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【読書メモ】始めよう。瞑想(宝彩有菜)【#69】

瞑想についての解説本です。
僕は高校生の頃から気功の座功(座ってする気功)というのを行ってきました。さらに、10年ほど前に、ヴィパッサナー瞑想という10日間の合宿にも参加しました。その後も瞑想は続けてきました。最近は、簡単にマインドフルネス瞑想を行ったりもしていましたが、復習も兼ねてこの本を読んでみました。

そうすると、今まで知らなかった方法や、新たに目から鱗が落ちるような方法が書かれていて、とても勉強になりました。

まず著者は、瞑想の時に真言(マントラ)を使っています。気功でもヴィパッサナー瞑想でも真言(マントラ)は使いませんでした。真言というと、少し怪しい気がしていたのであまり興味もなかったのですが、この本では怪しさではなく別の考え方が書かれていてよかったです。

基本的な瞑想方法は共通でした。まず座って行う、姿勢を整える、目をつむる、ゆっくり呼吸するというようなところです。この本では、姿勢を整えるときに前屈のような簡単なストレッチを入れていますがそれはあまり本質には関係ないので入れても入れなくてもいいんじゃないでしょうか。

この本では「印を結ぶ」という手で形を作る方法を紹介しています。
手印というのはこういうものです。この本は怪しさ全開ですが・・・

気功では、陰陽五行に対応して、指ごとに通っている経絡が異なるので、指の組み方によって気を操作して健康になれるというような考え方があります。「印」とは呼びませんが、流派によってはそういう考え方があります。しかし、この本では「印を結ぶ」というのは眠りそうになったときの予防策と位置づけられています。眠りそうになって指が離れると、その感覚で寝落ちしそうな状態に気づくという具合です。怪しい意味はありません。

真言については、意味のない音だけの言葉を考えることで、余計な思考やイメージを追い払う役割を持たせています。雑念が浮かんできた時に、「考えてはいけない!」と思ってしまうと、逆にその思考にとらわれてしまうので、「後で考えよう…」と後回しにして、真言に戻るという方法が推奨されています。オススメの真言は『オーム、ナーム、スバーハー』です。世界中の真言を分析した結果だと書かれていましたが、よく聞くお経の言葉を抜粋したようです。

この本で面白いなと思ったところは、瞑想は「幼い頃の脳内プログラム」を変更できるという部分です。人間というのは基本的に学習したことを自動化することで生活しやすくなっていきます。全てのことをいちいち意識していたのでは脳が忙しすぎるので、省エネのためにほとんどのことを自動化していきます。例えば、朝家を出て鍵をかけて会社に行くという時に一歩一歩全て意識している人はいないと思います。そういうプログラムの中には、とりあえず生きていくために必要で作ったけれども、アップデートされずに残っているプログラムもあります。そのプログラムにとらわれてしまうと、いろいろ生活に不自由が出ることもあるのですが、瞑想をすることで脳の中が整理されるので、そのような「悪いプログラム」を見直す、もしくは解釈を変えるという作用があります。

後半は瞑想の良いところをひたすら紹介しているので内容としては薄っぺらいのですが、瞑想の効果としては次の8項目が挙げられています。

理解力がアップする、集中力がアップする、記憶力がアップする、判断力がアップする、洞察力がアップする、発想力が豊かになる、企画力がアップする、交渉力がアップする。

瞑想は脳に効くので「効果」というのは脳がバージョンアップした直接的な結果です。さらに脳がバージョンアップすることで心や体のメンテナンスも行われます。それを9つの「効用」として紹介されています。悩みが減る、ストレスに強くなる、優しくなる、嬉しくなる、よく笑う朗らかな性格になる、くよくよしなくなる、イライラしなくなる、健康になる、熟睡できる。

瞑想中に起きる手強い思考については次の4つが挙げられています。後悔、心配、怒り、嫉妬。それぞれの対処法については、本を参照してください。

最後に、日常で行う「観照」というエクササイズが紹介されています。「観照」というのは、ヴィパッサナー瞑想の「判断せずに観察する」ということだと思うのですが、この本では少し違う方法でエクササイズが構成されています。ヴィパッサナーでは単純な反面、慣れるまでは非常に難しいですが、この本で紹介されている方法は割と簡単なのでまずはこちらから練習するのもいいの良いと思います。

1、悪い気分、それはラッキーだと思う練習
2、批判の心をチェックする練習
3、人生を素晴らしくする練習と準備

エクササイズ1
悪い気分になったら、幸運だラッキーだと思う練習です。悪い気分というのは、「欲」が満たされていない、欲求不満だと分かったシグナルです。その欲求シグナルに気づいたのでラッキーだと思う、ということです。

エクササイズ2
批判の心をチェックするというのは、良い人になろうとするのではなく、自分の「欲の観察」がテーマです。批判が起きそうになったら、その出鼻を抑える練習です。「批判」は瞬時に無意識に起こるので、それに気付けるようになると、その後が対処しやすくなるということです。
ただし、この項には注意書きがあります。自分に対して理不尽な扱いをしてくる人に、その態度の修正を要求する事は批判ではありません。よく似ているのですが別物と考えます。

エクササイズ3
「人生は素晴らしい」と心の中で仮に言ってみる練習です。最初は全然そう思っていないので「何を言っているんだ?」となりますが、続けていくと日常の小さなことに囚われなくなり、人生という長いレンジ、大きな視野に立てるようになります。

エクササイズ3のポイントは
①悪い感情に気づいたら、人生は素晴らしいと言ってみる。
②検討不足であることの責任を頭に問わない。不問にする。

著者は、時間としては1セットが15分の瞑想を薦めていますが、簡単な瞑想として1分でも3分でもいいので時間ができたときに、「オーム、ナーム、スバーハー」と真言を唱えるのも良いと書かれています。普段から簡単瞑想をする事が上達への近道です。

おわり


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