仕組みをしっかり考えて、それを提示して、民主主義と立憲主義をですね、向上させていこうっていう形で国会議員のか、先生がた動いていらっしゃるので。ぜひですねすごい関心のある先生がただと思いますので、統治機構改革について積極的に働きかけてほしいなというふうに私から心から願っております。本日は貴重な機会どうもありがとうございました。

(山尾)
こちらこそ、貴重な機会本当にありがとうございました。
それではちょっと今日残念だったのは玉木代表、多分先約がどうしてもっていうことだったと思いますが、今日は舟山政調会長に締めていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

・舟山政調会長より

改めまして先生今日は本当にありがとうございました。
フランスの、この憲法改正手続きの話を参考に、やはり今の日本の議論のあり方の問題とか、内容の問題ということも浮き彫りになったのかなと思います。
やっぱりこう、私がずっと思ってた二項対立のような部分の何が問題かっていうところが今日、少しクリアになったなと思ったのが、要はその憲法改正そのものをどうするかということではなくて、何か変えなきゃいけないことがあったときにじゃあどうする、その手段として憲法まで踏み込むのか、法律なのか、規則なのかというところの流れの中で、やっぱり場合によっては憲法改正に繋がると、そういった議論の中でやっぱりこういった中身の議論をしていかなきゃいけないなということを改めて、非常にクリアになったかなと思っています。
またこういった議論を続けながらしっかりとあるべき姿を私たちも追求していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございました。

(山尾)
皆さん本当にありがとうございました。井上先生本当にありがとうございました。
オンラインの皆さんも最後までありがとうございました。次回のご報告だけで次回は10月30日金曜日、16時から18時、夕方の4時から6時というふうに、ちょっとあの国会が開会したことと、この日は参議院でおそらく代表質問などが入るんじゃないかということで、時間帯が変わっています。
来週の金曜日は4時から6時、今日はフランスの例からいきましたけれども、次回は慶応の横大道聡先生をお招きをして、ちょっと広くですね、世界各国の憲法をみんなで1回事実を確認してみようよと、こんな会議したいと思いますので、ちょっと時間帯が変わって、また都合つけるの大変かもしれないんですけれども参加いただければありがたいです。また来週もお目にかかれることを、望んでおります。それでは今日は本当にありがとうございました。

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