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私の筆箱 | 太い鉛筆が好き

ちょっと前の企画なんでしょうか。”わたしの筆箱紹介”というタグに行き着いたので、私も投稿。


絵を描く時、スケッチで使うのは太い鉛筆です。
太くても細くても鉛筆を使います。
もっと言うと、絵でなくても筆記具はほぼ鉛筆を使います。

絵もメモも、仕事の打ち合わせでも鉛筆。
立派な会議室の打ち合わせ時には「鉛筆で?」的な顔をされる事もありますが、実はボールペンが相当苦手。シャープペンも好きじゃない。
じゃあ万年筆か?となりますが、万年筆はメモを書く時には使いたくないのでおのずと鉛筆になります。

まずはそういうメモ用の鉛筆ではなく、スケッチを描く用の筆箱の太鉛筆を紹介します。
線が柔らかくて、太い芯なのでラフな線が出来上がるからです。

私はスケッチの段階で、あまり線を具体的にしたくありません。
具体的な線を描けば描くほど、もうその結果から逃げられなくなる=アレンジしにくくなる。
もちろんファースドローイングはすごく大事ですし、結果最初にひいた線の通りに落ち着く事になるケースは多いですが、やっぱりちょっと考えてみたい。そんな時に太くてラフな線は少し余裕を与えてくれます。

それに私は気が小さいので、太いラインはなんとなく大胆な人になったような気がします(笑)。
”大胆不敵な絵描き”。こんな言葉に憧れるのです。

今日は私が愛用している太め鉛筆はこちら。

月光荘 8B鉛筆

なんといってもこれ。これに尽きる!です。
私はスケッチ段階での使用率、この鉛筆が8割。ご存じの方も多いと思いますが、銀座の画材店「月光荘」のオリジナル鉛筆。

線が太すぎず柔らかすぎず。薄くなくて手に持った馴染み具合がとても良い。
先ほど、太い鉛筆は柔らかくて太い所が好き、と描いたのですがやはりそれにも限度があります。たまにふにゃふにゃしていたり、ぼやっとしてしまう感じの太さのものもある。
しかしこの月光荘の鉛筆はそれらの具合がちょうど良いんです。

月光荘の8Bでザクザク描く。皮の鉛筆キャップがステキ。

銀座に行くと4丁目あたりのおしゃれで賑やかなエリアは素通りし、端っこの8丁目を目指します。
大通りから少し入ったところにある、ギャラリーも併設しているこの1979年創業の老舗画材店。ここはずっとこのままでいてほしい。
オンラインショップもありますが、東京に住んでいるうちはやっぱり足を運びたいお店の一つです。

鉛筆削りもかわいい。大きい方で8Bの太鉛筆も削れます。


LYRA graphitkreide 2B

とにかく太い!この太さがたまりません。
他の鉛筆が濃いので、2Bなのに薄く感じてしまいますが、この薄さがちょっとホッとしたりする色合いなのです。

これはクレヨンですので、厳密に言うと鉛筆ではありません。
しかしクレヨン感をあまり感じないくらいさっぱりとした線が描けるので私は鉛筆扱いとして筆箱に入れています。

紙に対して少し対峙する芯の感じも良いです。あまり紙に吸収されすぎない。なんとなく滑りながらも軽めの線が乗っかる、という表現かなあ。


右=それぞれの鉛筆で描くとこんな感じ

CARANd'ACHE 775 9B

GRAFWOOD / カランダッシュは、スイスの高級鉛筆です。
ほど良い握りやすさと、9Bという月光荘を上回る濃さですが、そんなにベタっとしない描き心地が好きです。
硬度のバリエーションが広く、私は描いた時にガリっとしないくらいのややソフトなタッチが好きです。
この鉛筆は、この硬度によって外側の色が違うので選ぶ時にもわかりやすい。
製図を書く方も使われる、プロ向けのグラファイト鉛筆ですね。

ちょっと冷たくてクールな感じのするところが魅力的。
ツンデレ、じゃなくてツンツンなところがたまらないです。

STAEDTLER Noris Junior 金・銀

ステッドラーの色鉛筆。これは名前の通り子供向けの色鉛筆で、他にもいろんな色があります。
色鉛筆としてだけではなく、クレヨンや水彩色鉛筆としても使えるものです。

クリスマスシーズンに使いたくなる2本

私はこれはこの金と銀しか使いません。黒系の紙にラフ線を描く時にこれで下書きをしてみたりします。
ゴールド・シルバー系というとやたらにメタリック要素が入ってきて、線がギラギラしちゃう文具が多いですが、これはマットなメタリックです。
金なんだけど、ちょっとシックでかわいらしい感じの風合いです。

これはお子さんが使うのにはかなり楽しいと思います。使ってみると確かに鉛筆でもない、クレヨンでもない。
少しお子さんには握りが太すぎないかなあ?と思ったりしますが、4本でぎゅっと握って紙に押し書きしていくんでしょうね。
こんな楽しい描き方ができるのも、考えてみれば子供のうちですねえ。

他にもFusain Charcoal / Conte a Paris N32とかもありますが、ちびっ子になったのを数年前に見たのが最後で、現物がもう筆箱にはありませんでした。

三菱UNI HB

しかし日常使いはこの三菱UNIです!
もうどこでも売っている。夕飯の買い物するスーパーの文具売り場でも売っている。
削っていないこの三菱UNIがいつでも数本パソコン横に置いてないと落ち着かないですし、どのバッグにも1本くらい入っています。

この鉛筆を手にしない日はない

硬度は普通にHBを使っています。しかし硬度の幅が 10H〜10Bまであるこの鉛筆。息子は面白がってなるべく濃いものや薄いものも使ったりしていました。

他にも普通に売っている鉛筆は多種ありますが、私はこの鉛筆が一番書きやすいので、前記した立派な会議室での打ち合わせでも両隣の方の高級万年筆にビビることなくこの三菱UNIを使うんです。

鉛筆の匂いが好き

鉛筆は書き心地とか太さとか言っていますが、私は鉛筆の匂いが好きです。
私は描き心地も匂いも濃い鉛筆の方が好きなので、粘土というより黒鉛の匂いが好きなのでしょう。子供の頃からこの匂いが好きで、つい匂いを嗅いでしまう為よく鼻先が黒くなっていたりして同級生に笑われたりしていましたね。

でも芯の匂いだけではなく、軸の木の匂いと一緒になって鼻に入ってくる所がまた良いですね。知り合いに鉛筆を作っていらっしゃる方がいらしゃって、昔一度お邪魔した時に作りたての鉛筆を見せてもらったことがありました。芯と木の自然の香りを同時に楽しむことができました。

愛すべきダーマト

話は三菱さんに戻りますが、三菱鉛筆といえば「ダーマト」(ダーマトグラフ/ DERMATOGRAPH )。紙巻の柔らかい色鉛筆ですね。
一時期、編集のお仕事をさせて頂いている時、校正はこれでやっていました=いわゆる「赤入れ」です。
最初は糸をくるくるっとほぐして芯が出てくる様子に驚いたものです。

これ、紙だけじゃなくてガラスやフィルムにも描けるので、写真がまだネガの時にも上から赤を入れられました。
印刷後の校正紙の上にもしっかりした綺麗な真っ赤な発色で乗るので、印刷業界ではこれが原稿入稿の際の大事なツールでした。

さすがにもう今は私の筆箱にもダーマトは入っていません。でもたまにこれを見る機会があると、当時のいろんなシーンが鮮明に浮かんできます。

思い出や記憶を呼び覚ます鉛筆が私には色々とあるのです。
一緒に生きてきた大事な仲間です。

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