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治癒魔法は実在する

くろがねですm(__)m

今日も、遊びに来て頂きありがとうございます!

以前のお遍路さん記事で、
記事の後半と記した、魔法使いについて。
今日はその続きをば。

ノン・フィクションです。
が、だいぶ昔の出来事ですので、
正直、多少記憶があやふやな所もありますが、
出来事は確かなる、実話です。

では参ります。


※初見さんの方は、↓以前の記事を読んだ後で、
本編をお読みいただくと、より一層お楽しみ頂けるかも!です。



それは、歩き遍路の旅、区切り打ちの二度目のアタックの出来事。

歩き遍路は、多い時で、日に20km~30km近く歩く。
それが、毎日続く。

普段から歩き慣れている人間ならいいが、
オフィスに座っている人が、ある日突然、長距離を歩くと、

足はマメだらけになり、膝や腰は痛み、
尋常ではない痛みと闘いつつの、行脚になるのだ。

生まれ持った身体的才能で、強脚な人や、
普段から、歩き、走り慣れている人は、この限りでないかもしれないが、

道中は、そのほとんどが、アスファルト敷きの道を歩む事となる。
堅い地面からの衝撃で、膝が、脚が、壊れるのだ。
土の柔らかな道の有難さを、身をもって知る。

昔に飛脚が日に途轍もない距離を移動できたのも、
道が土であったから、、、そんな気もする。



考え事すらできない程、脚の痛みに頭を支配され、
それでも、立ち止まる事なく、山道を降りてゆく。


ようやく山道が終わり、海岸沿いの道に降り立たつ。

膝に優しかった、山道終わり、
海沿いの道路、、、アスファルト敷きの道を

歩きはじめると、脚の痛みがまた一段と
酷くなっていく。


それは、膝と脚の痛みが、極限に達し
歩みを止め、空を仰いだ時の事だった。

不意に後ろから、ドスの効いた男性の声が響く。


「おい、兄ちゃん! お遍路さんだな!」

海沿いの道を目指し、山道から降りて来た私に、
ハリポッターに出てくる、ハグリッド風なオッサンが話しかけてきた。

恐らく、疲労困憊の上、脚を引きずりながら歩く私が気になったのだろう。
それとも、歩き遍路だったからなのか。理由は分からない。

「脚・・・痛てぇのか?」

   「い、、、いや、、大丈夫ですよ」

「でも、引きずってるじゃねえかよ」

   「え、、、え、、まあ、、、その」

「まあ、いいや!兄ちゃん、ピザまん食うか?」

   「はあ??」

「ピザまんだよ!ピザまん・・・知らねえのか?」

   「いやいやいや、、、そうじゃなくて」

・・・突然話しかけてきて、ピザまんをゴリ押ししてくる、
ハグリッド。

見ず知らずの人に、突然ピザまん食うかと聞かれて、
素直に、はい頂きます!と受け入れるヤツも多くないだろう。

御多分に漏れず、私も、心の警戒ブザーが、、、
ビー!ビー!と高らかに音を立てて、

この人とは関わらない方が良さそうだ・・・
という脳の指令が聞こえてくる。

そうこうしているうちに、ハグリッドは・・・

「そこの店にピザまん売ってるんだよ!」

「ほら、カネもあるぞ!」※握りしめた百円玉を見せてくれる。

「うめぇぞ!」 ニコッ・・・

いや、だから、、、ピザまんが美味しいのは知ってるから!
そうじゃなくて、、、見ず知らずの人に、、、

「いいか、ここで待ってろよ!」

ハグリッドは、商店の方に向かって歩いて行ってしまった。

明らかに、怪しげなこのオジサンと、
関わってはロクな事にならないだろうと・・・そう思った私は、

よし!この隙に、逃げてしまおう!!と
一目散に、向かいの曲がり角を目指して歩き始めた。


もちろん、痛む脚を引きずりながらである。


「・・・はぁ、、はぁ、、、い、、痛い、、」

「でも、早くしないと、ハグリッドに見つかっちゃう・・・」


と、全速力で歩くも、、、
痛んだ脚ではスピード上がるわけもなく。


そして、、、程なくして、、、


後ろから叫ぶ声が聞こえる。


「お~い!兄ちゃん! どこ行くんだよー!!」

ハグリッドは、ドスドスと音を立てて追いかけてくる。

そして、あっという間に、追いつかれてしまった。


「何で、待ってないんだよ!!兄ちゃん!」

   「・・・え、だって、いや、、ほら、、、」

しどろもどろに答える私の意見なんて
関係ないと言わんばかりに、ハグリッドは

ピザまんが入った、紙袋を押しつけてくる。

「ほら!!うめぇぞ!!」

どうやら、逃げた事には、大して怒っていない様だ・・・

妙な安心感を得た私は、もう逃げられないと腹を決め、

仕方なく、押し付けられた紙袋をガサガサとあけ、
恐る恐る、ピザまんに唇を当てるのであった。

