水芭蕉

気付いた時には
濁った沼にいた
泥に足を取られ
見えるモノも見えず
踏み込んだ意味さえ
途方に暮れていた

あるはずなんだ
探している
生きるべき花が咲く場所を
今もまだ

数々の命と触れ合った
優しくあるために
流した雨はもうすぐ泥を潤し池になる
命を抱くにはまだ
まだ足りない何か

夢中になって
また一羽飛び立つ小鳥
求めるものを追って
池に留まる事はない
それでいいのだと僕もまたどこかへ向かう

池はいつの間にか
緑を纏って
知らぬ間に大きくなった
これからもずっとまだ

何度となくぶつかった
その度に
風の柔らかさや
茨の痛みを知った
希望を何度この手で摘もうと思ったか分からない
けれど池はまだ生きている

数々の感情
数々の変化
出会う度に池は大きくなる
そしてきっといつの日か
清く靡く
池の真ん中に純真な花が顔を出す
君を包んであげられるような誇りと白さを放ちながら

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