ネコは僕と#28

あれから数日が経ち、マイマイは普段通りの元気を取り戻していた。お腹を舐める様子は見られるも、傷跡は見立たないほど、よく見ないとわからないほどになっていた。エサも食べるようになり、毎回混ぜていた薬も昨日でなくなった。
トイレかなと思いきや、スプレー行為をしていたもんだが、今や微塵もなくしなかった。一気に変わることにむしろ慣れないほど。名残という言葉があるのだが、マイマイはその名残すらあの動物クリニックに置いてきたのである。
鳴き声といえば、一日にどれほど鳴いたであろうというくらいに聞いていない。もちろんお腹が空いた、という訴えの声は聞くのだが、普段はめっぽう鳴かない。

手術後の初日、僕と一緒に寝たわけなのだが、あの日でマイマイは何かを掴んだのか、僕が寝ようとすると階段まで付いてきてはゲージに入りたがらなくなった。あの次の日は、ゲージに入れたのだが、鳴き声とゲージが揺れる音が聞こえるほどであった。まさかと思い、僕はマイマイを連れて、一緒にベッドに入ってみた。
すると、どうだろうか。
こいつ、いやマイマイは一言も発せず寝たではないか。
あたかもここが私の寝床だ、と言わんばかりの寝顔である。
それからというもの毎晩、僕はマイマイと一緒に寝ることが自然と決まった。
自然と言えるのだろうか。マイマイの策略なのではないだろうか。

ちなみにだが、あの初日に僕は自分の寝相、マイマイへの被害を懸念視していたかと思う。今の僕には、その懸念視はなかった。毎回考えていては寝不足になるし、寝相を正すことも難しい。だから考えることはやめた。
毎朝、マイマイは夜にいた位置と変わっているのだ。僕の寝相が悪いから、マイマイは自分で移動し避難している、それでも一緒に寝たい。そこまで思うのであれば、考える必要はない。という僕の答えでもある。

僕はイタズラとして先にタオルケットを自分だけかけるが、マイマイは手を器用に使い、潜り込んでは僕の左側で丸くなる。タオルケットの端に少しだけ力を入れると、潜れなくなるマイマイは、入れそうな箇所を探して潜る。
こうして僕とマイマイは眠っている。

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