道路わきのコンクリートに寄りかかりながら、
ピザまんを食べる私をジッと見つめたハグリッドは、

「脚、、、治してやるか?」

   「はあ??」

   「治すって、、、ええ??」

「痛てぇ脚・・・どっちだ?右か?左か?」

   「ひ、、、左です・・・」

「どれ!痛てぇのはこの辺りか?」

ハグリッドは、私の前にしゃがみ込んで、
左足の膝を摩る様にして、痛みの発生源を探っている。

   「・・・い、、痛て!!」

「お!・・・ココだな!」

「ちょっとの間、動くなよ」

ハグリッドはそう言うと、
触れるか触れないか位の間合いで、膝に手をかざし、

何やら、怪しげな呪文を唱え始めた。

吐息めいた、小さな声で唱えるので、何を言っているのか、
ハッキリ聞き取れないが、どうやら、お経・・・真言の類ではないか、

そんな事を考えている間に、
どうやら治療は終わったようで、

「これでヨシ!!どうだ??」

ハグリッドは顔を覗き込んでくる。

   「あ、、、あれ??、、、」

私は、半信半疑なまま、脚でトントンと地面を叩いてみる。

   「痛くない!!な、、、治ってる」

私は驚きを隠せず、思わずハグリッドに聞いた。

「ど・・・どうやったんですか???」

ハグリッドは、ニヤリと笑い、こう答えた。

「いいか~・・・痛いのを治すのはなあ~」
「三角形をイメージするんだよ」

手で三角形をカタチづくって見せるハグリッド。

「膝に手を当てて、こうするんだ・・・んんん・・・」

何だか意味の分からない説明を聞いて、
若干、引き気味ながらも、治してもらった手前、

私は、うんうんと頷いて、熱心に解説をするハグリッドを
見るのであった。

その後、ピザまんを食べ終わるまでの短い間ではあるが、
ハグリッドの事を聞き、お互いの簡単な自己紹介を済ませた。

ハグリッドは、昔九州でヤクザの親分さんをしていた事。
近くのお寺で修行している事。
ハグリッドのお師匠様は、もっとすごい治癒力を持っている事。
この世の全ては、三角形?で成り立っており、そのバランスを取る事が重要だという事。
大日如来様は偉大である事。(わざわざムネのペンダント?の大日如来を自慢げに見せながら語るハグリッド)

当時、小ぶりなお店の店長だった私は、
「どうやった、お店の売上を上げる事ができますか?」
なんて、聞いたりもした。

今、思えば、ずいぶんとすっとんきょうな質問だし、クソ真面目な自分だなと笑えてくるが、
この質問にも、ハグリッドは、「それも三角形だなぁ~・・・」

と、当時の私には皆目見当もつかない回答をしてくれたのであった。


そうこうしているうちに、手のピザまんも、カラの紙袋だけになり、
脚を治してくれたお礼を、丁寧に述べて、

ハグリッドとのお別れとなった。

ハグリッドは別れ際に、
「帰郷したらでいいから、手紙くれよな」
「たまにしか家に帰らないけど、ポストがあるから大丈夫」

と、満面の笑みで、次の札所を目指す私を見送ってくれた。


痛みもすっかり消えて、颯爽と歩き始めた私は、
気分よく街道を突き進み、次の札所へと急いだ、、、

が!!

ものの5分と持たないうちに、
また、、脚が痛み出した、、、

「ぐ、、、ぐふッ、、、い痛てぇ・・・」

「呪文・・・・切れたな・・・」

どうやら、修行中のハグリッドの呪文は、あまり効力が長くなかったらしく、すぐに痛みはぶり返してしまったが、
自分の身に、先ほど起きた現実が、
本当に現実なのかどうか・・・

痛む脚を引きずりながら、朦朧とする意識の中で、
まあ、そんなのどうでもいいから、早く宿に着きたい・・・

と、また、痛みとの闘いが続くのであった。


終わり。


はい!!!という訳で、いかがでしたでしょうか?
私が歩き遍路の途中で出会った不思議な出来事。

後から、知人などに話した所、
「それって、催眠術の一種じゃね?」とか
「膝の裏のツボを押されたんだよ」とか

色んな意見はありましたが、
私としては、それが催眠であろうと、ツボであろうと、
たった五分でも痛みを忘却の彼方に追いやってくれた、
ハグリッドの優しい行動に感謝したいと思います。

あ、あと、ピザまん 奢ってくれたし。


気が付けば、今までで一番ロングな記事を書きました。
文章慣れしていない自分でしたが、やはり、継続は力なりですね。

長い長い、文章読んで頂き、有難う御座いました。
そして、それだけ長い時間を頂いてしまい恐縮ですが、
読んで頂ける喜びが、私を突き動かす原動力となっています。

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では!また!!

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