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放射性廃棄物の処理に時間がかかる理由

放射性元素にはそれぞれ異なる、半減期と呼ばれる時間があります。半減期は文字通り放射性元素の量が元の半分になる時間です。
厄介なことはこの半減期が人間の時間スケールに比較して、非常に長い(1万年とか)ものがあることです。

原子核が崩壊して放射線を出す反応には3種あって、α崩壊、β崩壊、γ崩壊と呼ばれている。出てくる放射線はそれぞれ異なり、α崩壊の場合はヘリウムの原子核、β崩壊の場合は電子、γ崩壊の場合は光(γ線:高エネルギ―の光子)になる。人体に与える影響も当然ながらそれぞれ異なる。

図1 崩壊の模式図

横軸に時間、縦軸に放射性物質の量をとって、時間とともにどのように変化するかをグラフにすると下図になる。時間軸1の所が、半減期であり最初に比べて量は半分になる。半減期の2倍の時間(時間軸が2)が経過するとさらに半分になり、最初に比べると1/4の量になる。
このグラフは指数関数であり、時間がどんなに経過しても0にはならない。
しかし、放射性物質の量が十分に少なくなり、自然に存在する放射線の量より少なくなれば人体への影響は無視することができる。

図2 半減期のグラフ

例えばヨウ素131の半減期は約8日、セシウム134の半減期は約2年、セシウム137の半減期は約30年、プルトニウム239の半減期は2万4000年です。
つまりプルトニウム239の場合は10万年ほど管理された状態で保管しておく必要があります。この長い時間が一番の問題で、スウェーデンのオンカロでは地下深くに貯蔵しておこうとしている。しかし、例えば10万年後に人類がどうなっているかの予測は難しい。人類の歴史が分かっている時間の範囲はせいぜい数千年である。

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