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フルタイムゲーマーとして生きるために

近年、ゲームとゲーマーを取り巻く環境は変化しつつある。その中で最も大きく変わってきたのは、ゲーマーが「職業」として認知され始めたことだろう。フルタイムのゲーマーが生まれる程に、職業としての体系自体も出来上がりつつある。SNSに目を向けると若者達が「自分もプロゲーマーとして生きていきたい」と夢を語る光景を見る頻度も増えてきたように思う。

当たり前のことだが、人が生きていくためにはお金が必要だ。そしてただ漠然とゲームをプレイしているだけでは収入を得ることはできない。自分自身が収入を得なくても問題なく生活できる選ばれし人は確かに存在しているが、そうでない人の方が圧倒的に多いはずなので、今回はフルタイムゲーマーとして生活するための支出と収入を得る手段についてざっくりとだがまとめた。またそのバランスが現状釣り合っているかについても後述していく。

・支出

個人差はあるが、人が生活をする上で必要となる支出についての参考値を以下にまとめる。今回は最もゲーマーとして活動しやすいと考えられる東京都内での生活を想定する。

・1か月の支出
家賃:約10万円(都心部想定)
食費:約3万円(1日千円想定)
水道ガス代:約5千円
電気代:約1万円
通信費:約1万円(電話+ネット代)
その他:約3万円
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合計:約18万5千円
・1年間の支出
185000 * 12 = 222万円

この他にも税金や交通費など諸々の出費、生活をする上で必要な家具家電やゲーム関連の購入代金などを考えると、大体年間300万円程度の収入があれば賄える範囲となるだろう。人によってはもっと節約はできるだろうがあくまで参考例として見ていただきたい。
ちなみにDODAの年代別平均年収ランキングでは、20代の平均年収は346万円、30代の平均年収は455万円となっているので、この値を基準値と設定しても良いかもしれない。

・収入を得る手段

フルタイムのゲーマーと言っても、求められる技術は「プレイヤー」「ストリーマー(ユーチューバー)」「キャスター」で大きく異なる。過去にこれらは雑多に混同されてきたが、ようやくそれぞれの役割が理解されるようになってきた。その一方でゲームタイトルによっては複数の役割を一手に担うゲーマーも現れており、しっかりとした境界線を引くのは依然として難しい。そういった背景を含めて、今回は併せて列挙する形になるが、ご了承いただきたい。

①賞金

一般的に最も想像されやすいゲーマーの収入は賞金だろう。近年では高額賞金を謳う大会も増えており、一攫千金を狙うプレイヤーがゲームに熱中する一つの要因にもなっている。
自身の腕前が他者よりも優れていれば賞金を獲得する可能性は飛躍的に上昇するし、出場できる大会の開催頻度と獲得できる賞金額によってはメインの収入とカウントすることも可能だろう。

懸念点としては、大会での賞金獲得難易度の乱変化により安定した収入と見なすのが難しいことが挙げられる。
また特定のゲームタイトルでどれだけの年月稼げるかはそのタイトルの人気や状況に左右されるため不透明であり、そういった時事で影響を受け、対応を求められる点も考慮しなければいけない。

②出演報酬

ネット配信の普及と、それに伴うゲームを題材とした興行・番組の増加や専門性の訴求により、これまでは芸能タレントが担っていた立ち位置に、そのゲームに対する専門的な知見を持つゲーマーを配置するケースが増えてきている。
特に最近では興行や番組の質の向上のために、プレイヤーよりも喋りに特化したゲーマーであるキャスターやストリーマー(ユーチューバー)の採用が見られるようになってきた。まだまだスポットでの起用パターンが多いが、番組のレギュラー化や興行開催頻度の増加など、今後の動向次第では専業キャスターとなるゲーマーがどんどん生まれるかもしれない。

他にも、プレイヤーとしての技術を定期的に発揮する場としての「プロリーグ」の開催が本年のトレンドとなっており、プロリーグへの出演報酬で生活を行うゲーマーも登場した。その場で成果を上げれば追加のインセンティブを獲得することも興行内容によっては可能となっているため、当初の額面以上の収入も見込めそうだ。

誤解が無いように付け加えるが、興行や番組の出演に関してはただ指をくわえて待っていれば得られるというものではない。何らかの手段で自分を売り込むための営業活動を行う必要があるため、高い自主性が必要な収入分野だとご理解いただきたい。

③動画収入・配信収入

以前までは一部の有名人しかマネタイズに成功できなかった動画投稿や配信活動は、いまやストリーマーユーチューバーといった言葉が生まれるほどに一般的な収入手段となってきている。
この収入額を左右するのは間違いなくファンの存在であり、この分野は人を惹き付けるためのテクニックを磨くことがカギとなる。ただ単にゲームの腕前を披露するだけでは上手くいくとは言えず、自身の思考の言語化や視聴者とのコミュニケーションが付随して初めてコンテンツ化に成功する分野と言えるだろう。
ひとたび軌道に乗れば専業という選択肢も生まれるが、最初からすぐに人気を博すことは難しいため、長期的に活動してようやくマネタイズされるものと考えておこう。

④スポンサーからのサポート

あなたがお金を払う価値のある人材と判断されれば、スポンサー(企業・個人)からのサポートを受けることができる。現在注目を受けている業界だけに、新たなスポンサーも増加傾向となっている。
最近では色々なプロゲーミングチームの名前を聞くようになったが、その運営にはスポンサーの出資資金を使用している場合も多く、プロゲーミングチーム所属となればチーム事情にもよるが、多かれ少なかれその恩恵を受けることができるだろう。
ただし、スポンサードされるということは、スポンサーの意向に沿う必要があることを留意しよう。無償で得られるものではほぼない。

⑤その他

考えられるのは取材やコラムの執筆などメディア関連の依頼だ。露出が増えると機会も増えるが、時事に伴うものも多いため、タイムリーな①~④の成果次第といったところだろうか。
ゲーマーに密に接してきたゲームメディアでの仕事もゲーマーの収入となりうる要素の一つだが、その依存度によってフルタイムゲーマーの範疇に入れるかどうかを判断しかねるので明言は控えたい。

おおまかにだが、フルタイムゲーマーとしての収入を得る手段は以上となる。

・収支のバランスは釣り合うのか

①~⑤で生活するための支出を賄えない場合、その補填のためにアルバイトなどの副業(本業)が必要となり、フルタイムゲーマーの範疇からは外れることとなる。
というか、これまでは賄えない状態がデフォルトだったからこそ、フルタイムゲーマーはあまり登場してこなかった経緯がある。
では今はどうかというと、結論から言うとゲームを見るブームの影響で現状釣り合いが取れている人は着実に増えてきている。が、将来的な確約は一切ない状態だ。現在の潮流から考えるにもっと人も収入も増えてもおかしくはなさそうだが、そのためにはゲームで稼ぐことを文化として定着させなければならない。
残念ながらゲームで生活をすることに嫌悪感というか否定的な態度を示す人はゲーマーの中にも一定数おり、その人達の心の壁を少しずつでも取っ払っていかなければこの業界の更なる発展は見込めない。発展が無い中に人ばかり増えては、いずれフルタイムゲーマーの収支のバランスは崩壊する。そうならないためにも、文化としての定着に向けての活動と理解の浸透は今以上に必要となるだろう。

・フルタイムゲーマーとして生きるために

まだまだ新たな分野であり文化であるゲームで生きるという道。この道を途切れさせないために全てのゲーマーにできることは一つしかない。それはゲームをプレイし続けることだ。そうすることでこの道はより太く、より長く、延び続けていく。
フルタイムゲーマーは、それを目指すゲーマーの夢であり目標とされる存在だが、それが成立するためにはゲームをただプレイする以外の何らかの手段で金銭を得なければいけない。
残念ながら花形職業であるが故に皆の目には「楽」に映りやすく、影の努力を理解されにくい職種でもあるが、成功を収めた人物はみな努力をしている

普段目にする煌びやかな世界に生きるフルタイムゲーマー達が、実際にはどのような道を歩んで今の立場に辿り着いたのか、そして今どのように生活しているのか、あなたがもしそれを目指すならば知っておいて損はない。今年「リビング・ザ・ゲーム」というドキュメンタリー映画が公開され、話題になった。フルタイムゲーマーの実情を知るための一つの手段として、今後観る機会があれば鑑賞を強くお勧めしたい。

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kuroebi

株式会社eStream所属のゲームキャスター・ライター。 主にゲーム、とりわけカードゲームに目がない。

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